LOST シーズン6 : インタビュー

■ジョシュ・ホロウェイ(ソーヤー)「ソーヤーはろくでもない男。さっさと殺されると思っていた」

※多少ネタバレあり
――出演が決まったとき、「LOST」が社会現象となるほどのヒットになると予想していましたか?

「いいや。だから、ぼくはハワイの家をいつでも引き払えるように、引っ越し用の段ボールを用意していたんだ。TVのケースとか、電化製品の箱もすべて保存していたくらいで。だから、まさかこれほど長い仕事になるとは思ってもみなかったよ。そもそも、ソーヤーっていうのはロクでもない男だから、さっさと殺されてしまうと思っていたし(笑)」

――はじめは嫌われ者だったソーヤーも、いつのまにか人気キャラクターに成長しましたよね(笑)

「たしかに、ものすごい変わりようだ。今振り返ってみても、はじめのころのソーヤーには他人を思いやる気持ちが欠落していた。彼にとって唯一の自己防衛は、他人をいっさい信頼せず、常に状況を支配することだった。その過程で、他人を傷つけることも厭わない。はっきり言って、腐った男だ。もっとも、そういう男を演じるのは、実は楽しかったりするんだけれど(笑)」

――(笑)

「でも、脚本家チームはソーヤーというキャラクターにどんどん深みを与えていってくれた。ぼく自身、ソーヤーの知らない面を発見していくプロセスはものすごく刺激的だった。どんな業界でも同じだと思うけれど、TV業界ではいったん何かが成功すると、同じことを繰り返そうとするものだ。でも、この番組の脚本家たちは、すべてのキャラクターを変化させていった。おかげで、ぼくら役者にとってはものすごくやりがいのある仕事になったんだ」

――あなたはセックスシンボルとして注目されるようになりましたよね。

「はっきり言って、滑稽だよね。だって、ぼくはすでに40歳で、既婚で子持ちだから。ただ、もちろん悪い気はしない。そういう話題が出るたびに、ぼくは妻を肘で小突くんだ。“見てみろ。俺はみんなの憧れなんだぞ”って(笑)」

――(笑)

「もし、ぼくが22歳の若造だったら勘違いしていたかもしれない。突然降って湧いた名声を利用して、女遊びをしていたかもしれない。でも、あいにく今のぼくの興味は、違っている。家族とゆっくり時間を過ごしたり、そういうことがとても大事だ。それに、ぼくは自分がどういう人間かわきまえている。ぼくは間抜けなお調子者で、そこらへんにいる普通の男だ。ソーヤーのどこにみんなが惹かれるのか分かるし、彼の人気の理由も分かる。でも、ぼくはソーヤーじゃない。それはちゃんとわきまえているつもりだ」

――今シーズンでソーヤー役ともお別れですが、どんな結末を期待しますか?

「今はとにかくビタースウィートな気分だよ。これだけ長いあいだ演じていると、ソーヤーはぼくの生活の一部になってしまっている。もともとはソーヤーにそれほど愛着がなくて、脚本家を信じてベストを尽くしていただけだけど、今では大事な存在になってしまった。ぼくとしては、なんとかソーヤーに再生のチャンスを与えられることを祈っている。彼は過去にひどいことをしているんで、無罪放免は期待していないけれどね。もし、彼が島を脱出することができるのであれば、これまでの教訓を生かしてまともな仕事についてほしいと思うね」

(小西未来)

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