劇場公開日 1998年5月23日

ラブ・レター(1998)のレビュー・感想・評価

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2.0弱者からタカる平成日本。吾郎の涙だけが僅かばかりの救い。

2024年5月18日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

泣ける

悲しい

単純

『壬生義士伝』、『鉄道員(ぽっぽや)』でも知られる浅田次郎の短編小説(1996年発表)が原作。

1998年、松竹。
『鉄道員(ぽっぽや)』の映画化権を東映に取られた松竹がサクッと製作して、「浅田次郎作品、初の映画化!」という称号をとって一人悦に入ってたらしい(笑)。

バブル崩壊後ではあるが、
まだ日本は自他ともに認める経済大国だった。

就学ビザで来日し、そのまま日本に居着いて、
夜の商売をして母国に仕送りを続ける外国人女性がたくさんいた時代だ。

昨今の円安で、日本の女性が海外で稼ぐようになった令和とは真逆だ。

高野吾郎(中井貴一)は、バツイチのチンピラ。
裏ビデオの販売など、いわば雑用係をして糊口をしのいでいる。高校生になった娘と会うのが唯一の楽しみだ。

ある日、社長(根津甚八)に頼まれ、中国人女性・康白蘭と偽装結婚する。それだけで80万円くれるという。
白蘭(パイラン)とは、入管で職員面接がおこなわれる直前に初めて会い、面接が終わるとそのまま別々に暮らす。

白蘭は、「日本人の妻」という身分を手に入れるために吾郎が手にした80万円を含めて300万円ほどブローカーから前借りしたという。
それを返済するために、ブローカーが手配した夜の仕事に就く。

それからしばらくして、白蘭は過労がたたり病死する。

吾郎は遺体の引き取りを要請され、渋々、千葉の田舎町に向うのだが…

◆不法滞在を合法にするための偽装結婚
◆偽装結婚のための多額な前借り
◆それを返済するための管理売春
◆逃亡を防ぐため拉致監禁同様の日常…

社会の繁栄には、必ず「影」がある。

個人的に胸が痛むのは、
吾郎が手にしたカネを
・ノミ行為で散財
・ショーパブでドンペリ
・イミテーションリングを20万円で購入
すべて、広義の同業者に回収されていくサマだ。

裏社会の恐ろしさをさりげなく描いている。

日本をキライになりそうだったが、
白蘭の手紙に涙する吾郎の姿が、わずかばかりの救いになっている。

国会議員になった山本太郎のほか、
大地康雄、倍賞美津子、柄本明、名古屋章、佐藤B作、大杉漣、平田満、洞口依子、笹野高史など実力派が多数出演。

ストーリー展開は素敵なのだが、
山本太郎のクセが強すぎるのと、後半の間延びが辛いので、☆2.0

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Haihai