劇場公開日 1992年7月18日

「大人のための飛行艇アニメ映画、最高傑作」紅の豚 JYARIさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5大人のための飛行艇アニメ映画、最高傑作

2022年4月17日
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実を言うと、初めての「紅の豚」だ。
正直いちばん好きなジブリ映画と言ってもいいくらいだ。
というか、単純に好みではある。

そして既に、なんて贅沢な時間だったろうと思い馳せている。
美しい街並み、風景、それに見合う音楽。
熟した大人たちだからこその、成熟した台詞。
それらと対照的なポップな色使い。全てが完成されている…。
この作品ほど、宮崎駿の天才っぷりを感じる事のできる作品は他にないと思う。

初めの、ジーナとのシーンがかなり秀逸だった。
ふたりは旧知の関係。
だからか、事実を直接言わない。
ジーナは話す。「私の伴侶となった人は3人とも死んだの」
ここでポルコロッソは初めて知る。彼の友人が死んだのだ。
そこに被せるように名台詞をはく。
「いい奴はみんな死ぬ」
これは、友人への言葉であり、ローザへの気遣いであり、自身の哀愁を象徴した台詞だ。
さらに「この店で気に食わないことが一つだけある、あの写真だ」と話し、彼の人間だった頃の写真が写り、魔法で豚になってしまったと知る。この無駄の一切ない流れ。大人になった二人にふさわしい構成だ。

かと思えば、「今にローストポークになっちゃうから」で笑えたりするからなあ。

それと、女ばかりの職場も何だか力強くて魅力的だったな。

ただ…フィオの感じは苦手だったな。
神聖な少女が出てきて、その為に男が拳で戦うなんて必要あるんすかね。
チューとかもうアウトでしょ。

にしても、ジーナの賭けとかいう締め方だったり、ポルコロッソの表情を唯一見た人間がカーチスだったりと、最後まで洒落ていて最高でした。

「飛ばねえ豚は、ただの豚だ」
「飛んだところで、豚は豚だぜ」

JYARI