劇場公開日 2003年8月2日

「中途半端なモンスター映画にガッカリ」ハルク マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)

2.0中途半端なモンスター映画にガッカリ

2012年8月24日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

単純

超人モンスターが暴れまわる映画を想像したらかなり物足りない作品だ。
アン・リー監督はモンスターとなってしまったブルース・バナーと女性科学者ベティ・ロスの悲恋物語にしたかったのだろうか。
そうなると、人物描写はそこそこできているが、男女の感情が悲恋に達するほどの激しさは不足だ。エリック・バナとジェニファー・コネリーという美男美女を起用しただけでは恋心の狂おしさは出てこない。
あの「キングコング」(1933)のような凶暴性を発揮してこそ二人の心の痛みも出ようが、エリック・バナのハルクは優しすぎる。かといって1976年にディノ・デ・ラウレンティス製作、ジェシカ・ラング主演でリメイクした「キング・コング」のようなロマンチックさもない。

アン・リー監督にアクションものは合わないのかもしれない。「グリーン・デスティニー」はあるが、あの作品でリー監督が描いたのはアクションというより人間のピュアな心だ。リー監督はこの「ハルク」の2年後、あの「ブロークバック・マウンテン」を作り上げた。その後の「ラスト、コーション」を見ても、ピュアな心が傷つく姿が描かれる。本作もそうしたかったのだろうが、リー監督がキャンバスにするには『超人ハルク』は少し毛色が違ったようだ。

思惑のズレの影響か、デニス・ミューレンがスーパーバイザーとなったILMのVFXのデキもがっかりだ。
サム・エリオットやニック・ノルティといったベテラン俳優で脇を固め、親子愛を絡めたものの、話がかったるく138分は長い。
全篇で多用されるマルチ画面も意味がなく、少しも表現的な効果を持たない。

マスター@だんだん