ファーザーのレビュー・感想・評価
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サスペンスのような
認知症を患った側の視点から描かれていて、サスペンスのような作品。しかしこれが現実。必死で平常心を保とうと揺れ動く感情、不安で仕方ないなんとも言葉にできない感情、これら全てが現実。名優の演技、圧巻でした。とても興味深い映画で、観てよかったです。
認知症の擬似体験
アンソニーホプキンスが、素晴らしい。
彼の目線で、生活するので「さっき言ったよね?彼の言うとおりだよね?」
私も不安になる。
認知症に、なって私を忘れてしまった亡き父の事が少しわかった気がした。
不安だったのだね。。
いつか行く道は…こんなにも切ない
自分の父は介護なんてできなかったくらい、呆気なく亡くなったから、認知症の苦労とか、介護の大変さも知らないのはラッキーなのか。
父のことは大好きだったから、亡くなる前にもっと話せればよかった。父の思い出話とか、家族の昔話とか、一緒に行ったゴルフの話とか…。だから、親御さんの介護で苦労している同僚には羨ましくもあるんです。
映画の中のアンは、よく年老いた父を置いてパリに行けたな…。実際は同居している子が親の介護をするなんて、多くないかもしれないけど、あのお父さんはかなりヤバめで、めんどくさいし、認知症もかなり進んでいるんだから、あの状態で、あの世代で愛する人の元へ行くために国外に行くのはどうかなぁ…。
アンソニーホプキンス、83歳かぁ…。この年齢で世界的に評価される仕事ができるなんて、相当幸せな人生だわ…。
時を戻そう
とても繊細で絶妙な描写が心に突き刺さりました。自分の見たものが信じられなくなることの混乱。時には首を絞めたくもなるが、憎めない一言を言ってみたり。認知症の疑似体験でもあり、寄り添う側の疑似体験でもありました。観賞しながら左腕にはめた腕時計を何故か握りしめていました。
視点
アンソニーの目から見える世界を通して、その混乱の中に入り込む
誰かを認識すること
時間の流れ
周囲の人の生活の変化
いろんなことが混乱し、
観ているこちら側まで、何が現実か分からなくなってくる
最後まで観ても、結局あれは?というのがあったりする
ちょっとしたサスペンスみたいに
そのストーリーを際立たせるのは、
やはりアンソニーホプキンス
そしてオリヴィアコールマン
文句なしの五つ星
月並み過ぎるが、「いい映画」だと思った。
父を介護する家族の苦労を描いた映画ではない。
介護を受ける認知症の父の苦労・混乱・悲しみを描いた映画だ。
アンソニーホプキンスの演技は、半端じゃない。
アカデミー賞を受賞して当然の名演だ。
また、今年の作品賞受賞作のノマドランドを私はまだ観てないが、ファーザーこそはアカデミー賞作品賞に相応しいものであると感じた。
見ようかどうか迷っているあなたには、絶対の自信を持ってお勧めする。
タップダンスに胸締めつけられる
認知症を患ってからの日々を当人の視点で描くと、こんなにサスペンスフルな映画になるんだ。ナイスアイデア。面白かった。
一方で、やっぱり胸がつまるところもある。こんなふうに悪い夢の中にいるみたいなのかな、認知症の当人は、と思うと。
アンソニー・ホプキンスの役がまた、うちの父(今のところは体も脳も元気)に少し似ている。新しく出会った若い女性の前でおどけてみせたりする感じなんか、あるある。認知症になるまでは、自分の世界をしっかり持ちつつも社交を楽しんだ人なんだろうな。
寂寥感はあるけど、決して絶望的ではなくて、いいエンディングだった。少なくとも、心無い言葉でいじめてくる男(娘の当時の夫)はもういないし、娘はわざわざ会いに来て一緒に散歩を楽しんでくれる。
私から薦めると傷つけそうだからダメだけど、両親がどうかしてこの映画に出会ってくれたらいいなとちょっと思う。
晴れの日を楽しもう。
知らないうちに、世界が変容していく。
あいつは誰なのか。
ここはどこなのか。
話が違うのではないか。
なぜ自分をそんなふうに扱うのか。
「my flat」私の家への侵略者、私の日常への侵略者。
そして、私はいったい何者なのか。
認知症をこんなふうにして見せ、その認知の歪みを体験させるこの映画の凄まじさ。関わる人々の力量。
主要な演者はたったの6人なのに、誰が誰なのかわからなくなり、混乱するようなこの感覚が、「それ」なのだ。
アンソニーに忍び寄る不安の表現に、エンドロールでは涙が止まりませんでした。忘れられないアンソニーの最後の表情、最高の演技に、最大限の感謝を示したい。みんなに見てほしい。
ふっと出てきたフラットの共有庭のオブジェや、より深く伝えるために計算し尽くされているであろう家の作りやインテリアなどにも注目したいので、もう一度観たいと思っています。一度では追いきれず…涙
そしてどんなに認知が歪んだとしても、愛情が伝わる瞬間が、少しでも多くあればいいなと願ってやみません。
言い方悪いけどある意味ホラー
見ていて浮かんだ言葉はこれだった。
あらすじを知った上で覚悟してたけれど…。
現実がどれなのか?誰が本当の家族なのか?周りが嘘をついている?では誰が嘘をついているのか…?
