19番目のカルテ

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採点

ドラマレビュー

3.0総合診療医という珍しい題材

杉本穂高さん
2025年7月31日
PCから投稿
鑑賞方法:TV地上波

「19番目のカルテ」は、現代医療の隙間で声なき痛みを抱える患者に光を当てる、新しい形の医療ヒューマンドラマだ。総合診療医を題材にした作品は珍しいが、初めてではない。この総合診療の重要性をどのように描くか注目される。
最大の魅力は、松本潤が演じる総合診療医・徳重晃。常に笑顔だが掴みどころのない「変人」でありながら、鋭い観察眼と深い共感力で、病だけでなく患者の人生まで見抜いていく。
本作は、診断困難な「線維筋痛症」(第1話)や、介護の重圧に苦しむ「ヤングケアラー」(第2話)といった、現代社会が抱える問題に斬り込んでいる。徳重は、周囲に理解されない患者に「あなたの痛みは本物だと信じている」と寄り添い、ヤングケアラーの呪縛に苦しむ少年を解放するなど、単なる治療を超えた「言葉の処方箋」で心を救う。
「病気じゃなくて人を診る」という彼の哲学は、専門分化が進む医療へのアンチテーゼとして一貫している。病気の謎解きに留まらず、患者一人ひとりの人生と心に深く寄り添う物語が、静かな感動を与える作品だ。派手な手術シーンなどはないのが新鮮。

杉本穂高
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