大泉洋、「夜更けにバナナ」の要望を受け入れる「人を許す社会」への思いを熱弁

2018年12月4日 21:00


人に助けを求めることの重要性を訴える
人に助けを求めることの重要性を訴える

[映画.com ニュース]筋ジストロフィーを患った鹿野靖明氏の生涯を描いた「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」の講演会が12月4日、東京・新宿ピカデリーで行われ、主演の大泉洋、原作者の渡辺一史氏、パラリンピックで活躍するランナー・大西瞳氏が登壇した。

難病を抱えているにもかかわらず、障がい者施設を飛び出し、自ら募集したボランティアとともに約20年間にわたる自立生活を続けた鹿野氏と、その真っ直ぐな生き方に触れ変わっていく人々が紡ぐ物語。この日は「障がい者週間」(12月3~9日)に合わせ、映画を通して障がい者の社会参加と自立支援について考える会となった。

鹿野氏をボランティアとして支えた経験を持つ渡辺氏は「鹿野さんを、同じ北海道出身の大スターに演じてもらえるとは……」と話し始めると、大泉はすかさず「皆さんすぐ、本当のことばかりおっしゃるから!」とおどけてみせる。そのやりとりに大笑いしていた大西氏は、「こんな素敵な場に参加させて頂いて、本当に嬉しいです!」と喜びを爆発させ、自身でデザインしたというカラフルな義足をアピール。MCが「(大泉が出演していたバラエティ番組の)『水曜どうでしょう』ステッカーを義足に貼ってもらうこともできますね」と提案すると、大泉は「その柄でパラリンピックに出てくれませんか?」と身を乗り出していた。

大泉は出演の経緯について、「最初はタイトルにひかれました。『ボランティアの方に24時間介助してもらわないと生きていけない方が、どうしてそんなワガママを言えたんだろう?』という疑問から始まりました。でも、最初は鹿野さんのワガママだと思った言葉も、撮り終えた頃にはそう思えなくなっていて……不思議な経験でした」と振り返る。渡辺氏は「このタイトルも健常者にとっては障がい者のワガママに思えるけど、鹿野さんにとっては『ごく普通の生活がしたい』という一般的な欲望です」と説明し、大西氏は「映画を見ているうちに、鹿野さんらしく生きるために必要なことなんだと理解できた」と、感想を明かした。

さらに、大泉は「子どもには『人に迷惑をかけるな』って教えてきたけど、人に迷惑をかけることを極度に恐れるよりも、自分にできないことがあったら助けを求めて、逆に求められた時に助けるっていう、人を許す社会になっていくといいと思います」と、真摯な眼差しで語る。渡辺氏は「障がい者の方にとっては、他人の助けを借りながら自由に生きることが自立なんです」と言い添え、障がい者の自立への理解を求めた。

こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」は、12月28日から全国公開。

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