御上先生のドラマレビュー・感想・評価
蝶の翅を捥ぐ「御上先生」
① Butterfly effectって何?
主演の松坂桃李氏が番宣で言及した通り、"Butterfly effect"がテーマの1つ。Butterfly effectの詳細な定義はWikipedia等(和⋅英)に譲るが、簡潔に説明すると以下の通り。「蝶の羽ばたきが離れた地域の天候に影響する可能性を否定できない様に、些細な現象が予測不能な形で大事の遠因になり得る事」。
「御上戦線」において「遠因」は終盤に明かされた隣徳学院の不正入学であり、Butterfly effectの「結果」は初回の殺人事件。最終回の終盤で、御上が法廷を訪れ、殺人犯を含む「君」がいたから闘えたとモノローグが流れた事から、結果的に殺人者を産んだ入学不正を、放置できなかった事が御上にっと大きな動機づけだったと感じた。
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②「入学不正」は「殺人」の原因か?
Butterfly effectは「風が吹けば桶屋が儲かる」と似たような意味と説明される事も多いが、勘違いしてはイケないのは、「風が吹いたら桶屋は必ず儲かる」という意味ではなく、「風が負吹け桶屋が儲かる場合もあり得る」と言ってるだけ。「入学不正」から「殺人」までの過程をまとめると以下の通り。
1. 隣徳学院で不正入学が横行
2. 戸倉樹が自身の不正入学を知る
3. 担任⋅冴島悠子が戸倉を守ろうとする過程で、筒井に肉体関係を強要される
4. 冴島悠子が筒井と不倫したと校内紙が報道され、両人退職
5. 冴島悠子の家庭が崩壊
6. 冴島の娘⋅弓弦が国家公務員採用総合職試験会場で渋谷友介を刺殺
不正入学さえなければ冴島家は崩壊しなかった可能性は高い。ただ、不倫した母が家庭を出ていくと、娘は「必ず」精神崩壊して「必ず」通り魔事件を起こすものだろうか? 不正入学は確かに「遠因」の1つかもしれないが、直接的な原因なのだろうか? 統計学的evidenceがあれば別だが、母子家庭で育った身としては、両親が揃ってない家庭からは人殺しが出やすいだなんて偏見は嬉しくない。どちらかというと、母⋅悠子が夫のDVにあっていたことや、弓弦がチェ⋅ゲバラに心酔したことや、弓弦が歪んだ形で孤独を拗らせた事が主因に近い気がする。
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③ Butterfly effectを気にしすぎたら蝶は飛べない
「御上先生」が殺人まで起こしたらか不正入学がイケないと訴えてるのなら、Butterfly effectを誤解している。Butterfly effectとは予想もできない波及効果が有り得るという寓話であり、人間の行動を縛る道具ではない。チョウが、自分が羽ばたいたら世界中の何処かで洪水が起きて、家屋が流されたり沢山の人死が出てしまうかもしれないなんて責任を負わされたら、空に跳びだせるだろうか?
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