劇場公開日 1951年10月28日

「今更、南北戦争?」サンセット大通り マサシさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0今更、南北戦争?

2023年9月2日
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鑑賞方法:VOD
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マサシ
Gustavさんのコメント
2023年9月3日

マサシさんのレビューは、私の考えが及ばない視点で論理立てていて、何時も驚いています。
ワイルダー監督のこのハリウッド暴露のバックステージ映画は、アメリカ映画のサイレントからトーキーへの時代変化をふたりの主役で残酷に描いた傑作でした。アメリカ映画は常に興行の為の時代の先取りを優先すると同時に過去の事には無頓着なところがあります。映画愛が強く裏事情を知り尽くしているワイルダー監督が、サイレントの映画人を再びスクリーンに登場させた意図には、そんな興行優先に対するアンチテーゼもあったと思います。しかも単に懐かしむのではなく、アイロニーに満ちた内容が凄い。この暗さもワイルダーの個性ですね。
パラマウント映画については、創設者のひとりであるアドルフ・ズーカー(アドルフ・ズコール)が有名ですね。ハンガリーのユダヤ系の貧しい家庭出身で、アメリカに移住してから立身出世したアメリカンドリームそのものの人です。この映画の少し後にハリウッドに行った淀川長治さんが80代のズーカーに面会したエピソードがあります。昔の映画のスターや監督の名前をすらすら話す淀川さんの博識に驚いだスタッフが会長のズーカーに会わせてくれたのです。スタッフが恐る恐る紹介するとズーカーは形だけの挨拶を返したのですが、そこで淀川さんはパラマウント映画の最初期のキャッチフレーズを知っていると聴かせたら、ズーカーの態度が一変したと言います。今この会社にその言葉を知っている者は私意外に誰もいないと。
過去を古いだけの価値観で忘れ去るのは仕方ないですが、今に繋がる功績は時に想い出さないと良いものは作れないと、私は思います。

Gustav