イカゲームのドラマレビュー・感想・評価
他愛ない子供のゲームが世界的人気ゲームへ
話題の韓国ドラマをこのほど鑑賞。
多くの海外スターがファンである事を公言し、日本でもバラエティー番組などのネタに。韓国ドラマとしては史上初、エミー賞を受賞。
世界中で大ヒット。その評判通り、確かに面白かった!
あらすじだけ聞くと、日本の漫画原作のギャンブルものやサバイバル・デスゲームみたい。それもその筈、監督(あの『トガニ』の人)は『カイジ』や『ライアーゲーム』などの日本作品からインスピレーション。
そこに、いつぞやの世界的金融危機で監督自身が見舞われた財政難の実体験を、主人公の基本設定に。
そして、最大の特徴。ゲームの内容が昔の子供の遊び。タイトルにもなっている“イカゲーム”は韓国の遊びだが、“だるまさんがころんだ”などは日本でもお馴染み。誰だってやった事あるだろう。
既視感あると思いきや、斬新なアイデア。話の展開も驚きや衝撃の連続、先読み不可能。
ブラックなユーモア、極限状態のスリル、バイオレンス、KO級の人間ドラマ…。
映画共々、本当に韓国作品のハイクオリティーには唸らされる。
日本だったら、この人は死なないだろう、この人は助かるだろうってなる所を、容赦なく死んでいく。
優勝者はたった一人だが、ゲーム内容に応じてチームも組む。綱引きゲームなど。
当初はいがみ合っていたり、信用も交流さえも必要としていなかったが、協力や本名を名乗るまでの絆が芽生える。
が、それを断ち切るようなゲーム…。
まさか、この人物が、この人物までも…。
残酷。『あずみ』でのある試練を思い出した。
勝てば人生一発大逆転の一攫千金。
しかし、それは容易く手に入るものではない。それ相応の覚悟、試練、苦境、悲劇がある。
犠牲になったプレイヤーたち。その無念、後悔の積み重ね。
裏切り、裏切られ、騙し、騙され、助け、協力もし…。
それでも手に入れたいものなのか…?
それで本当に自分の人生は変えられ、救われるのか…?
人生の勝者になるか、敗者のままでいるか。
ある意味、人生の勝者と敗者は紙一重。永遠の問い掛け。
強烈個性の登場人物たち。
韓国映画でもお馴染みのヤクザ者。
ウザい中年女性。
純粋な出稼ぎ外国人青年。
脳に腫瘍のある老人。
誰とも関わり合おうとしない脱北少女。(序盤で主人公の金をスッた張本人)
主人公の幼馴染み。町期待のエリートだったが…。
そして、ダメ人間の典型のような主人公。
見た目や性格設定通りの人物もいれば、ゲームの進行で変わっていく者も。
ある者は心を開いていく。
ある者はドス黒い欲が露になっていく。
主人公のギフン。借金まみれで、老いた母親の貯金を盗み、それで返済するのかと思いきや、ギャンブルで一発逆転を狙う愚か者。
別れた妻との間に一人娘がおり、良き父親であろうとするが…。
娘の為、病に冒された母親の治療費の為、自分の人生大逆転の為、ゲーム参加を決意。
当初はゲームもビビり腰だったが、意外な勝負強さを見せる。
ダメ人間だが、根は善人。彼の存在が周囲を動かし、変えていく。
この非道なゲームに於いて、彼の優しさに救われる。
またそれは時に、あまりにも不条理な局面に遭遇する事でもあり…。ラストゲームでの“対立”は胸が痛い。
キャストたちの熱演も必見。
ただゲーム一本だけではない。潜入サスペンスも並行。
行方不明になった兄を探す刑事。謎のゲームの存在を突き止め、密かに潜入。兄の行方とゲームの実態を暴く。
その兄は…。
ゲーム運営側は皆、奇妙なマスクを付けている。
“フロントマン”と呼ばれる一人だけマスクが違う管理者。
招かれたVIPもマスクを付け、このゲームに大金をかけて楽しむ。プレイヤーたちの醜悪、苦しみや死を。身の毛のよだつ金持ちたちの悪趣味。
そもそも、このゲーム自体なんなのか…? 目的は…?
ラストのラストに登場したオーナーの正体に驚いた。まさか、この人だったとは…。
明かすゲームを始めた理由。
そして、問う。人を信じられるか。
競馬に例えた台詞があった。だが、
俺たちは馬じゃない。人間だ。
決心を決めたギフンは…。
2ndシーズンの製作の決定。
登場人物ほとんど死んじゃったけど、どういう切り口になるのか、次なるゲームは…?
すっかり虜。ゲーム再開が待ち遠しい。
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