劇場公開日 2015年10月1日

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ドローン・オブ・ウォー : 特集

2015年9月25日更新

「アメリカン・スナイパー」に心をつかまれた人へ、映画.comが超・推奨する問題作
これは未来の物語ではない、今現在行われている戦争の実態だ!!

これが現在の戦争だ──9・11以降の対テロ戦争の実態、アメリカ軍の無人戦闘機による爆撃の知られざる真実を描く「ドローン・オブ・ウォー」が、10月1日から全国公開される。「TIME タイム」のアンドリュー・ニコル監督&「6才のボクが、大人になるまで。」のイーサン・ホークという「ガタカ」の強力コンビが描く衝撃作の見どころに迫る。

戦地に赴かずして無人機で空爆を行うという、戦争の現在を描く!
戦地に赴かずして無人機で空爆を行うという、戦争の現在を描く!

■衝撃の事実! ドローンは、アフガンではなく米本土から操縦されていた!!
 あの傑作「ガタカ」のコンビが、実話を基に現代の戦争の“裏側”を暴く!

アンドリュー・ニコル監督と名優イーサン・ホーク、今なお高い人気を誇る傑作SF「ガタカ」のコンビが、またもや我々の前に衝撃の問題作を突き付けた。2001年9月11日、アメリカ同時多発テロ発生以来、今なお続く泥沼のような「対テロ戦争」。無人戦闘機(ドローン)によって行われている現代の戦争の恐るべき実態をまざまざと見せつけるのが、本作「ドローン・オブ・ウォー」だ。

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彼らの“戦場”は基地のコンテナの中
彼らの“戦場”は基地のコンテナの中

上空から目標を補足、ロックオンしてミサイルを撃ち込む。戦闘機映画でよく描かれる光景だが、本作では何かが違う。ホーク演じるパイロット、トミーは戦闘機に乗り込んでいるのではなく、快適にエアコンが効いたコンテナ内のオペレーション室にこもり、モニター越しにドローンを操縦して攻撃を行っている。それはまるでリアルなシューティング・ゲームのよう。コンテナがある基地は戦地アフガニスタンからはるか彼方のアメリカ本国・ラスベガスに存在し、トミーは毎日、愛する妻子と暮らす自宅からここに“通勤”して戦闘を繰り返しているのだ。



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心を病み、やがて夫婦の関係にも亀裂が
心を病み、やがて夫婦の関係にも亀裂が
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「もはや兵士が戦場に行かなくても、戦争は実行できる」という現実。人を殺すという実感に襲われず、命の危険にさらされることもないと聞けば、こんなにいい方法はないと思うかもしれない。だが、人の心はそこまで強くもなければ冷淡でもない。F-16戦闘機のパイロットとして多くの死線をくぐり抜けてきたトミーには、現実感の欠落した戦闘行為には違和感しかなく、郊外のマイホームから車に乗り、華やかなラスベガスの街を抜けて“戦場”である基地へと至る毎日が“異常な日常”としてのしかかってくる。命じられる理不尽な作戦の数々にやがて彼は心をむしばまれ、(戦場に出ていないのに!)心的外傷後ストレス障害に悩むようになる。


ドローン部隊に配属される若き兵士たち
ドローン部隊に配属される若き兵士たち

ガタカ」「TIME タイム」等、人間とテクノロジーの関係性に強くこだわってきたのがニコル監督。本作では、現代の戦争が人間をどう変えるかが克明に描かれる。「ドローンによる空爆がニュースで報道されるようになって、絶好のタイミングだった」と監督は言う。誰が爆撃のスイッチを押すのか。そんな人間はどこにいるのか。監督は米国内にあるドローン操縦用の施設と操縦士たちの実態を徹底的にリサーチしたが、ドローン空爆の真実はあまりに衝撃的すぎた。非人間的な作戦行動を描けば、対テロにまい進する米国の気運を壊しかねないと懸念したのか、全てのメジャー・スタジオは映画化企画に「ノー」と返答。だが、映画化を熱望する監督は並々ならぬ思いで資金集めに奔走し、盟友ホークとともについに完成にこぎ着けたという。



■ひと足先に本作を見てきた映画.comの感想──
 「この感覚は何かに似ている──そうだ、これは『アメリカン・スナイパー』だ!」

戦争の最先端をリアルに描く問題作を、映画.comがいち早く鑑賞。果たして、「ドローン・オブ・ウォー」は一体どんな映画だったのか!?

