ドリー・ベルを覚えているかい?

劇場公開日:

  • 予告編を見る
ドリー・ベルを覚えているかい?

解説

「アンダーグラウンド」「パパは、出張中!」などで知られる旧ユーゴスラビア出身の鬼才エミール・クストリッツァが1981年に発表し、同年のベネチア国際映画祭で新人監督賞を受賞した長編デビュー作。サラエボに住む少年が大人へと変わっていく時間を、みずみずしい感性と猥雑なまでのエネルギーで描いた青春ストーリー。

サラエボで家族と暮らす少年ディーノ。生活は苦しいのに共産主義を信奉する父親は、酔っぱらっては子どもたち相手に政治談議を繰り返し、日々のやりくりに疲れた母親は、そんな夫にいつもあきれ顔。父の話に興味がないディーノは、夜な夜な離れの小屋にある自室にこもって、ウサギのペロを相手に催眠術の特訓をしていた。さらには地域の若者たちでバンドを組むことになり、その練習も始まった。そんなある日、外国映画に登場するドリー・ベルという名のストリッパーに心を奪われたディーノは、町のごろつきのシントルから見知らぬ女を匿ってほしいと頼まれるが、彼女の名はなんとドリー・ベルというのだった。一つ屋根の下で暮らすことになったふたりは、いつしかひかれ合うようになるが……。

ユーゴスラビアの内戦による長い混乱状況により著作権が棚上げ状態になったことなどから、日本では長らく幻の作品とされていたが、2023年、製作から約40年の時を経て劇場初公開が実現。

1981年製作/109分/PG12/ユーゴスラビア
原題:Do You Remember Dolly Bell?
配給:コピアポア・フィルム
劇場公開日:2023年10月27日

オフィシャルサイト

スタッフ・キャスト

全てのスタッフ・キャストを見る

受賞歴

詳細情報を表示

フォトギャラリー

  • 画像1
  • 画像2
  • 画像3
  • 画像4
  • 画像5
  • 画像6
  • 画像7
  • 画像8
  • 画像9
  • 画像10
  • 画像11
  • 画像12
  • 画像13
  • 画像14
  • 画像15

(C)Filmski Centar Sarajevo

映画レビュー

2.540年前のユーゴスラビアにおける青春劇!

2024年2月12日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

40年間日本で公開できていなかった本作、
先週は同監督の作品『アンダーグラウンド』を観て、その迫力に圧倒され
興味をもって鑑賞した。

今だとつくれないだろうという激しい表現、男性が女性に手を上げる
親が子どもに手を上げる、
昔は当たり前だったのかもしれないが、今はそうではなく、今見ると違和感があるし、
このような表現は当然賛否を呼ぶだろうと思った。

貴重だなと感じたのが、当時の空気感や生活感、その国の文化(ファッションを含む)などが
実際に目に飛び込んでくるところ。
本作を観ていなかったら知らなかったことばかり。
いまだに勉強になることがたくさんある。映画から学びとれることがたくさんあることを実感。

主人公が恋するドリー・ベルは美しい女性だが、
男性からの扱いがひどすぎる。嫌悪感を感じるほどひどい。そりゃ主人公も泣くわと思った。

一貫して主人公と家族との関わりあい、特に父親との関係性が
いい感じで描かれていて、ドリー・ベルとの恋愛よりも、父子の物語である側面が強いと感じた。

本作を劇場で鑑賞できる幸せを感じた1日だった。

コメントする (0件)
共感した! 1件)
ひでちゃぴん

3.5その時代、あの国、活きた人間!

