舟を編む 私、辞書つくりますのドラマレビュー・感想・評価
愛の語釈から考える「言葉は生き物」だということ
映画化、アニメ化もされた本作のドラマ版は、三浦しをんの小説を新たな視点でドラマ化した作品だ。主人公をファッション誌から辞書編集部に異動してきた岸辺みどり(池田エライザ)に変更。これにより、視聴者が感情移入しやすい新鮮な物語となっている。
希望しない部署で新たなやりがいを見つける「再起のお仕事ドラマ」として、多くの社会人の共感を呼ぶ内容になっている。同時に、現代における“言葉”の価値も鋭く問うている。
象徴的なのは、みどりが辞書の「恋愛」という言葉の「異性を想うこと」という語釈に疑問を抱く場面だ。同性間の恋愛を辞書はなぜ排除してしまっているのか。これからの時代に辞書はどうあるべきか。この問いを通し、「言葉は時代と共に変化する生き物である」というテーマを深く掘り下げている。
主演の池田エライザや、原作の主人公・馬締を演じる野田洋次郎らの好演も光る。言葉がネットに溢れる今だからこそ、その意味や大切さを改めて考えさせられる深みのある作品だ。