劇場公開日 2009年8月22日

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ノーボーイズ,ノークライ : インタビュー

2009年8月18日更新

現在放映中のNHK大河ドラマ「天地人」で主人公・直江兼続を演じる妻夫木聡と、韓国で大ヒットを記録したスリラー「チェイサー」の連続殺人鬼役でブレイクしたハ・ジョンウが共演する日韓合作映画「ノーボーイズ,ノークライ」。映画は裏家業に手を染めた日韓の青年2人が徐々に絆を深めていく物語だが、本作の共演をきっかけに実際にプライベートでも親交を深めたという妻夫木とハ・ジョンウに話を聞いた。(取材・文:編集部)

妻夫木聡&ハ・ジョンウ インタビュー
「僕たちが出会えたこと自体が大きな財産」(妻夫木聡)
「この映画で聡という親友に出会えた」(ハ・ジョンウ)

日韓の実力派キャスト・スタッフが集結し、国境を越えた男同士の友情を描く
日韓の実力派キャスト・スタッフが集結し、国境を越えた男同士の友情を描く

――出演を決めた経緯を教えて下さい。

妻夫木は「ジョゼ~」の脚本家と再タッグ
妻夫木は「ジョゼ~」の脚本家と再タッグ

妻夫木「以前、釜山映画祭に行ったときに、韓国の方々のパワーにすごく感動して、いつかこの人たちと仕事をしてみたいと思ってたんですが、今回その夢がようやく叶いました。脚本は渡辺あやさんという大好きな脚本家が手がけていて、独特な人と人の歩み寄り方が描かれています。“こうすれば人は仲良くなれる”というほど、人間は単純じゃないじゃないですか。一歩ずつ歩み寄っていく人間らしさをストーリーの中に感じて、そういうものをハ・ジョンウ氏とだったら表現できると思ったんですよね」

ハ「聡を初めて見たのは『ジョゼと虎と魚たち』で、その時の印象がとても強く残っています。あの脚本を担当していたのが渡辺あやさんで、とにかく映画を見てすごく感動したのを覚えています。数年後、偶然にも今回のプロジェクトに呼ばれたのですが、妻夫木聡、渡辺あや、キム・ヨンナム監督の3人の名前を聞いて、初めはとてもアンバランスだと感じたんです。たとえばキム・ヨンナム監督はリアリズムの演出スタイルなので、渡辺さんの描く独特な雰囲気をどうやって描くんだろうと考えたら、その時点で気になって仕方がなかった。新しいことへの挑戦としても興味が沸いたし、結果的にこうやって良い作品をお見せすることができたので良かったですね」

――お互いのどんなところに魅力を感じますか?

妻夫木「芝居に対してストイックな方なんだろうなというイメージがありましたが、それ以上に役に自分を入り込ませていくタイプですね。演じる役を知ることで、演技の振り幅をより大きくしているんだという印象を受けました。それと、ただ役者として相手に接するだけでなく、僕自身のことも知ろうとしてくれるし、自分のこともオープンにしてくれる。だから僕も役者としてだけでなく、ハ・ジョンウという1人の人間として好きになりました」

新潟の町をよく出歩いたと話すハ・ジョンウは 「チェイサー」とは一転、大らかな青年に扮した
新潟の町をよく出歩いたと話すハ・ジョンウは 「チェイサー」とは一転、大らかな青年に扮した

ハ「第一印象はとても健康的な明るい青年でしたね。撮影の1カ月ほど前に衣装合わせをしたのですが、特に理由はないのに会うと良い気分にさせてくれる人だと思いました。撮影は新潟の静かな町でしたが、お酒の美味しいところ、レストラン、韓国料理屋に至るまでいろんな場所に連れて行ってもらいました。新潟はお酒が美味しいところだということで、2人でしょっちゅう出歩いてましたね。撮影も一緒、休みの日も一緒、スポーツするのも一緒と、自然に親しくなれるシチュエーションが揃っていて、親友と合同合宿しているような撮影でした。撮影は去年の7月だったので、一緒に海で泳いだのも良い思い出です」

――言葉が通じなくてもお互いに通じ合えたことはありますか?

妻夫木「芝居でも人生でも、何が正しくて何が間違っているかは決めつけることじゃないと思うんです。何が起こるか分からない世の中だから、自分が何をどう楽しむかという価値観次第で、いくらでも人生を変えることができる。そういう意味で、僕らも言葉の違いを飛び越えて人間として影響を与え合って、映画もより面白くなったんだと思います。僕たちが出会えたこと自体が大きな財産だと感じているし、映画の中で亨とヒョングが出会ったのも彼らの財産になったと思います」

撮影中はどんな小さなことでも訳してもらい お互いについて理解を深めていった
撮影中はどんな小さなことでも訳してもらい お互いについて理解を深めていった

ハ「日本でロケをして日本人スタッフと仕事をするのが初めてでしたが、撮影中は本当に楽しい時間を過ごせたことを覚えています。実際に日本の方々と過ごしてみて、自分が思っていたより温かい人たちだと感じました。もちろん妻夫木聡という人間的な魅力に溢れた人が側にいたからこそ、そういう風に感じたのでしょうね。

言葉については、撮影現場には3人の通訳がいて、一言一言に至るまですべて逃さず訳してもらいました。それこそ息遣いまで訳してもらうほどでした。さらに普段の生活の中でも、細かい言い回しやニュアンスまで訳してもらうようにしました。そうやっているうち、自分でも聡が話すことに対して集中するようになり、彼が感じていることや言っているニュアンスが段々伝わるようになってきたんです。情を持って集中して相手に接すれば、言葉なんて関係ないんだと実感しましたね。人間にはテレパシーが存在して、それが化学作用を起こして本作のような素晴らしい作品が生まれたのだと思います」

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インタビュー2 ~妻夫木聡&ハ・ジョンウが語る国境を越えた友情(2)
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