重力ピエロ : 新作映画評論

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重力ピエロ

劇場公開日 2009年5月23日
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重力ピエロ 5月23日よりシネカノン有楽町1丁目ほかにてロードショー

芝居の見応えで堪能させる近年の日本映画には極めて珍しい快作

仙台市内で発生する連続放火事件と現場の近くに残された謎の落書き。大学院で遺伝子の研究をする兄と落書き消しの仕事をしている2歳年下の弟はその落書きが放火犯のメッセージだと知って犯人を追ううち、24年前に彼らの家族に起きたある悲劇を知ることになる……。物語がたどり着くのは究極の家族愛と、流行りのキーワードを使えば“草食系男子”のしたたかさ。この後者こそが著作が競うように映画化されている伊坂幸太郎の原作が現代的として人気を得る最大の要素の一つでもあろう。切なさと感動の基本はとりかえしのつかない悲劇でも、巧みな構成でもなく、外見は優しく、線の細い男たちの本質的な芯の強さ、あるいは強くあろうと努力する姿。それを体現するのは加瀬亮と小日向文世という、日本で“草食系”をやらせて右に出る者のない2人の演技派俳優だ。この2人をキャスティングした段階でこの作品の勝利は約束されたといっても過言ではない。“肉食系”を演じる渡部篤郎、岡田将生、吉高由里子のエネルギッシュな奮闘も2人を際立たせている。

「Laundry」の森淳一監督は、多くの伊坂作品の映画化が特異な物語だけを語ろうとして失敗している轍を踏まず、謎解きミステリーとしての仕掛けはほどほどにして、演技の質を高めることで登場人物に深みと奥行きを持たせるという映画作りの基本を真摯に実践し、型破りな物語に説得力を持たせることに成功した。芝居の見応えで堪能させる近年の日本映画には極めて珍しい快作である。

江戸木純

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ABOUT THE MOVIE

  • 重力ピエロ 画像2 [拡大画像]
  • 重力ピエロ
  • 人気作家・伊坂幸太郎の直木賞候補になった同名ベストセラーを映画化。大学院で遺伝子の研究をする兄の泉水と、自分がピカソの生まれ変わりだと思っている弟の春。2人は、仙台の街で起こる連続放火事件と、現場近くに必ず残されるグラフィティアートの関連性に気付き、事件の謎解きに乗り出すが、そのことで24年前から今へと繋がる家族の謎が明らかになっていく。監督は「Laundry」の森淳一。泉水役に加瀬亮、春役は岡田将生。
  • 監督:
    森淳一
    エグゼクティブ・プロデューサー:
    豊島雅郎
    プロデューサー:
    荒木美也子、守屋圭一郎
    原作:
    伊坂幸太郎
    脚本:
    相沢友子
    撮影:
    林淳一郎
    美術:
    花谷秀文
    編集:
    三条知生
    音楽:
    渡辺善太郎
    出演:
    加瀬亮岡田将生小日向文世吉高由里子岡田義徳渡部篤郎鈴木京香
    製作国:
    2009年日本映画
    上映時間:
    1時間59分
    配給:
    アスミック・エース
  • 5月23日よりシネカノン有楽町1丁目ほかにてロードショー
  • オフィシャルサイト

(C)2009「重力ピエロ」製作委員会

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