アドレセンスのドラマレビュー・感想・評価
言葉にできない
ネトフリ世界一位というので観た。
全て1カット撮りということだが、その完成した作品を見ると「…まじか」の一言。特に3話ではこの子役の凄さを知る。
日本にまだこの作品の問題意識が芽生えていないため、他国と違いなかなか刺さっていないのだろうなと思うが、昨今のSNSを見ても多分に漏れず同様の問題を抱えている。
女性軽視、その暴力性だけでなく、現代の若者が直面する多種の問題について非常に考えせられる作品だった。
男らしさの有害性
Andrew Tate以外に英国に問題はない──と言わしめたAndrew Tateとは元キックボクサーのインフルエンサー。2025/05/04時点のX上に1,076万人のフォロワーを有する。
男らしさ、男尊女卑、反フェミニズム、マッチョ的猛々しさを主義主張し推奨するウェブサイトやブログ、オンライン講座やメンバーシップコミュニティなどをManosphereと言うそうだが、Andrew Tateはそのイデオロギーを拡散させた主要人物とされている。
極右に立脚し女性蔑視者を自認し、信条に共鳴する者らや感化された信者たち、また男尊女卑の教義をもつアラブ宗教との親和性からも絶大な支持を得ている、そうだ。
いわば迷惑系インフルエンサーだが迷惑の規模と重度がちがう。
ガーディアン紙はAndrew Tateを名指しにしてジェイミー少年や同世代の少年に深刻な影響をあたえたと警笛を鳴らした。また英国議会でもとある議員がアドレセンスの学校上映を呼びかけたことをスターマー英首相も支持したという。
ドラマ、アドレセンスはManosphereに感化された少年をめぐり、その家族と学校と警察と心理学者らの対峙を描いた群像劇といえる。長回しの一発撮りで登場人物の動線で被写体が入れ替わる。公開されると演出脚本撮影演技が高く評価された。
評判通りのクオリティだった。
男にとってパソコンや端末はたんにポルノを見る装置でもある。ましてごく若いうちにパソコンを与えられ、インスタで煌びやかな人たちの世界を見て、Xに吐かれた罵詈雑言にいいねを押し、YouTubeやTikTokの自己顕示に慣れ、ありえないシチュエーションで性交しまくるポルノを見て育った人間がまともに成長すると思いますか。そこでManosphereが大々的に同志を募っていたら英国中にジェイミー少年が蔓延してもおかしくない。ジェイミー少年は氷山の一角なわけである。
しかし世界はリベラルが支配している。ジェイミー少年はありとあらゆるコンプライアンスの庇護下にある。一連の手続きにおいて不利な回答をしなくてもいいし、少年訓練センターに拘留され公判を待っている。
ふだん根性論にくそみそにするじぶんも、リベラルや人権やWOKEを察知すると心の奥底にいるトランプ大統領や戸塚ヨットスクールがふつふつと蘇ってくる。
注射が苦手とかホットチョコレートが好きとかなに言ってやがるんだこいつ。ひところしやがって、ぶっとばすぞ、このガキが。──という教育方法がいけないのは知っているが、率直に言ってしまうと、そういう気持ちになってしまうドラマだった。おそらく女性法医学心理学者との面談のE3が最大の山場だがその回がいちばんぶんなぐりたくなる。
同E3にはやたらベタつく刑務官がでてきて若い女性が職場で遭ってしまう疎ましい状況についても苦言を呈した回だった。
人間・人間社会にはある程度のパトリオティズムやファシズムが必要だと思う。ぜんぶ自由にしていい、ということなら、それなりにしかならない。
ところが父エディ(スティーブングラハム)は──
「あの子の年頃の時、よく親父になぐられた。ときにはベルトで、ぶちのめされた。おれは自分に誓ったんだ、じぶんの子には同じ事はしないと。じぶんの子には絶対にしないって。その誓いどおりおれはしなかったじゃないか。マシな親になりたかったんだ・・・。」
──と述懐して息子への過介入に萎縮しパソコンを買い与えた結果ジェイミーは部屋に入り浸るようになった。
結局誰が悪かったのか責められるあてが消去されていき、最終的にインターネットの有害性を浮き彫りにする見事な作品だった。が、見ていてとても疲れた。ワンショットといい、なんつうかドラマ自体にWOKE(意識高いんですよ僕らは)気配があって、やや鼻についた。
絵文字は英語でもemojiだった
全4話。事件の翌日から13か月後までの物語。
まだあどけなさが残る少年が突如殺人容疑で逮捕。僕じゃないと泣き叫ぶ我が子を見れば、両親は我が子を信じたくなるだろう。
1話と2話では13歳のジェイミーを2人の担当刑事が逮捕し、周辺捜査をする様子が描かれ、3話では女性法廷心理学者とジェイミーの会話劇、最終話は13か月後のジェイミーの家族の様子が描かれる。大人たちが知らない(私も知らなかった)青少年の秘め事というか、SNSでは絵文字が隠語のような使い方をされているのだとか。
それぞれの話ごとにワンカットで描かれていること、被害者についてはほとんど描かれず、ジェイミー中心にストーリーが展開することで回答のないドキュメンタリーを見ているような気分に陥る。そしてジェイミーというのが一筋縄では行かない。まだいたいけない子どもかと思えば、突如怒りを爆発させたり、年上の法廷心理学者に愛を告白したりする。13歳と言えば自分探し、自己嫌悪、異性への関心などが混在するお年頃。アドレセンス=思春期を描いたお話なんだろうが、最後まで誰がどういう思いでいるのか、描き方が客観的すぎて曖昧なまま終わってしまうので(何となく想像はできるのだが)、製作者は起承転結をあまり意識していないように思える。見終わってすっきり納得する映画ではない。我が子という自分の分身が、生物学的には分身とは言え、やっぱり他人の始まりという恐怖が後に残った。
ワンカット、すごすぎる
親として誰よりも信じたい人である子供が、殺人容疑で逮捕されたら?そして、上がってくる揺るぎない証拠と徐々に親である自分が知らなかった子供の側面が見えてくる恐怖。容疑者が13歳ってのもすごいしワンカット撮影も没入感が桁違い。必見!ネトフリ、やるなぁ。
ラストシーンは泣いてしまった。子を持つ親は、目を逸らしちゃいけない。
二度と取れない手法だけど・・・
やはり取り沙汰されるワンカット手法。
でもテクニカルなこともそんなことも気にならず、当事者の時間の感覚や緊張感をリアリティを持って体感することができたなという感じがする。
え、これで最終話?
ワンカットどやぁぁ!
の感じがよぎって途中から作品に入り込めない
テンポが悪く間延びした内容で眠くなる
3話だけ良かった
辛気臭いの一言
つまらない、暗い、オチもない
結局、動機も曖昧なまま
親の立場としてみても、いったいどこが泣けるのか???
これはもしやあの何を作らせても辛気臭い典型的なイギリスドラマだったのか?
それなら最初から見なかったのだが…
長回ししたいが為に、どうしても場面が一場面に偏り、それをセリフ頼みで
観る側としては無理強いをさせられている感しかない
もっと多少なりとも人間の内奥を掘り下げるなり、不条理なりを描こうとする意図があれば、ここまで駄作にはならなかったかも、かもしれないが
こんな作品を見せられて、益々Netflix解約の気持ちが高まった
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