トリガー ニュースの裏側のドラマレビュー・感想・評価
報道の使命と手段の正当性
日本では、フジテレビの問題などで報道機関としてのテレビのあり方で紛糾しているところだが、この韓国ドラマはある意味そんな時流に乗っている作品かもしれない。このドラマで描かれるのは、とあるテレビ局の人気報道番組「トリガー」のスタッフたちの奮闘だ。真実を突き付ければ悪人を黙らせられるという信念を貫く硬派なニュース番組を標榜いている。しかし、違法スレスレ(というか、完全に違法なのでは、という手法もあるが)のやり方でとある新興宗教の不正を暴きにかかって、存続危機に陥る。報道の使命とその手法の正当性を問うみたいな内容が含まれているのだ。
テレビ局という旧態依然とした組織への問題提起もある。学歴優先で出世して現場で頑張る情熱的な若者が報われなかったりなど。
そういう要素を置いておいても、キャラクターのドラマとして非常に面白い。主人公のパワフルさと細やかに気を使えるところが両立しているところはとても魅力的だし、人に絶望して動物番組への異動を願い出るも、何かの間違いで報道部に入れられてしまう青年の苦しみなど、見どころの多い内容になっている。
ブロードキャスト版『必殺仕事人』
暗部に隠れた悪人を“報道”で裁く番組「トリガー」のスタッフの活躍を描く。
韓流ドラマをちゃんとまともに観たのは本作が初。それもこれも、ブロードキャスト版『必殺仕事人』的ストーリーもさることながら、主演がキム・ヘス姉御というのが大きい(というか、知ってるキャストが彼女だけ)。そのヘス姉御演じるリーダー兼アンカーウーマンのオ・ソリョンの人間力が本作一番のポイント。
モラルに抵触しかねないバイタリティ溢れる取材でターゲットを追い詰めていくソリョンはいかにもドラマ的だが、相手も巨大組織だったりストーカーだったり猟奇殺人犯だったりと、韓国作品らしく(?)ダークなものばかりなので、まあ仕方ないかと。ただ終盤からは、獅子身中の虫とばかりに身内もそのターゲットに含まれていくのが面白い。
映画だろうとドラマだろうと、報道姿勢の在り方を問う作品は今昔変わらず存在するが、幾分誇張してるだろうとはいえ、日本やアメリカとはまた違う海外メディアの裏側を観ることができる。
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