地面師たちのドラマレビュー・感想・評価
やばい豊川悦司が見れて嬉しい
豊川悦司が久しぶりにすごくいい。理知的なので破滅的で、こういうトヨエツが見たかった。冒頭、いきなりクマに襲われるところから始まるとは思わなかったが、地面師稼業を金だけでなく、スリルを求めてやっていることを示すやり方としては、常套手段ではあるが、ありか。要するに、この男は退屈しているわけだ。人間にとって退屈は大敵であるので、ヤバい人間なんだけど、どこか共感してしまう。暇と退屈を回避するためなら、人間とはどんな迷惑もかけしまう生き物ではないかと思う。『暇と退屈の倫理学』を読んで僕はそう思った。
第一話、若い司法書士と本人確認をするくだりのスリルはなかなかのもの。あのおじいさんをなりすましに選んだのは、トヨエツいわく「リアリティ」だが、本当にリアリティだけだったのか、やっぱりスリルを味わうためにあの記憶力の良くないおじいさんを選んでるのではないか。単なる金儲け目的の悪党ではない深みが第一話から出ていた。彼は悪党なのだが、どこか惹かれて共感を覚えてしまうのは、やっぱり人間は退屈することを恐れるからだろう。そういう人間の性みたいなものがきちんと描けていた作品だった。
全13件中、11~11件目を表示