藤原竜也&松田龍平、初共演の豊田組で見出した新たな自分

2012年8月31日 12:40


初共演を果たしたふたり
初共演を果たしたふたり

[映画.com ニュース] 生きることへの希望と絶望。日常に潜む心の闇を、過激な映像で表現し続けてきた豊田利晃監督。そんな豊田監督は、「ナイン・ソウルズ」でタッグを組んだ故原田芳雄さんの葬儀をきっかけに、「I'M FLASH!」を製作した。豊田作品への参加を熱望してきた藤原竜也をはじめ、松田龍平ら豊田組おなじみのキャストが顔をそろえ、生と死の駆け引きを鮮やかに形にしている。孤独が渦巻く濃厚な作品で、初共演を果たした藤原と松田は、互いのなかに何を見たのだろうか。

新興宗教団体の教祖ルイは、端正なルックスと「死がすべて救いである」という教えを説き、カリスマ的人気を獲得している。しかし、ある事件をきっかけに生と死を目の当たりにし、生のまばゆさにとらわれていく。対する新野風は、物語の引き金を引く存在として現れる。

豊田監督いわく、藤原演じるルイは“神”であり、松田扮する新野は“悪魔”だ。死による救済をうたうルイの周りには死があふれているが、本人が死ぬことはない。それに対して、神など心のよりどころを持たない新野は、極めて現実的であり、死を与えることができる唯一の存在である。ふたりはひかれ合いながら、それぞれの命をかけ対じすることになる。ルイと新野という相反するキャラクターは、矛盾しているようでどちらも豊田監督を投影している。

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「ルイはいろんな面を持っていて、人間として面白い。はっきりとした孤独を抱え、ひとりで生きている。この作品のなかでの僕のキャラクターは、水中では自己を解放することができるが、陸に上がれば受け入れられない現実が待ち受けている。セリフの一言一言に、豊田監督と近い部分があるキャラクターなんじゃないかなと思いました」(藤原)

「行動から、わかりやすい感情が出る役ではなかった。台本を読む段階ではなく、現場で役に入っていきましたね。ルイとの関係性は、撮影しているなかでわかっていった感じでした。台本を読んだとき、ルイは人間離れしているイメージだったけど、藤原くんの演技を見たら、人間くさくてピュアで、感情が揺さぶられている人だった。だからこそ、ルイの人間らしい部分に影響を受ける新野というキャラクターがイメージできたんです」(松田)

ふたりは、作品づくりを通して、ルイと新野とは違った形で信頼関係を築いた。過酷な撮影となっただけに「監督が長い道のりを経て、よく完成させてくれたなと思います。これだけのメンバーで、いい作品をつくってくれたという事実がうれしい」(藤原)と感慨もひとしおだ。豊田監督をよく知る松田は、「作品としてエンタテインメントをつくろうっていう豊田さんなりの挑戦が感じられたから、役をやるなかで手伝えたらいいなと思った。台本がすごくシンプルな話だったからこそ、自分の視界をもう少し広げて見ることを意識していきたかった」とこれまで以上の意気込みで臨んだ。

I'M FLASH!」は、9月1日から全国で公開。

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