2023年12月19日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

楽しい

自分の思うままに生きる野性的?な気持ちの強い若者たちの、モラルなんてないような日々の生き方。
かたや、宗教だったり主義だったり、親の権威だったり、男の方が偉いみたいな社会だったり、その時代ならではの社会に合わせて生きて行かざるを得ない大人たち。
主人公と家族が中心に描かれているから、そのからみで見えるものがあるのだけれど、
それがすごい濃い。
最近見た、やはり子供の成長と親の葛藤、家族、主人公とガールフレンドみたいなスタイルの映画に比べて、ものすごくみっちり、濃厚で、深刻で、面白かった。
わーー、どうなるんだろ!
まずい・・・・!ってハラハラする場面や、
うわぁ、、、そういうことやる?とか、へ、それでいいんだ、とか、
見ながら気持ち持って行かれるし、
あーあ、と思ったら、え、大丈夫だったとわかるというような時も、説明でなく、
ちょっとした場面だけで伝えてくるのも凄い。
ちょこっと笑えるようなシーンもあちこちにあり。
日常にありうる人間ができる動きだけなのに、これだけ自然に見る人に伝えられる映画作れるって、天才的だと思う。
色々と凝り固まった今の時代に見るには新鮮だし、楽しい映画。
お父さんが、結構癖強いけれど、家族もすごく合ってる。フィクションとは思えないくらい、リアルな家族。
ユニークなキャラクターが飽きさせない映画。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
しゅま子

4.0ユーゴスラヴィアの青春

2023年12月14日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

楽しい

興奮

萌える

陽気な音楽と忙しない人々、動物たちが狂喜乱舞する世界観、クストリッツァの長編デビュー作は彼らしさが全開で一安心の序盤から、奇妙なあだ名が印象的な不良少年にしてはコミカルな輩たち、そんな連中とのバンド活動やほろ苦い恋模様にキュンキュンしたり、ショッキングな場面には心が痛むし、父親との関係性に仄々したり、壮大さよりもシンプルな物語として気分爽快で痛快な恋愛モノから青春映画として大いに楽しめる。

よりによって父親の葬式の日に口約束かと思いきや伯父から自転車のプレゼントが、ニヤリとする三男坊の表情が可笑しくて最後まで気になる存在感のクジ売り三男坊、主人公の少年がデニス・クエイドとハーヴェイ・カイテルにソックリなのは気のせいか!?

コメントする (0件)
共感した! 0件)
万年 東一

4.0シネマライズを覚えているかい?

2023年11月16日
iPhoneアプリから投稿

閉館したシネマライズで観たクストリッツア、
の初期作品を、
復活したガーデンシネマで観た。

95年渋谷、
後に3館体制になるシネマライズの2館目の
オープニング作品(自分記憶)。

その年のカンヌでケン・ローチの大力作『大地と自由』
を抑えてのパルムドール『アンダーグラウンド』

クストリッツア作品は、
素晴らしさを言葉にするのが難しい。

サーカスの出し物を一斉にカメラの前に置く・・・
ひと、動物、炎、爆弾・・・

寺山修司が陰のカオスなら、
クストリッツアは陽のカオス。

正確に言うと陽ではなく陰。

陰の状況が気分が、
ブレゴヴィッチの音楽と、
演出のカオスで、
膨張、爆発して結果的に陽になってしまう。

観客は無理やり頭を上げさせられる。

無理やりだけど、
これが気持ちいい人は、
いつのまにか、
クストリッツアという名前に反応してしまうようになる。

この催眠術のようなカオスな手法が、
観客の心を捉え、
何かしらの感情を芽生えさせたり、
熟成させたりしているなら、
りっぱな表現主義といえるだろう。

本作は、そんな表現主義との出会い、
成長を感じさせるような、
起爆剤のような作品だった。

そして、
この表現主義の背景にある7つの背景。

1つの国家、
2つの文字、
3つの宗教、
4つの言語、
5つの民族、
6つの共和国、
7つの国境。

崩壊前の、

貧しかったけど、
幸せといえば、
幸せだった日々。

チトーが亡くなり、
これから内戦が始まるのを、
感じていたのか、
知らなかったのか、、、。

【蛇足】

なにより恵比寿ガーデンシネマの復活が嬉しい。
シネマライズも復活しないだろうか。

この際、違う場所でも、
Bunkamuraル・シネマのように、
期間限定でもいい、
名称を引き継いでいく事はできないだろうか。

プラザ、ミラノ、ロキシー、
パンテオン、シネパトス・・・

ルパン三世、
十三代目石川五右衛門、
十四代目市川団十郎、
スラヴォイ・ジジェクと、
クストリッツァ同一人物説、
のように・・・。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
蛇足軒妖瀬布
関連DVD・ブルーレイ情報をもっと見る