ぼくらは懸命に恋をした―“透明人間”だったこの街で 移民家族の悲劇と成長を描く「ニューヨーク・オールド・アパートメント」24年公開
2023年10月19日 14:00
ニューヨークを舞台に、“大都会の弱者”である貧しい移民家族に訪れた悲劇と成長を描く「The Saint Of The Impossible(原題)」が、「ニューヨーク・オールド・アパートメント」の邦題で、2024年1月12日に公開されることがわかった。
物語の中心となるのは、安定した生活を夢見て、祖国ペルーを捨て、ニューヨークで不法移民として暮らすデュラン一家。母ラファエラはウェイトレスをしながら、ふたりの息子を女手ひとつで育て、息子たちも配達員として家計を支えるギリギリの毎日を送っていた。街から疎外された自分を“透明人間”だと感じるふたりの息子はある日、謎めいた美しい女性クリスティンと出会い、恋に落ちる。一方、ラファエラも、白人男性からの耳触りのいい話に誘われ、飲食店を開業する。
短編「ボン・ボヤージュ」が世界各国で42の賞を受賞し、第89回アカデミー短編映画賞ノミネートを果たした新鋭マーク・ウィルキンスが、本作で長編デビューを果たした。ユダヤ人移民の家族で育ち、母がアウシュビッツ強制収容所の生存者だった、オランダ人のベストセラー作家アーノン・グランバーグの小説「De heilige Antonio」をもとに、アメリカが抱える移民問題を背景にした、親子の絆の物語をリアルに描いた。アメリカンドリームを夢見る母と、年頃のピュアな息子たち。日陰で生きる“何者でもなかった”彼らが恋をして、大切な何かに気付き、初めて“自分”として生きる意味を見出していく。
ペルーのオーディションで選ばれた、双子のアドリアーノ・デュランとマルチェロ・デュランが、ふたりの息子たちを演じ、映画デビュー。ふたりは、ロックバンド「LOS MORDOS」でも活躍している。反骨精神を持つラファエラ役には、第82回アカデミー外国語映画賞にノミネートされた「悲しみのミルク」などで知られる国際派女優マガリ・ソリエル。タラ・サラーがミステリアスな美女クリスティン役を務め、サイモン・ケザーが脇を固めた。
あわせて披露されたポスターでは、ニューヨークで、肩身の狭い思いを抱え生きる兄弟が、神秘的な魅力を放つ女性と出会い、日々の苦悩を忘れて楽しいひとときを過ごすシーンを活写。「ぼくらは懸命に恋をした――“透明人間”だったこの街で」というキャッチコピーが、恋をして初めて生きる意味を見出す、希望の物語を予感させる。
「ニューヨーク・オールド・アパートメント」は、24年1月12日に東京・新宿シネマカリテほか全国公開。