仏アニメーション映画「カブールのツバメ」監督、独特の製作手法を明かす

2019年6月22日 14:30


ザブー・ブライトマン(左)、エレア・ゴべ・メベレック監督
ザブー・ブライトマン(左)、エレア・ゴべ・メベレック監督

[映画.com ニュース]横浜市で開催中の「フランス映画祭2019 横浜」で6月21日、「カブールのツバメ」がイオンシネマみなとみらいで上映され、ザブー・ブライトマン、エレア・ゴべ・メベレックの両監督ががティーチインを行った。

映画は1998年夏、タリバン勢力の支配下のアフガニスタンのカブールを舞台に、希望を求めたカップルの悲劇を描いたアニメーション。2019年カンヌ国際映画祭ある視点部門コンペティション出品作。

同名の原作小説をアニメ映画化。ふたりが共同監督をすることに至った理由について「シナリオは出来上がっていたのですが、アニメーションで監督して欲しいと言われたのです。20近くあった候補の中でエレアの画風がぴったりだったので、その後、改めて脚本を私が書き直しました」とブライトマン監督が説明する。

そして、「エレアと出会い、この作品は普通とは異なった手法を使おうと考えました。声の俳優のキャスティングを決め、4日間で音を録り、そこから作画をしたのです。俳優たちの演技からスタートした作品なのです」と明かす。

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作画を担当したメベレック監督は「通常のアニメ製作とは逆の手法です。コンピューター上で動きを付け、重要な動きのみを残して、アニメの最終的な動きをつけました。複雑な作業でしたが、俳優が人物のつくり込みができていたのが良かったです」と振り返る。

原作は2001年のカブールが舞台だが、映画では1998年にした理由について問われると、「自分の国でない国の歴史の年号は頭に残りにくいものです。フランス人にとって重要なイベントである、ワールドカップのあった年にしました。ラジオから、ジダンが活躍したシーンが聞こえるという設定も織り交ぜてみました」とブライトマン監督は答えた。

悲劇的なテーマを水彩画のタッチでのアニメーションで表現したメベレック監督は「より距離をもって描く必要があるとおもいました。厳しい現実をデッサンでやわらかく描くことで、客観性をもって見ていただけると思いました」と今作での画風について話した。

「フランス映画祭 2019 横浜」(http://unifrance.jp/festival/2019/)は、イオンシネマみなとみらいほかで、23日まで開催。チケットは発売中。

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