コラム:FROM HOLLYWOOD CAFE - 第116回

2009年8月14日更新

FROM HOLLYWOOD CAFE

第116回:アマゾンの電子書籍リーダー「キンドル2」を入手!

ついに、アマゾンの電子書籍リーダーのキンドルを入手した。キンドルとは、書籍版iPodとして07年に米アマゾンが満を持して発売した読書用の携帯端末で、すでに30万冊以上の書籍や、ニューヨーク・タイムズ紙やウォール・ストリート・ジャーナル紙といった有名新聞やTime、The New Yorker、The Economistといった雑誌が対応している。今春には、第2世代にあたる「キンドル2」と、大型版の「キンドルDX」がそろって発売されている。

重さ290グラム程度の端末の中に 1500冊が入る!
重さ290グラム程度の端末の中に 1500冊が入る!

新しもの好きであるにも関わらず、これまでキンドルの購入をためらっていた最大の理由は、キンドルの機能の少なさにある。ディスプレイは白黒表示のみで、ムービー再生にもメールにも対応していない。ブラウザ機能は一応ついているものの、まだ試験段階にあるためか文字化けが多発。詰まるところ、読書以外にはまるで使えないデバイスなのである。

それでも購入を決めたのは、日本に一時帰国することになったからだ。いつも数冊の洋書を平行して読んでいるのだが、厚くて重たいハードカバーを鞄に入れたまま、電車を乗り降りするだなんて想像しただけでくたびれてしまう。そこで、重さ290グラム程度のキンドル2のなかに、電子ブックをぶちこんでしまおうと思ったわけだ(キンドル2には1500冊、キンドルDXには3000冊収納できるそうだ)。

実物を手にとってまず驚いたのは、紙以上の読みやすさだ。キンドルには、E Ink社の技術を使った専用ディスプレイが搭載されている。バックライト式のLEDではないからずっと読んでいても目が疲れることはないし、直射日光のなかでも文字がくっきり。新しいページをめくるごとに、ディスプレイに鮮明な文字が浮かび上がる。まさに、電子ペーパーである。

面倒くさがりのぼくにありがたいのが、辞書機能だ。普段は分からない単語に出くわしても、調べるのが面倒なのですっ飛ばしていた。でも、キンドルならば、単語の前にカーソルを持ってくると、内蔵された英英辞典The New Oxford American Dictionaryの解説が瞬時に表示されるのだ。

大きさはこのくらい
大きさはこのくらい

読みあげ機能(Read-to-Me)もいい。キンドルが英文を読みあげてくれるから、発音の確認が可能だし、画面を見ることができない状況(たとえば運転中)などに重宝する。発音も、生身の人間の声に比べたら不自然だが、十分使えるレベルだ。

なんといっても最大のメリットは、書籍代の安さだろう。アメリカの新刊は定価で25ドルくらいするが、同じ書籍のキンドル版は10ドル程度だ。しかも、購入をクリックすれば、1分以内にキンドルに無線でダウンロードされる仕組みである。運送代や印刷代などがまるでかからないので、エコでもある。

じっさい、今回の帰国中にも使ってみたが、キンドルは非常に便利だ。日本の書籍はもちろん、日本語にすら対応していないので、誰にでもお勧めできるというわけではないが、普段、洋書や英字新聞を読む習慣のある人や、英語学習者には最高のデバイスだと思う(日本で使用する際にはいくつかのハードルがあるのだが、あいにく行数が足りないので、 こちらをご参照ください)。

キンドルは、決して多機能ではないものの、最高の読書体験を提供してくれる。スティーブン・キング氏が絶賛していたのも納得である。これから使い倒していこうと思う。

筆者紹介

小西未来のコラム

小西未来(こにし・みらい)。1971年生まれ。ゴールデングローブ賞を運営するゴールデングローブ協会に所属する、米LA在住のフィルムメイカー/映画ジャーナリスト。「ガール・クレイジー」(ジェン・バンブリィ著)、「ウォールフラワー」(スティーブン・チョボウスキー著)、「ピクサー流マネジメント術 天才集団はいかにしてヒットを生み出してきたのか」(エド・キャットマル著)などの翻訳を担当。2015年に日本酒ドキュメンタリー「カンパイ!世界が恋する日本酒」を監督、16年7月に日本公開された。ブログ「STOLEN MOMENTS」では、最新のハリウッド映画やお気に入りの海外ドラマ、取材の裏話などを紹介。

Twitter:@miraikonishi

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