劇場公開日 2024年2月16日

「今を生きるわたしたちに」テルマ&ルイーズ たまさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0今を生きるわたしたちに

2024年3月14日
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鑑賞方法:映画館

あまたあるリドリースコット作品の中でも
屈指の名作、傑作であろう。

もう30数年前の映画であるのに、この現代性、普遍性はなんなんだろう…
ジェンダー映画、女性への抑圧、そこからの悲劇的な解放、解放と素直によべるかどうかは個人によるだろうが…
ロードムービー、というジャンルコードの範疇におさまる映画ではない。

監督監修の4kレストア版上映。
映画館での大画面で初見。
ブルーレイで何度も観ているが、魂に突き刺さる映画とはこういう作品をいうのだろう。

女性版アメリカンニューシネマ、などと巷間よくいわれてきたが、カーリークーリのシナリオはそこを遥かに越境する。
制作は91年。
多様性ダイバーシティ、LGBTQ…ジェンダー、#metoo
などの言葉が新しくない今。
時代が作品に追いついた感はある。

物語は、2人の対照的なパーソナリティの女性のまさにロードムービーなのだが、そこにカーリーのシナリオは抑圧、を挟みこむ。
男性からの女性への抑圧そのものを。

レイプされそうになるテルマを、ルイーズが射殺するところから物語が動き出していく。
警察に追われる2人、過去に凄惨な暴力を受けたことを示唆するルイーズ、
道行きの中、テルマとルイーズの関係性も変化していく。
受動的なテルマ、能動的なルイーズが終盤にかけて変わっていく。
画面はアメリカの原風景ともいえる、岩、砂漠、ラストにグランドキャニオン…
随所に見られるリドリーらしいヴィジュアル

キャスト、スーザンサランドン、ジーナデイヴィス
ハーヴェイカイテル、マイケルマドセン…
そして若き日のブラッドピット
彼はこの作品から一気にスターダムにのし上がっていく。

刑事ハルを演じるHカイテル。警察の中で唯一彼女たちの心情を理解しようとする。演じるカイテル、渋い役どころ。

ラスト、さいこうのバカンス、ほんとうの自分になれた、と2人はくちづけを交わし刑事ハルが追う中、飛翔する。
伝説的なシーンで終わる。

悲壮感ばかりが強調される映画とは思わない。
特にラストなどは爽快感さえ感じる、といえばいいすぎだろうか。

抑圧された現世からの飛翔
画面はホワイトアウトしてエンドクレジットへ

沁みる映画だ。

たま
Mさんのコメント
2024年4月4日

沁みる映画でした。

M
小町さんのコメント
2024年3月24日

コメントと共感ありがとうございます。
とってもすてきなレビューで「そうそうその通り!」と読ませて頂きました。
切なくて爽快感のあるラストってこの作品くらいかも?って思ったりしてます。
観て良かったと心から思える作品でした。

小町
たまさんのコメント
2024年3月15日

ありがとうございます😊

たま
2024年3月15日

素敵なレビュー!💕

talisman