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コラム:若林ゆり 舞台.com - 第44回

2016年6月2日更新

第44回:小泉今日子ら俳優たちの演出家デビュー作に潜む格別なお楽しみ!

映画界で監督として活躍する俳優たちが多くいるように、演劇界でも俳優たちの演出する舞台はかなりある。たとえば蜷川幸雄も、宮本亜門白井晃らもスタートは俳優だ。そしてこの初夏、注目すべき俳優による演出家デビュー作がそろい踏みとなる。小泉今日子が演出・プロデュース・出演を兼ねる「日の本一の大悪党」(6月9~19日 本多劇場)、城田優が満を持しての演出家デビューを飾るミュージカル「アップル・ツリー」(5月29日~6月4日 THEATER/RED)、原田優一が2年前に演出家デビューを果たしたミュージカル「bare-ベア-」の再演(6月30日~7月10日 シアター・サンモール)だ。

なかでも「日の本一の大悪党」は、50歳を迎えた小泉今日子がクリエイターとしての決意を込めた注目の作品。50歳という節目を機に企画・製作を行う「明後日」というプロジェクトを立ち上げた小泉は、作品にこんなメッセージを寄せている。

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「残された時間の中で何が出来るのか? これが今の人生のテーマになっております。少なくてもあと10年はアクティブに攻めの姿勢で生きたい」「遠い未来ではなく、明後日くらいの未来を目指して、仲間たちと一緒に何が出来るか模索していきます」。

この声明文(抜粋)を読むだけで、期待が膨れあがるというもの。演出家(兼プロデューサー・主演女優)としての小泉はどんな顔を持っているのか、そこを探るべく、稽古中の共演者、山野海を直撃した。筆名・竹田新として今回の脚本も手がけている山野は劇団「ふくふくや」を主宰。2014年には小泉を客演に迎えての「フタゴの女」(下北沢駅前劇場)で脚本とW主演を果たした、小泉の盟友的存在だ。

山野海 山野海

小泉と同い年の山野は「共通の友達を介してお酒の席で会って以来、飲み友達。畏れ多い話ですけど」と笑う。「知り合ってすぐに『ふくふくや』の舞台を見に来られて、面白いと思ってくださったみたいで。『あなたとやりたい』とずっとおっしゃってくださってたんですね。あるとき、またそんな話が出たので『じゃあ出てよ、小劇場だけど』と言ったら、『いいよ』と。酔った勢いもあったんでしょうね(笑)。それで『フタゴの女』に客演していただくことになりました」

今回の「日の本一の大悪党」が小泉の演出家デビュー作として誕生したのも、自然な流れだったそうだ。「フタゴの女」の楽屋で、「『四谷怪談』をモチーフに純愛ものを書きたい」という山野の構想を聞いた小泉は、「それやろうよ」とすぐに飛びついたという。

「そのときから、この作品は小泉さんと一緒に作ってきた、という感覚が強いです。構想は10年くらい前からあったんですけど。台本で行き詰まったときには相談もしましたし、アイデアをたくさんいただいて、小泉さんの案でできたシーンもあります。台本を深く読む力があって、インスピレーションの強い方なので、ものすごく信頼できるんです」

では実際、稽古場での演出家・小泉今日子はどうなのか?

「私も江戸っ子でサバサバしているほうなんですが、小泉さんはもっと漢(オトコ)ですね(笑)。男前です。彼女の感情がブレないので、我々俳優陣はすごく安心していられるんですよ。とにかくインスピレーションのある方で、『ここはこうしてみて』ということが非常に的を射ている。それに言葉の選び方が上手な方で、とても的確に、回りくどくなく、ストンと入ってくる言葉でダメ出しをしてくださるので早いんですよ。我々の理解も稽古の進行も。決断が早いし、岩さんを演じる俳優としての切り替えも早くて、どんな頭の構造してるんだろうってつくづく思いますね(笑)」

国民的スターとしてではなく、50歳のクリエイターとして作品づくりに挑む小泉のカッコよさが、そこここに現れる舞台になることは間違いなさそう。

「演出もプロデュースも出演もされていますから、いい意味で小泉さんの本質が出るはず。そういうことを楽しんでいただける芝居になると思います。小泉今日子という海の中に我々出演者が入っていって、すごく自由に泳いでいる、みたいな感覚かな。彼女が醸し出している雰囲気って、なんだか死海みたい(笑)。楽~にプカプカ浮かべるんです。それが集まってきて、上から見ると1つの大きな物語になっている感じ。お客様もこの海の中に浸かって、一緒に楽しんでいただければいいですね」

(次ページでは「bare-ベア-」を演出する原田優一を直撃)

「日の本一の大悪党」は6月9日~19日 本多劇場で上演。詳しい情報は公式サイトへ。
 http://www.nelke.co.jp/stage/asatte_vol1/

[筆者紹介]

若林ゆり

若林ゆり(わかばやし・ゆり)。映画ジャーナリスト。タランティーノとはマブダチ。「ブラピ」の通称を発明した張本人でもある。「BRUTUS」「GINZA」「ぴあ」等で執筆中。

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