2021年の映画年間興収は1618億円 邦画は32作品が“興収10億円以上のヒット”で回復傾向

2022年1月25日 18:00


年間興収の内訳は「邦画が1283億3900万円」「洋画が335億5400万円」
年間興収の内訳は「邦画が1283億3900万円」「洋画が335億5400万円」

日本映画製作者連盟(映連)の新年記者発表が1月25日に行われ、2021年の全国映画概況が発表された。

年間興収は1618億9300万円。2000年の興収発表以降、最低の数字(1432億8500万円)を記録した前年比113%となった。20年度の数字を上回ったものの、00年以降に視野を広げると下から2番目の記録だ。また、19年の史上最高(2611億8000万円)との対比は62%となっている。

年間興収の内訳は、邦画が1283億3900万円(前年比:117%、19年対比:90%)、洋画が335億5400万円(前年比:98.7%、19年比:28%)。邦画は00年度以降、第3位の好成績となり、回復傾向にある。一方の洋画は、前年度の結果をさらに下回るものになった。邦画と洋画の構成比は「邦画:79.3%」「洋画:20.7%」。映連が統計を発表して以来、最高の邦画シェアとなった。

ODS(非映画デジタルコンテンツ)に関するデータも発表され、全体では172億400万円(邦画:101億8900万円、洋画:33億5000万円、中継:36億6600万円)。このうち邦画&洋画を合わせた約35億円が、年間興収に算入されている。

平均入場料金の単価は、1410円。前年の1350円より60円が上昇(19年比:70円上昇)。映連の島谷能成会長は「4D作品、IMAXシアター、ドルビーアトモスシアターといった入場料金が高額になる作品が人気だったことに加え、コロナ感染の警戒から、ファミリー層、シルバー層などの低料金となる入場者が鑑賞を控えた結果であると考えております」と分析。入場人員は、1億1481万8000人となり、前年比では108.2%となった。

公開本数は、邦画が490本(前年:506本)、洋画が469本(前年:511本)、合計では959本(前年:1017本)。19年との対比では、233本減となり、9年ぶりに公開本数が1000本を下回る結果となった。

スクリーン数は、全国合計3648。前年(3616スクリーン)に比べ、32スクリーン増。13年(3318スクリーン)より、8年連続での増加となっている。閉館したスクリーンは32、オープンは64。

興行収入10億円以上となったのは、邦画が「シン・エヴァンゲリオン劇場版」(102.8億円)を含む32本(前年より11作品増)。32作品の興収総計は、898億9000万円。前年は興収10億円以上が21作品で、総計750億9000万円だったため、148億円増となった。アニメ作品の好調に加え、「ARASHI Anniversary Tour 5×20 FILM “Record of Memories”」「東京リベンジャーズ」といった実写作品も好成績を残し、前年を上回る結果となった。興収50億円超えの作品は「シン・エヴァンゲリオン劇場版」「名探偵コナン 緋色の弾丸」「竜とそばかすの姫」。洋画は「ワイルドスピード ジェットブレイク」を含む5作品が興収10億円以上となり、興収総計は107億4000万円(前年は4作品で総計161億円)。興収50億円超えの作品はなし。邦画・洋画10億円以上作品の興収総計は、1006億3000万円。前年と比べて、94億円増となった。

「劇映画のビデオソフトによる販売と劇映画鑑賞人口推定」は、メーカー売上が745億円(前年比105.1%)、小売店舗売上が1074億円 (前年比99.5%)、映画鑑賞人口が1億1785万人(前年比64.5%)。映連加盟社とそのグループ会社(松、東宝、東映、東映アニメーション、KADOKAWAなど)による映画輸出実績は、3億7745万7000ドル(前年比100.3%)。00年以降の最高記録だった昨年(3億7644万9000ドル)をわずかに上回る結果となった。

島谷会長は、19年度の動員&興収の最高記録に続き、20年度から始まったコロナの猛威について触れ「この2年間で多くの興行収入が失われました。ただし、邦画の興収は、1度落ちたものの、順調に回復してきている。回復の途上にある最大の要因は、洋画の落ち込みだと思われます。期待していた洋画大作が公開延期、またはストレートに配信されることになった。全国の映画館市場にとっては非常に厳しい事態でした」とコメント。「正月興行は非常に良いスタート。さてこれからというところで、現状はオミクロン株が猛威をふるっている。なんとか拡大が収まってもらいたい。今年は邦画、洋画ともに素晴らしい作品が並んでいる。言い様によっては、映画界のビンテージイヤー、当たり年だと思っています。これらの作品が良い形でお客様に届くことを、心から祈っています」と所感を述べていた。

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