コラム:FROM HOLLYWOOD CAFE - 第148回

2011年8月24日更新

FROM HOLLYWOOD CAFE

第148回:ディズニーファンなら必見! D23 EXPOをレポート

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先週末、D23 EXPOに初参加した。D23とは、ディズニーの公式ファンクラブの名称(ディズニー社が1923年に設立されたことに由来)で、D23 EXPOとは文字通り、ディズニーファンのための博覧会だ。ディズニーランドに隣接するアナハイム・コンベンション・センターを舞台に、映画やテレビ、パークとディズニー関連事業のタレントやグッズが勢揃いし、3日間にわたってさまざまなイベントが行われる。09年にスタートしたときは、実態が分からずスルーしてしまったのだけれど、映画ファンにとって貴重な機会だとあとで知って、ひどく後悔したものだ。あいにく昨年は実施されなかったものの、今年D23 EXPOが復活してくれたので、迷わずアナハイムへと車を走らせた。

朝の10時前に到着したにも関わらず、コンベンション・センターは参加客で埋め尽くされていた。その光景は毎年サンディエゴで行われるコミコンに似ているが――実際、ティンカーベルやジャック・スパロウのコスプレがあちこちにいた――、ディズニーファンのイベントのせいか、年齢層が低く、オタクっぽい人はそれほど多くない。また、ディズニーが仕切っているだけあって、運営がとてもスムーズだった。

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D23 EXPOの最大の目玉は、土曜の午前中に行われたウォルト・ディズニー・スタジオの新作映画のプレゼンテーションだ。リック・ロス社長の挨拶に続いて、ジョン・ラセターさんがいつものアロハシャツで登場。見事なトーク術で新作アニメ作品をつぎつぎと紹介していく。「カーズ」のスピンオフ「Planes」や、ディズニーの新作アニメ「Wreck-It Ralph」(テレビゲームの世界を舞台にレトロゲームの悪役の苦悩を描くストーリー)、ピクサーの新作「メリダとおそろしの森」のフッテージ上映が続く。さらに、この場でピクサーの新作2本の制作発表が行われ、それぞれの監督が舞台挨拶を行った。

その後、新作紹介は実写映画に移り、エドガー・ライス・バロウズ原作のSF超大作「ジョン・カーター」(アンドリュー・スタントン監督)や、現在撮影中の「オズの魔法使い」の前章「Oz The Great and Powerful」(サム・ライミ監督)、ティム・バートン監督のストップモーション映画「フランケンウィニー」、ジム・ヘンソンのお馴染みのキャラクターが活躍する「The Muppets」などが続く。トリを飾ったのはマーベルの「アベンジャーズ」。ケビン・ファイグ社長がフッテージを披露したのち、ロバート・ダウニー・Jr.スカーレット・ヨハンソンジェレミー・レナーらキャストがサプライズで登場し、会場の熱気は最高潮に達した。

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驚くべきは、これがD23 EXPOにおけるイベントのひとつに過ぎないことだ。この日の午後1時からは、「Mr.インクレディブル」や「カールじいさんの空飛ぶ家」などのピクサー作品を手がけている映画作曲家マイケル・ジアッキノの講演会。午後2時半からは、ラセターさんをはじめ、アンドリュー・スタントン監督、ピート・ドクター監督などピクサーの映画監督によるトークショー。そして、5時からは新作「モンスターズ・ユニバーシティ(原題)」の監督と美術監督によるキャラクター紹介と、内容も盛りだくさん。しかも、別の部屋では違ったイベントが同時進行で行われているので、どちらに行こうか迷うほどだ。

来年も実施されるようであれば、ディズニーファンにはぜひお勧めしたい。D23の会員でなくてもチケットをオンラインで購入できるし、万が一、退屈しても隣にはディズニーランドとディズニー・カリフォルニア・アドベンチャーという2つのテーマパークがあるからね。

筆者紹介

小西未来のコラム

小西未来(こにし・みらい)。1971年生まれ。ゴールデングローブ賞を運営するゴールデングローブ協会に所属する、米LA在住のフィルムメイカー/映画ジャーナリスト。「ガール・クレイジー」(ジェン・バンブリィ著)、「ウォールフラワー」(スティーブン・チョボウスキー著)、「ピクサー流マネジメント術 天才集団はいかにしてヒットを生み出してきたのか」(エド・キャットマル著)などの翻訳を担当。2015年に日本酒ドキュメンタリー「カンパイ!世界が恋する日本酒」を監督、16年7月に日本公開された。ブログ「STOLEN MOMENTS」では、最新のハリウッド映画やお気に入りの海外ドラマ、取材の裏話などを紹介。

Twitter:@miraikonishi

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