あなたを奪ったその日から

子どもを食品アレルギーで亡くした母親が、アレルギー成分が混入させたと思われる惣菜会社社長に復讐しようと、その社長の娘を誘拐、しかし、自分の娘と重ねてしまいその子を育てる決意をするという強烈な設定が魅力。北川景子が復讐と娘への愛で揺れる母親を好演している。
子どもの誘拐と母性愛というテーマでは、坂元裕二の『Mother』が思い出されるが、あの作品はネグレクトされていた子どもを救うという体裁で誘拐が始まるが、こちらの作品は復讐が動機となる。総菜会社社長を大森南朋が演じているが、この男性の心の奥底がなかなか見えないことで、本当に混入があったのかどうなのか不透明なので、ミステリー度合いが増していて考察しがいある内容になっている。
「人の心は万華鏡」というセリフが作中に出てくるが、見え方によって人は良い人にも悪い人にも見える。食品への混入を認めない冷酷な経営者のようでいて、娘に対する愛情は本物だったりする。北川景子演じる母親も復讐心を胸に秘めているとは周囲は気づいていない。万華鏡のように人の見え方が変わるなかなかに秀逸なドラマ。