終盤までそれが延々と続き、少しずつ真実が見えてくる。
でも、これはあくまでも私がこの映画を見た真実であって、主人公の真実ではない。
「私達には現実でないことでも、彼らには現実だから」と、介護関連の記事で読んだことがある。まさにそうなんだなぁと感じた。
正直、誰から構わずお薦めする映画ではない。私には苦しかった。
混乱、怒りや悲しみ、そしてその理由
忘却とか混乱というものを、なるべく主観的に表現しようという意志を感じました。それ故に難しくて複雑な気がしますが、見ていて訳わからんとなることこそが、この忘却と混乱の本質なのかもしれない。
細切れに、なおかつそれが連続する内容の時間軸や真実味が実に曖昧で、見ていて不安になるしイラついたりするかも─。でも、時に怒ったり、時に意味不明だったり、時に泣き出したり…奇異に思えるような言動には確かな理由があるということを気づかせてくれる。
それなりに理由や意味が分かってくると、意外と幻想的な作品にも思えてしまったけれど、現実社会で実際にその渦中に入ってしまうと難しさしかないのかも─。
ファンタジーとかサスペンスに見えてしまうようなところを、アンソニー・ホプキンスの名演で、心が悲しい現実に引き戻されるようだった。
革新的で優れた作品でしたが、そこには確固たる悲哀がありました。
mille-feuille
重層的な演出はアカデミー賞俳優達のなせる技あっての出来映えであり、映画的表現の新たなページを開いた功績は大きいと思う。
好き嫌いがハッキリ分れる作品ではあるが、それでもジャンルとしての確立は成し得たであろう。
大変優秀な作品であった。
人間は必ず老いる
不覚にも後半睡魔に襲われてしまったので、ところどころ、抜け落ちたところがあった。単に痴ほうになった老人の生活を描くのではなく、老人の頭の中の再現をしている脚本の妙があって、観ている側も混乱していく。
痴ほう症の追体験をしているようだ。アンソニー・ホプキンスは「羊たちの沈黙」での演技が強烈で、今作も痴ほう症とはいえサスペンスミステリーのような雰囲気になるのはアンソニー・ホプキンスの演技ならでは。
それにしても、介護の仕事ってめちゃっくちゃ大変というか、人間そのものへの深い愛情がなければ、やっていけない仕事だと思った。人間は必ず老いる。そのことを含めて人間を愛しているか否か、ってところを突きつけられる。
これは中高年向け恐怖映画だ
どこで辻褄合わせが来るのかという不条理なエピソードが延々と続く。話を追う限り主人公は何も悪くなく、周囲の誰かが何か企んでるいるようにも見えてくる。理不尽なのは周りなのか、自分なのか、なぜみな自分に苛立っているのか、昨日ここで起こったことは幻なのか、訳が分からなくなってくる。こんな中に毎日いたら誰でも気がおかしくなってしまうに違いない。
認知症が決して「ノンビリとボケていく」ものではなく、とてつもない恐怖と不安の中に放り出されるものだと実感、そう遠くない将来自分にも訪れるかもしれないと考えただけで戦慄の走る映画だった。あの勇猛なフロスト中佐が、不敵のレクター博士が、幼児のように咽び泣くラストシーンは、アンソニーホプキンスの俳優人生の集大成としての「演技を超えた何か」と自身の未来への悲観が混じり合ってしばらく席が立てなかった。
今となっては懐かしいような
認知症の父親を演じたアンソニー・ホプキンス。
㊗️アカデミー賞主演男優賞‼︎
しかし、ごめんなさい、アンソニー様。
よく知る世界なので客観的に観ることができません。
認知症の初期から中期にある記憶の混濁。何にも無くなって久しい今となっては、この頃のことが懐かしいような。
現実には何にも残らない。
喪失感しかない。
斬新かつ洗練された演出と圧巻の演技。
ずーーーっと観たかった映画です。
ようやく鑑賞できました。
すごい映画でした。そして素晴らしかった。
まず、アンソニーホプキンス、健在。見事。
圧巻です。
強さ、脆さ、戸惑い、悲しみ、怒り、意固地
不信、怖れ、当惑、自慢、見栄、悲しみ、
退行、子供、大人、親、男・・・
などなど、人間(男性)の全ての感情と
心情を演じたのではないでしょうか?
