LOST シーズン6 : インタビュー

■エバンジェリン・リリー(ケイト)「シーズン3のケイトは殴ってやりたくなるほど優柔不断だった」

※多少ネタバレあり
――ケイトを演じてもう6年目になりますが、好きなところと嫌いなところはどこでしょうか?

「ケイトって狂ったほど頑固よね。普通、頑固っていうと、可愛らしい特徴でもあったりするんだけど、彼女の場合は周囲が呆れるほど頭が固い。でも同時に、彼女ほど優しい心の持ち主はいないと思うの。困っている人を見たら、それが誰であろうと手を差し伸べずにはいられない。そんな性格のせいで、トラブルに遭ったわけだけど。暴行を受けている母親を助けてあげようとしたことから、犯罪者としての道を歩くことになって」

――ケイトはソーヤーとジャックとのあいだで揺れていて、優柔不断な姿勢が批判されていますよね。ケイトはどっちを選ぶべきだと思いますか?

「実は、この点については過去6年間ずっと考えてきているの。こうした取材のたびに聞かれるから(笑)」

――すみません(笑)。

「ようやく得た自分なりの結論は、ケイトはジャックとソーヤーのことを純粋に、平等に愛しているってこと。それぞれ違った愛情で、彼女を違った形で満足させている。最終的に、ケイトが2人のどちらを選ぶべきか、私には分からない。私が気になるのは、ケイトがアーロンと一緒になるかどうか、それだけだから(笑)」

――(笑)。

「ただ、ケイトの行動に苛立つ人の気持ちは分かる。とくにシーズン3のケイトは、私が見ても殴ってやりたくなるほど優柔不断だったから。ジャックとソーヤーのあいだを行ったり来たりで、本当に情けない。でも、今のケイトはあのときのように追いつめられてないし、自分自身を持っている。今はジャックとソーヤーへの愛を、成熟した形で受けとめていると思うわ」

――今シーズンで番組終了となりますが、今のお気持ちは?

「ビタースウィートな気分ね。クランクアップの瞬間には、絶対に号泣してしまうと思う。だって、いつか終わりが来るって考えるだけでも、胸がつまるもの。なにより、みんなと別れることが辛い。このクルーとキャストはいまや私にとって第2の家族だから。過去5、6年のあいだに、私の人生は大きく変化した。そのなかで、もっともか弱い状態になっているときに支えてくれた仲間だから。

 同時に、出演契約から解放されて、自由に暮らせるようになるのはうれしい。世界のあちこちを旅行したいし、この仕事で得た機会を生かして、新しいことにもチャレンジしたい。なにより、もとのノーマルな生活に戻れるのがうれしいわ」

――具体的な計画はあるんですか?

「私は周到に計画を立てるタイプじゃないの。ただ、これまで10年にわたって外国での慈善活動に関わっているので、出演が終われば、現地に行けるようになるわね。あとは、執筆活動かな。文章を書くのが何よりも好きで、女優業は生活のためにやっているようなものなの。まとまったものが書けたら、出版できればいいなって思ってるの」

――どんなものを書いているんですか?

「長編小説から散文、脚本、絵本、短編小説となんでもあり。アイデアはつぎつぎ湧いてくるんだけど、あいにくひどい遅筆なので、とても追いつかないの(笑)」

――ファイナルシーズンの結末にファンは納得すると思いますか?

「いったん放送が終了してしまったら、あとから修正なんてできないから、私たちとしてはベストを尽くすしかない。ただ、どんなに良いものを作ったとしても、気に入らない人がでてくるのは確かだと思う。“俺の6年間を返してくれ!”って文句を言う人がきっと出てくると思うし(笑)」

――(笑)。

「でも、同じエンディングを見て、“人生で最高の6年だった!”と思ってくれる人も出てくるはず。『LOST』はもともと視聴者の意見がはっきりと分かれるドラマだから、エンディングに関してもにきっと賛否両論になると思う。それこそ、『LOST』らしい終わり方だと思うわ」

(小西未来)

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