コラム:若林ゆり 舞台.com - 第6回
2014年5月2日更新
第6回:燃え上がる究極のダンスショー、「バーン・ザ・フロア」の人気ダンサーは熱かった!
ワルツやタンゴなどのボールルームダンスやチャチャチャ、サンバなどのラテンダンスをベースに、コンテンポテラリーなど、あらゆるジャンルのダンスを世界トップクラスのダンサーたちが熱く踊りまくる。99年イギリスでの初演以来、世界中の観客を夢中にさせてきた究極のダンス・エンターテインメント、それが「バーン・ザ・フロア」だ。このショーが、いよいよ5月2日に日本で8度目の開幕! 前回の来日公演でも人気を博した2人のダンサー、ジャック・チェインバースとジャネット・マンラーラに話を聞いた。
ブロードウェイやウエストエンドでも大成功を収めた「バーン・ザ・フロア」は、進化し続けるショー。ジャネットとジャックは「今年のショーは去年よりもっとエキサイティング」だと口をそろえる。
「大きな特徴としては、(カップルでの)ソロを踊るナンバーが増えているの。各ダンサーの個性をよく引き出していると思うわ。たとえば『テイク・ケア』というナンバーはこれぞコンテンポラリー・ジャズというもので、私たちならではのパートナーシップを見ていただけると思う。個人的には、12年の公演ではコミカルな持ち味も出していたんだけれど、今度の私はコケティッシュよりエネルギッシュ。すごくエモーショナルよ」(ジャネット)
「僕は今回も、ショー全体のなかでちょっとおどけたキャラクターを担っているんだ。『フィッシー』というナンバーは、5人の女の子たちに翻弄されるってストーリーでね。みんなのことがそれぞれ好きでフラフラしているという、僕にピッタリのナンバー(笑)。すごく楽しんでやっているよ」(ジャック)
このショーの最大の魅力は、カップルダンスがドラマ性に富み、びっくりするほど “セクシー”であるということ! セクシーに踊るコツって?
「セクシーさっていうのはいかに成熟しているかに関わってくると思うんだ。人生のなかでどういう経験をしてきたかが表現のなかに現れてくると思う。僕たちがやっているのは踊るということだけじゃなくて、役割を果たして感情を表現するということだからね。日常のなかでいかに優雅に振る舞い、セクシーな経験を積み、アグレッシブに向かっていくか。それが課題だよ」(ジャック)
「それから、エクササイズも重要ね! 引き締まった肉体はセクシーでしょ?(笑)」(ジャネット)
なるほど。パートナーとのケミストリーも、大きな要素では?
「もちろんそう。私とジャックはラテンやボールルームよりコンテンポラリーやジャズを得意としているし、身長的にもバランスがいい。ボールルームのパートナー同士って、激しいケンカをして仲違いなんてことはよくあるの(笑)。でも私とジャックはケンカしたこともないし、いい相手と組めてラッキーよ」(ジャネット)
12年の来日公演では、ジャネットはジャック以外にもうひとりのパートナーがいた。スペシャルゲストダンサーとして出演した、今井翼だ。「バーン・ザ・フロア」に夢中になった今井は、同じように彼のパフォーマンスに魅了されたカンパニーメンバーの熱いラブコールを受け、今年も出演することに。ジャネットから見てパートナー、今井翼はどう映ったのだろう。
「翼は素晴らしいダンサーだと思うし、ものすごく努力家なのよ! 集中力があって、きちっと踊ろう、間違えずに正しいステップを踊りたいという強い意志をつねにもっていて、すごいなって思ったわ。尊敬してる。おまけにとってもナイスガイで、いまではいい友達よ」
筆者紹介
若林ゆり(わかばやし・ゆり)。映画ジャーナリスト。タランティーノとはマブダチ。「ブラピ」の通称を発明した張本人でもある。「BRUTUS」「GINZA」「ぴあ」等で執筆中。
Twitter:@qtyuriwaka