登場人物が少なく、シチュエーションも
限られているのにこれほど厚みのある作品
となっているのは、この演技で生まれる
説得力が大きく貢献していると思います。
もう、語るだけで、表情が変わるだけで
ストーリーに画面に色がついていく感じ
でした。演者の力でこんなにも観る側の
心情が揺さぶられるなんて。
さらに本作は虚実ないまぜに展開して
いきます。
まるで夢の中にいるような。。。
虚でも実でも説得力を与えるのは演技
ですね。
さて、本作ですが、予想の斜め上を行く
内容でした。これまで認知症の親子を描く
物語はあったと思いますが.まさか認知症を
患った人の視点で描かれた作品があったで
しょうか?認知症の方がなにを思ってその
行動に出るのか?は.完全には解明されて
ないだろうと思います。しかし、作中の
アンソニーの行動には全て理由があります。
彼の頭の中が描かれているのです。
多分、記憶と現在の境目が朧げになって
しまうという認知症の症状から想像したの
だと思うのですが、その描き方が見事なのです。
誰かわからなくなる、
何のこと言ってるかわからない
徘徊する
など、認知症の方が行う行動の動機付けを、
その人の過去の経験や性格とうまく結び
つけてますすごいと思いました。
あぁ、そういうことなのか?と思って
しまいます。
(本当にそうなのかもしれませんが)
またその行動を映し出す際の視点が認知症
本人です。ここがどこかわからない。
昨日ここにいたはずなのに。
怖くて、人が信じられない。
確かに患者本人の頭の中はこうなのかも
しれません。ここの演出がサスペンス
タッチで描かれているんですね。
確かに、患者当人には毎日がホラーかも
しれません。認知症、なった本人が一番
辛いのだろうなぁと思いました。
なりたくてなったわけじゃないんですから。
認知症の人の行動によくここまで裏付け、
ストーリー付けができたなって感心します。
認知症本人の描き方が見事ですから、
介護する家族の辛い心情も痛いほど
伝わってくるんです。
日々の辛さ、もどかしさ、伝わらない
愛情や献身、思いがけず投げかけられる
否定発言、、、そして、優しさと感謝。
いっそ殺して・・・なんて考えてしまう
ほどに気持ちボロボロ
体もボロボロになっても愛情を消すこと
はできないし消えない・・・
それがビシビシと伝わってくるのです。
(オリヴィア・コールマン、名演です)
なりたくてなったわけではない認知症が
大きな障害となり家族の中に横たわり
ますが、完全に忘れているわけではない
家族の記憶の存在、そして変わらぬ愛。
親子の愛情賛歌です、本作。
信じたい、なくならないものがあることを。
そう願いたい、そうありたい。
傑作です。
老い老い老い
老いの切なさとチャーミングさのたまらない感じが素晴らしいアンソニー・ホプキンス。
「愛 アムール」を思い出しました。あのジャン=ルイもチャーミングで切なかった。
もし認知症の人の認識がこの映画の通りなら、自分だったら怖いし、お世話の相手だったら優しくしてあげたい、と思う。
て、ゆーか、切なくてすごいいい。
「あ、言っちゃった!」って口を抑えるシーンは最高!
なんて疲れる映画なんだ
褒め言葉。
オープニングはあまり面白くない話から始まる、なんだもしかしたらこんなのが続くの?と思ってると、あれ?あれ?
話がよくわからない?この人は誰?と混乱してくる。
理解しようと頭を整理しながら見るとよけい何がなんだかわからない。
認知症目線がこんなにホラーのような展開になるとは思いませんでした。
アンソニーホプキンスはさすがの演技で、イライラさせられたり悲しくなったり見てるこちらが振り回される。
それが家族の視点でいつのまにか見ていたり本人の視点になったりで感情がぐちゃぐちゃになる。
舞台背景も見ていくとなんとなく分かっていく作りがとても優れていました。
終わった後ぐったりしてしまった。
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