バベル : 新作映画評論

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バベル

劇場公開日 2007年4月28日
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バベル 4月28日より日比谷スカラ座ほか全国東宝系にてロードショー

その激しさに圧倒されるが、ディテールの詰めが甘い

画像1(C) 2006 by Babel Productions,Inc. All Rights Reserved.

アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督は処女作「アモーレス・ペロス」以来、常に人の心の叫びを映画にしてきた。「バベル」でも、ずっと抱えてきた声にならない声が、事件をキッカケに大きな叫びに変わる。手持ちカメラはドキュメンタリーのような臨場感で観客に迫り、登場人物の思いがダイレクトに伝わってくる。その激しさに圧倒され、観終わった後はなかなか席から立ち上がれない。特別な才能を持った監督である。にも関わらず今年の賞レースで「バベル」の評価が真っ二つに分かれたのは、深く感動する人々がいる一方、彼の作品には毎回激しさしかなく力わざの演出で、激しさに圧倒されるのと感動とは違うものだ、と考える人々がいたからだ。

たとえば人種や言語が違っても抱える思いは同じ、というテーマで3つの家族、3つの国のエピソードを平行させるにしても、それぞれの物語を繋ぐものが一つの銃だけというのは単なるつじつま合わせにしかならない。必要なのはつじつまではなく必然性なのだが、イニャリトゥはこの突き詰め方が弱い。つじつまと必然性は異なるものなのだ。だからフィクションであるにも関わらず、彼の作品ではドキュメンタリーのように映ったものがすべてとなり、本来あるべき映画的行間を音楽が埋めてしまっている。しかもこれが作品にピッタリの“語る”音楽だけに、観客の方も細かいことは忘れ、“観た”気になってしまう。ダイナミックなところが持ち味でもある監督だが、もう少し作品が作り手に語りかけるディテールに敏感になれば、彼の素晴らしい才能はもっと大きな花となって開くはずだ。

木村満里子

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