劇場公開日 2010年6月19日

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瞬 またたき : インタビュー

2010年5月11日更新
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北川景子、追憶の彼方から呼び寄せた感覚的演技

映画、連続ドラマに引っ張りだこで、精力的なまでに女優としての活動にまい進している北川景子。最愛の恋人とともに交通事故に遭い、自分だけ生き残ってしまった主人公・泉美に扮した「瞬 またたき」では、終始沈うつな表情でこれまでにない痛々しい演技を見せている。記憶が重要なパーツを占める同作で、“表現者”としての北川を駆り立てたものが何だったのかに迫った。(取材・文:編集部、写真:堀弥生)

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■自分の辛かった経験を思い出した

北川は、森田芳光監督作「間宮兄弟」(2006)で銀幕デビューを飾り、本作が13作目の映画出演になる。「花のあと」に続く主演4作目で対峙することになったのは、PTSD(心的外傷後ストレス障害)に苦しみながら、亡き恋人が最期に起こした“真実”を追い求めもがき苦しむひとりの女性の姿だ。

辛すぎるゆえに封印してしまった記憶を呼び戻そうと躍起になる役どころについて、「自分の辛かった経験を役と重ねるために考えました。そのときに思い出したのが、阪神大震災(兵庫県南部地震)で被災したときの記憶でした」と振り返る。

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劇中で、恋人役の岡田将生と仲むつまじく寄り添いあい、幸せそうな表情を浮かべる北川の姿はごくわずかなシーンしかない。大部分を占めるのは、恋人を失い悲しみの淵に立つまなざしであり、目をそらさずに真実に立ち向かおうと突き進む決意に満ちた面持ち。

「全部が同じ表情に見えないように気をつけないといけませんでした。辛い表情といっても、思い出したくない辛さから、思い出したいのに思い出せない辛さまであると思うので、その都度考えながら演じました」

初めて仕事をすることになった磯村一路監督からは、2冊の書籍を託されたそうで「クランクイン前にPTSDに関するものと、愛する人を失った方々の体験談をまとめた書籍をいただいたので、それを読んで理解を深めました」。演者の気持ちを大切にしてくれたといい、「監督からは思った通りにやってくださいとしか言われませんでした。涙を流すシーンはテイクを重ねずに決めたいという気持ちがあったようなので、1回で演じきるように集中しました」と語った。

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インタビュー2 ~北川景子、追憶の彼方から呼び寄せた感覚的演技(2/2)
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