Shrink(シュリンク) 精神科医ヨワイのドラマレビュー・感想・評価
ファンタジーではあるけれど。
同名漫画のドラマ化。第一義的にはこういう世界があることを紹介するために制作されたとのことだが、取り上げたテーマは [第1話] パニック症、[第2話] 双極症、[第3話] 境界性パーソナリティ症、とかなり尖ったセレクトになっている。
基本的にはファンタジー色の濃いものになっている印象で、ヨワイという類いまれなる優秀なスキルをもった精神科医の関与を通じて、それぞれ困難な症状ではあるものの光明はあるのだというメッセージで貫かれている。現実の困難、それはたとえば症状の軽快までは数年~数十年かかったり場合によっては軽快に繋がらないケースもあることや、精神科医療においても適切な診療が行われないケースがあること等も触れられているが、トータルのバランス的にはあくまで控えめ。また精神科医の患者との関わりに関しては現実を大きく逸脱しているところもあり、誤解を生みかねないというリスクもあるが、それでもあえて光明を全面に押し出す形としているのは、一般社会の精神疾患に対する誤解をなんとかしたいとの思いからくるものであるように思えた。
ドラマに先立って放映された「がんばりすぎないで。~ドラマ『Shrink』の現場から~」も併せて視聴したが、そこで当ドラマ監修の順天堂大・加藤忠史教授が第2話の撮影場面(双極症Ⅰ型患の主人公が入院させられる場面)に立ち会った際に語っていた「こういうことが、毎日、日本中で同じようなことが起きているんです。でもそういうことがこうやって映像になったことが一度もなくて・・・」と語っていたのが大変印象に残った。また、第2話で主人公の入院中、「まぁ、(踊っている他の入院患者を指さして)ああなったわけじゃないですしね」と言う主人公に対して、同じ双極症で入院3回目の入院患者から発せられた「そっかぁー・・・、キミはまだ病気を受け入れられないんだ」というセリフにはギクリとさせられた。書籍や耳学問だけでわかったつもりになっていたことに直面させられた気がした。仮にそれがファンタジーであったとしても、映像化することには大変意義があるし、映像というものにはやはり圧倒的な迫力があると感じた。
こうなると、原作を読まないわけにはいかないな、という気分にさせられた作品だった。
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