チャーリーズ・エンジェル(2000) : 特集
イントロダクション
(編集部)
「チャーリーズ・エンジェル」といえばファラ・フォーセット。ファラ・フォーセットといえば「チャーリーズ・エンジェル」……。76年に、全米3大ネットワークの一角ABCがスタートさせた(日本でも日テレ系で77年から82年までオンエア)同シリーズは、一時59%というシェアを記録するお化け番組であった。私立探偵事務所に勤める女探偵3人が主人公なのだが、何といっても視聴者のお目当てはファラ・フォーセット(当時は、リー・メイジャーズ夫人だったので、“ファラ・フォーセット・メイジャーズ”)ひとりだった。その証拠に、彼女が降板してからの視聴率は低迷の一途。シェリル・ラッド、タニヤ・ロバーツら、その後投入された3人のニュー・エンジェルも全盛時の人気を吹き返すパワーは持ち合わせていなかった。
シリーズ開始から20年以上を経て、「チャーリーズ・エンジェル」が映画化されることになった時、世間の注目は「誰がエンジェルになるのか?」の一点のみであった。映画の内容はともかく、3つしかない椅子の奪い合いこそが、この映画の行方を左右することは間違いのないところだった。ファラ・フォーセットひとりに人気が集中した結果、視聴率が尻すぼんだテレビ時代の反省もあって、プロデューサーたちは慎重にキャスティングを進めなければならなかった(このキャスティングの経緯は、次のページで詳細にご紹介)。
結局、ドリュー・バリモア(プロデューサーも兼任)、キャメロン・ディアス、ルーシー・リューという3人の組み合わせは、非常に理にかなったものだと言っていいだろう。ドリューとキャメロンについては、人気の面では何の問題もないし、非白人系マーケットへの目配り、マーシャルアーツとの相性という点で、ルーシー・リューの存在意義もまた大きいというわけだ。
ところで肝心の映画は、オリジナルの設定だけを借用し、ハリウッドのトレンドに沿って製作されたアクション大作といった印象。マーシャルアーツ+ワイヤーという香港インフラの採用にもまったくためらいが見られない、“チャーリーズ・カンフー・エンジェル”とでも呼ぶべきもの。観た後には何も残らないけれど、存在自体が評価されるという稀有な作品である。