夫婦の世界のドラマレビュー・感想・評価
韓国のベテラン女優キム・ヒエの孤軍奮闘が時に痛々しいが、カタキ役の若いハン・ソヒに同情する部分もあったりする…
2021年3月~4月(月~金)にWOWOWで放送されていたが、放送終了後にWOWOWオンデマンドで字幕版を鑑賞。
さすが、韓国ドラマ…と感じたが、イギリスのドラマのリメイクだった。当然韓国スタッフによって脚色されているから、やっぱり韓国ドラマっぽい。
ドロドロというより、バチバチの仕返し合戦。
主人公の女医で病院の副院長であるチ・ソヌ(キム・ヒエ)は、かなりコテンパンにやられる。結構痛めつけられるのだが復活してやり返す。援助者がいないわけではないが、彼女はほぼ自力で復活する。不撓不屈ってやつだ。
悪いのは完全に夫のイ・テオ(パク・ヘジュン)で、こいつが本当にだらしなくて、劇中で言われるほどイケメンではない(主観)。こういうだらしない男がモテてしまうのは、世の中の不条理とでも言おうか、現実にもある現象なので釈然としない。
しかも、浮気相手が若くて美人だから観ているこっちが困ってしまう。
ヨ・ダギョン(ハン・ソヒ)は資産家の娘で、登場当初は悪役の印象だったが、物語が進むにつれて悲劇のヒロインに変わってゆく。ま、美人だから憎み切れずに見ているという偏った印象だけれど…。
第1話のサスペンスが凄い。
自分にベタベタだと思っていた年下の夫に「浮気」疑惑が湧くと、ソヌはもう制御不能だ。窺う、覗く、追う、探る、、、そして、つきとめる。
ガーデンパーティーの最中に、遂に確証を得たソヌが凶器を隠し持ってテオの前に立ったところで「つづく」…。
以降、「え、どうなる?」という終わり方が毎回続くので、全話配信済みだったからやめられない止まらない徹夜コースとなってしまった。
ドラマだから、ごく狭い範囲で人間模様が絡み合う。
まずは夫婦の友人グループ。この人たちが、テオの浮気のことを知っていてソヌには知らんふりをしていたひどい連中だった。
ソヌの同僚の女医は、ソヌには誤解だろうと言っておきながらテオに「ソヌが気付いたかもしれない」とコーションを送っていたりするのだ。彼女はソヌの副院長の座を狙ってもいた。
隣人でテオの同級生の会計士は自分自身も浮気性で、その妻は時折りソヌたちの家を観察するように窓越しに見ている。この夫婦にも波乱が起きる。
そして、韓国ドラマらしく町の有力者が登場する。
テオの浮気相手ダギョンの父親は何の事業をしているのかは知らないが、かなりの財力と人脈を有する顔役。その妻がソヌの患者だったのだが、娘が不倫の挙句に妊娠したことが発覚すると、ソヌへの信頼が対立へと変化する。
何の会長だか、チェ会長という人物がいる。どういう力を持っているのかもよく分からないが権力者で、町内会長というわけではなさそうだ。その会長夫人を取り巻く婦人会にソヌをはじめ病院長夫人などがいて、会長夫人の顔色をうかがいながら時にソヌを迫害する側となる。この会長夫人が敵か味方か、謎なのだ。
ソヌの患者で、同居していた恋人にDVを受けて逃げているミン・ヒョンソ(シム・ウヌ)が、ソヌの一番の協力者になる。
病院に新たに赴任してきた精神科医キム・ユンギ(イ・ムセン)は、ソヌに好意を寄せているように見えて、やはり敵か味方か判らない。
テオは、ダギョンに子供ができたし、ダギョンの父親に経済的援助も受けられるしでソヌと別れるのだが、一人息子に執着していた。
浮気をしている・していないの探り合いでスタートした物語は、別れた夫婦間の息子の奪い合いに再婚した若妻が絡むバトルロイヤルに変化していく。
やがて、ソヌがテオの浮気の根本原因にたどり着くと、もう愛憎劇を超えて猟奇犯罪の世界に近い。
息子も含めた主要登場人物たちの心理の変化には理解できない部分が度々見られるが、文化の違いなのか、韓国ドラマあるあるとも言える。
過激な暴力シーンもあるし、主人公のやられ方も過激なら、反撃も過激だ。
結果的にすっきりした大団円とは言えないが、罰せられるべき者は罰を受け、悔い改める者は落ち着きを取り戻して一応の結末を迎えるのである。
元ネタのイギリスBBCのドラマ「女医フォスター 夫の情事、私の決断」は観ていないけれど、シーズン1・2で各5話づつというから、これほど七転八倒するものでもなさそうだ。
日本テレビも2023年4月の深夜ドラマ枠でリメイク版「夫婦が壊れるとき」を製作・放送している。が、これも観ていない…。