人生の最期にシたいコトのドラマレビュー・感想・評価
中年シスターフットも最高!自己受容と他者愛が交差する物語
ミシェル・ウィリアムズ演じるモリーは、癌の再発を機に「最期にオーガズムを感じたい」と願う。一見コメディのようだが、その過程で彼女はトラウマや欲望と向き合い、他者を信頼し直していく。作品の核は、自分を受け入れていく“自己受容”が物語の核となる。
彼女を支える親友ニッキ(ジェニー・スレイト)は、特性ゆえに仕事・生活・ケアのバランスが取れず苦戦しながらも、誠実にモリーに寄り添おうとする姿が、他者を愛することを学んでいく成長として描かれている。
対照的に、モリーの母親は境界線バウンダリーが曖昧な人の象徴として登場し、愛とバウンダリーの関係を立体的に浮かび上がらせる。
ラストでニッキが「こんなにも人を愛せると知れた」と語り、元恋人が「それは自分が子どもを持った時に感じた」と返す場面は象徴的だった。
モリーとニッキには子どもがいないからこそ、2人の関係は “人と人として選び取られたケアの愛” として際立つし、ラストはずっと号泣した。それは、人の死を感動ポルノ的に消費するような描き方とは程遠い。モリーとニッキの2人の成長と、もう会えなくなるような心寂しさから、涙が止まらなくなった。
『人生の最期にシタいこと』は、人生を楽しむ姿をコミカルに描区と同時にと静かな温かさの中で、自己受容と他者愛という2つの成長を丁寧に表現した、傑作だと思う。
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