虎に翼のドラマレビュー・感想・評価
謝り、反省できる寅子
日本の法曹界を切り開いた女性の物語を、現代の視聴者の共感を呼べるような巧みに作られた作品だった。前半、寅子が日本国憲法に出会うところまでの展開は朝ドラ史上でも屈指の完成度ではなかったか。後半は、寅子が絡んでこない法曹エピソードが増えてきて、やや構成に苦慮しているように思えるが、全体としては近年の朝ドラの中でも特筆すべき社会にインパクトを与える作品だったと思う。
個人的に好きなのは、寅子がよく謝ることだ。こんなにたくさん「ごめんなさい」と言って頭を下げる主人公は観たことがない。彼女は間違ったものには毅然とした態度で絶対に折れないが、同時に自分の間違いをきちんと反省して謝れる人間でもある。信念を曲げないことと謝って反省できることが両立している主人公像が良かった。
勇三や星航一など男性キャラクターの深みがいまいち足りないが、一見してリベラルな穂高先生などの描写は見事で、現代社会でも様々な局面で見られる矛盾が上手く描けていたのは素晴らしかった。
全体としては、法律が我々の生活にどう影響しているのかを知れることができるものだったし、法律への興味関心を高めてくれる良いドラマだった。
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