アドレセンスのドラマレビュー・感想・評価
2025年、大きな注目を集めた衝撃の配信ドラマ。
大きな話題となったNetflixのドラマ。
全4話(約4時間)なので、ドラマシリーズとしては短編。
なんといっても注目なのは、この驚嘆のワンカット撮影。
お、長回しだな→え?まだ続くの?→まだ続くの⁉︎→(エンディング)→?!?!
という、ただただぶっ魂消るほか無かった。
しかも「第2話」のように追跡アクションや、ドローンの空中撮影のシーンまであるという。
いやはや、気が遠くなるほどの緻密なリハーサルが裏にあった事だろう。
監督は、「ボイリング・ポイント/沸騰」のフィリップ・バランティーニ。
あちらでも90分ワンカットという荒技を見事に成し遂げていた。
ちなみにそのキャストだったスティーブン・グレアムも本作に参加しており、なんと脚本も兼任している。
警察の事務的な手続き、ミランダ警告、弁護士を交えての家族への説明の対応、入念な身体検査、取り調べ、ネットの利用履歴など、
まるでドキュメンタリーのように非常にリアルに描写されており、
加えてワンカット手法のおかげで、尋常じゃない臨場感と緊迫感がある。
特に「第3話」は、ほぼ会話劇なので尚更である。
毎話に、「第1話」の冒頭の平和な日常が一気にガラガラと崩れ落ちる瞬間のような、
突発的でショッキングな展開が必ずあるため、一種のスリラー的な作品のテイストもある。
全4話という短さは結構だったが、いっそもっと長く見てみたいとすら思えるほど没入してしまった。
そして本作のテーマは、ある事件における、世間から見たら非難の対象とされて然るべきのような、加害者側にスポットを当てている点だ。
逆に被害者側はほとんど出ていない。
誹謗中傷にさらされる日常、
してもしきれないほどの後悔に押しつぶされそうになる、もはや崩壊寸前の最中、
それでも前を向いていこうと決意する、再生のドラマになっている。
「私は(ネタバレ)の姉だし」
「(ネタバレ)は私たちの家族よ。そうでしょ?」
この逞しい言葉には、見ていて思わず胸を撫で下ろした。
ラストのとあるシーンでは、
せめて今はぬいぐるみを代わりに。でもいつか、本人がこの場所に帰ってくるまで…という、一縷の願いが込められているような気がした。
子供も持つ親には、かなりヘビーな作品かもしれない。
父子の溝という普遍的な家族の問題と、SNS時代のネットいじめという現代的な社会問題、この普遍性と現代性の両方を見事に掛け合わせた一作。
だからこその、これだけの注目を集めたのだろう。
製作はブラッド・ピット。
このような傑作を手がけるプロデューサーとしても非常に優秀である。