地上最強の美女たち! チャーリーズ・エンジェル シーズン1 : 特集

初代エンジェルのファラ・フォーセットは全米のセックス・シンボルに!

 キャメロン・ディアス、ドリュー・バリモア、ルーシー・リューの3人によって映画化された「チャーリーズ・エンジェル」「同/フルスロットル」(00/03)の2本は、1976年から81年まで米ABCで放映されていたTVシリーズの焼き直しだ。70年代後半には全米でもっとも人気があったアクションドラマであり、日本ではNTV系列で放送され、「史上最強の美女/バイオニック・ジェミー」(主演リンゼイ・ワグナー)の後番組だったので、「史上最強の美女たち!/チャーリーズ・エンジェル」というタイトルだった。

 主人公は、チャーリー探偵事務所に所属する3人の女性探偵で、けっして顔を見せないオーナーのチャーリー・タウンゼント(声:ジョン・フォーサイス)から事務所のデスクの上のスピーカーを通じて“指令”を聞き、素性を隠して変装(時にコスプレ!)しながら敵の組織へ潜入し、難事件を解決する。そんなエンジェルたちをバックアップするのは、唯一チャーリーの顔を知るジョン・ボスレー(デビッド・ドイル)である。

 第1シーズンのエンジェルは、サブリナ・ダンカン(ケイト・ジャクソン)、ジル・マンロー(ファラ・フォーセット)、ケリー・ギャレット(ジャクリーン・スミス)の3人。全員同じポリスアカデミーの卒業生で、ロサンゼルス市警の婦人警官だったという設定だった。ともかくこの配役が当たった。

 「刑事スタスキー&ハッチ」「探偵ハート&ハート」も手がけた製作総指揮のアーロン・スペリング&レナード・ゴールドバーグは、演技力を買って、いの一番に配役したC・ジャクソンに加え、ブルネット(黒)とブロンド(金)とバランスよく配役した(のちのシリーズまで黒×金は続く)。ブルネットのJ・スミスは結局全5シーズンを通して活躍。映画版「フルスロットル」に“伝説のエンジェル”として登場したほどだ。また、ブロンドのF・フォーセット(当時は「600万ドルの男」のリー・メジャースの妻だったので、ファラ・フォーセット=メジャースと名乗っていた)はボリューム感あるレイヤーヘアー、日焼けした肌、真っ白な歯、セクシーな水着姿で全米のセックスシンボルとなり、“ファラ旋風”を巻き起こした! だが、女優としてのステップアップを狙った彼女は契約途中に降板を表明。製作サイドとドロドロの裁判劇になったが、やがて数回ゲスト出演することで和解した。

 第2シーズンから加わったのは、ブロンドのクリス・マンロー(シェリル・ラッド)。物語上の設定は、ヨーロッパでレーサーになったジルの代わりに、彼女の妹で、元サンフランシスコ市警の婦人警官だったクリスが加わったことに。小ぶりながらグラマーなS・ラッドは、水着姿もセクシーで以後ずっと出演、日本でも人気となり、サントリーVSOPのCMにも抜擢され、彼女が歌った本作の主題曲「ダンス・フォーエヴァー」も売れた。

 リーダー格だったサブリナが結婚のため去ったあとの第4シーズンからは、チャーリーの旧友だったシカゴ市警ウェルズ警部の娘、ティファニー・ウェルズ(シェリー・ハック)が加わった。ブロンドの長い髪が魅力のS・ハックは、当時レブロンの香水のモデルだったことからキャスティングされた。

 そして第5シーズンからそのティファニーに代わって、ニューヨークの元モデル、ジュリー・ロジャース(タニア・ロバーツ)がエンジェルに加わる。ブルネットでスタイルも抜群なタニア・ロバーツは、TVシリーズとして視聴率も低迷していた時期だけに、出演はわずか16回にとどまった。が、4年後美女の代名詞であるボンドガールに抜擢され、「007/美しき獲物たち」(85)に出演した。

 最後にトリビアを少し。映画版ではいろんな高級スポーツカーを駆るエンジェルたちだが、 TVシリーズでは全員がフォード社の車に乗っている。ジルとクリスはコブラ、ケリーはムスタング、サブリナはピントだった。

 シェリル・ラッドが80年に離婚したデビッド・ラッドは、「シェーン」のアラン・ラッドの息子で、メジャー会社MGMのプロデューサーだった人。

 ロバート・ユーリック主演のABC製作の探偵もの「ベガス/私立探偵ダン・タナー」(1978-81)は、本シリーズからスピンオフしたものだ。ストーリー上“クロスオーバー”して作られ、実は第3シーズンのパイロット版「Angels In Vegas」で、フォード社サンダーバード・カブリオレに乗る主人公ダン・タナーが紹介される。製作総指揮も同じスペリング&ゴールドバーグだから当然か。

 本シリーズの著作権を握るのは、映画版をプロデュースしたドリュー・バルモア。女性刑務所へ潜入するエピソードに出演するのは、無名時代のキム・ベイジンガー。C・ジャクソン演じるサブリナが毎度毎度白いパンツルックだったのは芸がなかったが、ほぼ全エピソードの脚本を手がけたイバン・ゴフとベン・ロバーツの脚本がユーモラスでセクシーで秀逸だった。

(佐藤睦雄)

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