Lの世界 シーズン1 : 特集
■「Lの世界」で描かれる4つの“L”
ネタバレ注意!
★Lesbian(レズビアン)
“どうやって愛し合うのか”“子供を作るにはどうしたら?”――そんなベールに包まれていたレズビアン・ワールドを描き、好奇心を刺激してくれるのが「Lの世界」。独身女性たちの本音を赤裸々に描くという点で「セックス・アンド・ザ・シティ」と比較されることも多いが、本作はさらに過激でディープなのが特徴。まず第1話の冒頭、女性同士の濃厚なキスシーンにド肝を抜かされるはず。その後も全編にわたり、女優陣の脱ぎっぷりがあっぱれなセックスシーンが繰り広げられ、男たちも真っ青の官能的な駆け引きが展開していくのだ。
また、「彼女は友達ともヤルわよ。友情=前戯だもの」などレズビアン(以下ビアン)ならではのぶっちゃけトークも見逃せない。そもそも、本作をオンエアするアメリカのケーブル局ショウタイムは、ネットワーク局と違い、放送規定がゆるく作品の自由度が高い。さらにアリス役のレイシャ・ヘイリーはビアン、ティナ役のローレル・ホロマンはバイセクシャルであることをカミングアウトしているし、脚本家9人のうち8人がビアンということもあって、ほとんどのエピソードが実話。こうした背景が、ビアンのライフ・スタイルを、よりリアルに見せているのだ。
ぶっちゃけトーク集
○「精子は質よ。昔飲んでたなんて信じられない」(ベット)
ティナとの子供を作るために提供してもらった精子を見て一言
○「男でも女でも求めるものはデカさね」(アリス)
バイセクシャルのアリスが、恋人選びの基準を聞かれ……
○「お尻の脱毛ってどう思う?」(デイナ)、「すべきよ。セックスする数日前にね。ヤレるなら」(アリス)
みんなでプラネット・カフェでおしゃべり
○「あなたの美乳の鑑賞よ」(デイナ)
ジムの女インストラクターから何をしにきているのか?と尋ねられ、デイナが聞こえないようにつぶやく
○「シェーンの自信を支えてるのは乳首よ」(ティナ)、「LA最高の乳首ね!」(アリス)
自分のお気に入りの子をシェーンにとられ、へこむデイナに対して
○「私は友達とは寝ないから!」(アリス)
自分の家に泊まりに来ようとしているデイナに向かって
○「(ビアンの世界は)イカれた狭い世界ね」(デイナ)
アリスが考えた“ビアン肉体関係図”を見て一言
○ 「“ゲイダー”(ゲイ判別レーダー)持ってないの?」(アリス)、「気になる子が“組合員”か知りたいんだ?」(シェーン)
意中の子がビアンかストレートか分からないとボヤくデイナに対して
○「あなたを見ると、いつも裸にされちゃう気分よ」(ジェニー)
マリーナを必死にあきらめようとするジェニーだったが、ついに告白
○「男は退屈よ」(ティナ)、「いいの、単純な男女間のセックスを愛だと勘違いするのが癒しになるわ」(アリス)
ビアンの恋人と別れたアリスが、男性と付き合うことを宣言
○「精子ぐらいケチケチするなっていうの」(キット)
自分の恋人がティナたちへの精子提供者となったことに激怒する女に対して
○「オマタのせいで人生ボロボロよ」(ジェニー)
学生時代の友人とマリーナの話をするジェニーが言った一言
★Love(愛)
本作の魅力は過激なラブシーンばかりではない。恋愛や友情、家族愛などさまざまな愛のカタチが描かれ、多くの女性たちの共感を呼んでいる。恋する気持ちは性別問わずみな同じ。特にジェニーがマリーナを目で追ってしまうなど、彼女の魅力に骨抜きにされていく姿は、誰もが経験したことのある感情だろう。また、両親からの勘当など、ビアンゆえに抱えてしまう問題を一緒に乗り越えてくれるのは、大切な仲間たち。ただし、従来のドラマと違って友達から恋愛対象に発展する可能性も含んでいるだけに、彼女たちの言動から目が離せない。
★Life(人生)
主人公たちはビアンである前に、ひとりの女性であり、人間だ。当たり前の日常を過ごす中で、さまざまな悩みに直面する。知らない土地で孤独を味わい、誰にも言えない秘密を抱えるジェニー、周囲の偏見から仕事がうまくいかずに苛立つベット、妊娠をきっかけにベットとの価値観の相違に直面し、動揺するティナ、体裁を気にしてカミングアウトできないデイナなど、見ている方にとっても身近な問題が取り上げられ、それぞれの選択に思わずホロリとさせられる。理想の生き方を求めて必死にもがく彼女たちの姿に勇気がもらえるはずだ。
★Los Angels(ロサンゼルス)
本作の舞台は、人口の3分の1がゲイというLAのウエストハリウッド地区。初代市長が初めてゲイであることを公言し、ゲイのカップルに一般夫婦同様の権利を求める市条例が採用されるなど、ゲイにとっては開かれた街だ。毎年6月に開催されるゲイパレードが有名だが、本作のヒットでゲイカルチャーがさらに盛り上がり、ゲイバーやクラブでのイベントも急増。本作のキャストを一目見ようと現地を訪れる観光客も多くなったのだとか。
(平井万里子)