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戦地の状況を伝える無数のモニター群
戦地の状況を伝える無数のモニター群

傑作と言われる数々の戦争映画を見てきたけれど、こんな戦争は今まで見たことがない。だって戦争といえば、陸軍にしろ海軍にしろ空軍にしろ、戦場に実際に行って戦うものだったじゃないか。それがこの映画では、パイロットである主人公が座っているのは、戦闘機のコクピットではなくてコンテナの中に設置された「コクピット風の椅子」。モニターを見ながらコントローラーで無人機を操作して攻撃……こんな、テレビゲームみたいな戦争が実際に行われているというのか……。


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“戦争”を終えるとマイホームに帰宅!?
“戦争”を終えるとマイホームに帰宅!?
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たとえ戦争がテレビゲームだとしても、まだ操作する基地が戦地(アフガニスタン)にあるんだったらまだ理解できる。でも驚いた、そうじゃないのだ。基地があるのはアメリカのラスベガス。え!? 1万キロ以上も離れたところから無人機を操作しているのか!? そして、攻撃任務は定時が来たら別の人間と交代。車に乗って街を抜けて、妻子が待つマイホームへ……え! これって、毎日通勤している会社員と同じじゃないか!? 街を挟んで存在する「日常」と「非日常」。それを毎日繰り返してるなんて、みんながPTSDにさいなまれてしまうのも当然……。背筋がゾッと寒くなってしまった。


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「ゲームではない」と強調する上官だが
「ゲームではない」と強調する上官だが

湾岸戦争時にニュースで、目標物にミサイルが当たって爆発するゲームみたいな映像が流れていたのを覚えているが、現代の戦争はもっと激しく「ゲーム化」されていたんだ……と驚いていると、基地に新人を迎えるシーンがあって、その台詞でも驚かされた。「この中にはパイロット訓練施設ではなく、ゲームセンターでスカウトされた者もいるだろうが」……うろ覚えだけど、確かにそう言った。「ゲーセンでスカウト」だって!? これ、実話なんですよね? リサーチに基づいているんですよね!?


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女性隊員役をゾーイ・クラビッツが好演
女性隊員役をゾーイ・クラビッツが好演
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「ドローンを使った戦争を描く」と聞いていて、単純にドローン同士のドンパチが出てくるアクション映画みたいなのを想像していたけど、全然違った。ぐいぐい引き込まれて目が離せなくなっていく本気のドラマだ。空を飛んでいる実感、人を殺している実感、一歩間違えば殺されてしまうという実感を持たないまま戦争をしていると、人間はどうなってしまうのかが描かれてるドラマだ。劇中で主人公とペアを組む女性パイロットが「実際に戦闘機なんて乗らないのに、パイロットスーツを着てるなんて意味が分からない」と言うけれど、少しでも実感できるよりどころがないと、人間はダメになってしまうんだと痛感させられる。


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ジャニュアリー・ジョーンズが妻役に
ジャニュアリー・ジョーンズが妻役に

主人公は良き夫であり、良き父であるけれど、物語が進むにつれてどんどん心を病んでいき、以前と同じように家族と向き合えなくなっていく。戦争が人を変えてしまい、主人公が愛してやまないはずの家族を知らず知らず傷つけていく姿は、見ていて本当につらい。ああ、この感じ……心にズシンとくる重い感じは……そうだ、「アメリカン・スナイパー」と同じだ……。


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悲壮感あふれるE・ホークの演技に注目
悲壮感あふれるE・ホークの演技に注目

こんなに現実離れしていながら、でもこれが現実だなんて、どう受け止めればいいのか衝撃が大きすぎてまとまらない。だがこれが現代の最先端の戦争の真実なのだ。見ておかなければならないし、見るチャンスがあってよかったと本当に思う。日常と非日常を日々往復する異常性の描写、善良な家庭人が徐々に心をむしばまれていくイーサン・ホークのこん身の演技……映画的なクオリティもハイレベルな本作は、「アメリカン・スナイパー」にやられてしまった人には、絶対おすすめの1本だと断言したい。



■ドローンが戦争の形を変えた──これが現代の戦争だ!
 傑作戦争映画を見てきた映画ファンは、本作を避けて通れない!

壮絶な戦争の実態を描き、映画ファンに衝撃を与えてきた傑作戦争映画。「ドローン・オブ・ウォー」は、その系譜を受け継ぎ、新たな現代の戦争映画を描いたエポック・メイキングな作品だ。

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