LOST シーズン1 : インタビュー
ステレオタイプな女性描写にショック!それは劇的変化への仕掛けだった
■キム・ユンジン(サン)
――「LOST」への出演で、生活は変わりましたか?
「幸運なことに、『LOST』は韓国以外でやった初めての仕事だったの。韓国では6年の経験があったけど、アメリカではまったく出演歴がなくて。だから、これほどの素晴らしい番組でデビューを飾れたのは、幸運以外のなにものでもないわね。いまやアメリカ以外でも『LOST』は大人気で、この夏、パリに行ったときも、向こうの人に気づかれたの。私たち出演者はハワイに缶詰になっているから、『LOST』が世界何百カ国で放送されていると聞いたところで、正直ぴんとこないの。で、こういう出来事を経験して、初めてそのすごさを実感するっていう感じで。本当にアメージングね」
――パイロット版に出演を決めたときから、社会現象になると予想していましたか?
「パイロット版を読んだとき、間違いなく史上最高のドラマか、あるいは、史上最低のドラマになると思ったのは確かね(笑)」
――(笑)
「あまりにもチャレンジングで、ちょっとでも扱いを間違えれば、あとになって出演したことを一生後悔するようなトンデモ番組になってしまう可能性だって十分にあった。でも、仕上がりが素晴らしくて、映画のようなスケール感があって。なによりも幸運だったのは、すでに11人の主要キャストが決まっていたのに、J・Jが私のために役を付け加えてくれたことなの。サンとジンはあとから加わったカップルなのよ」
――サンはストーリーが進むに従って、どんどん変わりますよね。
「初めてパイロット版のシナリオを読んだとき、サンの描写に正直ショックを受けたの。彼女と夫との関係が、まるで1950年代の韓国女性みたいに、ほとんどステレオタイプで。いまの韓国女性は、あんなに従順じゃないし(笑)」
――(笑)
「で、J・J(・エイブラムス)に電話で相談したの。ここまで従順な役を演じるのは抵抗があるって。そうしたら、J・Jは『ぜんぜん違うよ!』って否定して、その後のサンがいかに変化するのか教えてくれたの。物語の冒頭でサンを従順なキャラクターとして描いたのは、その後、劇的な変化を見せるための仕掛けだったのよ。それを聞いて、出演がますます楽しみになったのを覚えてるわ」
――では、パイロット版のときから、サンの秘密を教えてもらっていたのですね。
「ええ。でも、全部ってわけじゃないの。実は英語を話せる、ってことしか教えてもらえなかった。どうして夫に秘密にしているのか、どうやって英語を学んだのかについてはわからなくて、手探りで演じるしかなかったわ」
(小西未来)