コラム:LiLiCoのHappy eiga ダイニング - 第17回
2012年1月16日更新
第17回:吉高由里子は地方キャンペーンのために映画を頑張る!?
対談ゲスト:「ロボジー」五十嵐信次郎、吉高由里子
TBS「王様のブランチ」の映画コメンテーターとして人気のLiLiCoが、旬の俳優・女優・監督から映画に対する思い、プライベートな素顔に至るまでを多角的に展開する対談連載「LiLiCoのHappy eiga ダイニング」。第17回のゲストは、「ロボジー」で主演を務め上げたミッキー・カーチス改め五十嵐信次郎と、ロボットオタクの女子学生に扮した吉高由里子。5年以上も前から構想を温めてきた矢口史靖監督の最新作に、ふたりがどのような心境で臨んだのか、LiLiCoが迫った。
“ジジイとロボット”がテーマの「ロボジー」は、弱小家電メーカーの社員3人が、社長からの厳命により企業広告を目的としたロボット開発を強いられるところから始まる。ロボット博での発表を1週間前に控えながら、大破させてしまったことにより、保身でロボットの中におじいちゃんを入れて出場。急場をしのぐつもりが見たことのない動きが評判を呼び、一躍人気者として注目を浴びることになってしまう。
LiLiCo(以下、リリコ):拝見させていただきました。優しくて、涙も笑いもあってすごく幸せになる映画でした。今回はオーディションだったんですか?
五十嵐信次郎(以下、五十嵐):そう、矢口組は全部オーディションなんだよ。
吉高由里子(以下、吉高):5人の審査員みたいな方がいらして、セリフを言う形式だったんです。どうにかお話だけで終わらせて帰れないものかと交渉し始めたんですが、「いつになったらやってくれるんだ?」と言われたので、やりました。オーディションで受かったことがほとんどなかったので、「ああ、ダメだ」と思いながらやっていましたね。「僕もダメ」と思っていたような人たちが結果的に集まってきたんですよ(笑)。
五十嵐:オレはね、面接だけだったんだよ。最後の最後だったんじゃないかな。素人から玄人まで、200人以上会ったって監督が言っていたから。オーディションに来ない人が多いんだって。若い人だったら、どんな状況でも無理してでも行くじゃない? それで電話してみたら「腰が痛い」「熱が出た」「血圧が上がっちゃって」とかね。オーディションに受かっても、過酷な撮影に耐えられるかって話になったみたい。とりあえず元気で細いやつってんで、オレが選ばれたらしいよ(笑)。
リリコ:わたし、今回ビックリして……。
五十嵐:全然違うだろう?
リリコ:違いすぎますよ! 見た後に何回も聞いたんですよ。「本当にミッキーさん?」って。心配しちゃいましたもん。前に会ったとき、すごく若々しかったのに、どうしちゃったんだろうって。
五十嵐:役者ですから(笑)。監督が苦労したんじゃないかな。どれだけダサくできるかってね。ヒゲをそったりもしたし。
リリコ:心配したけれど、きょう会ってみて安心しましたよ~。
五十嵐:多分、歩き方だな。しょぼくれたときと元気なときと、歩き方を変えていたから。
リリコ:素晴らしかったです!
五十嵐:ありがとう。撮影がさ、面白かったんだよ。ふだんの自分じゃないことが出来るわけだから。本当にロボットの中に入っていたしね。
吉高:虐待だって言っていましたよね。
五十嵐:そう、老人虐待(笑)。30キロのロボットを装着してね。オレのサイズぴったりに作っているから、大きく息を吸ったり、ホッカイロをはったりもできなくて。けい動脈が圧迫されて血が止まりそうだったから、徐々に改造されていったんだけどね。
吉高:ロボットを着る役じゃなくて本当に良かったなと思いました(笑)。
五十嵐:ロボガールでいいじゃねえか?
吉高:いやいや、ロボジーでいいですよ。私じゃなくて良かったあ……と思いましたね(笑)。
リリコ:それと、現場の温かさを感じる作品ですよね~。
五十嵐:温かかったよ。気温的には寒かったけれど(笑)、気持ちは温かかった。ステテコのシーンなんて、マイナス2度だよ。日に当たって鼻毛抜いているだろう? 「早くしろよ! 凍死しちゃうぞ!」ってね。雪も降ってくるしさ。
リリコ:他の共演者の皆さんはいかがでした?
吉高:男の方ばっかりでしたね。女性は田畑さんと和久井さんでした。逆に楽でしたよ。男の方同士で何かやっているし、仲間に入りたいときだけ入ってみたり。
五十嵐:一番勝手行動だったもんな。
吉高:お互いさまです(笑)。自由人が多かったんだと思います。お互いが不快に思わない自由な方々ばっかりだったので、1カ月半くらいの地方ロケが合宿みたいでした。
五十嵐:楽しかったよな。みんなの好きなもの、嫌いなもの、いろいろ話したよな。矢口組の特徴は、怒鳴り声がないんだよ。日が出ている間に撮影しないといけないときとか、時間との勝負だから声を荒げるときってあるじゃない? そういうのがないんだよ。
リリコ:撮影が終わった後にご飯とか行ったりしました?
五十嵐:行った、行った。
吉高:行ったんですけど、もう、みんな食の好みが合わないんです(笑)。この1カ月半、どうしたらいいんだ! ってくらいでした。
五十嵐:オレはね、嫌いなものが監督とほぼ一緒だから。
吉高:そうでしたよね、生ものが苦手でしたよね。
リリコ:吉高さんは?
吉高:私は何でも良かったんですけど。もう、何も食べられないですよ。だから、地方キャンペーンが不安で、不安で。こんなに胸がオロオロするキャンペーンって始めてです。わたし、地方キャンペーン大好きで、キャンペーンのために映画を頑張っているくらいなんで。
全員:爆笑
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