ウォシャウスキー姉弟版「HEROES」!新ドラマ「SENSE8」 : FROM HOLLYWOOD CAFE

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コラム:FROM HOLLYWOOD CAFE - 第264回

2015年6月24日更新 小西未来

第264回:ウォシャウスキー姉弟版「HEROES」!新ドラマ「SENSE8」

画像1 Photo credit: Murray Close/Netflix

ウォシャウスキー姉弟が手がけた初のテレビドラマ「SENSE8」(センス・エイト)が、ネットフリックスで配信開始となった。

世界各地に散らばる赤の他人同士の8人が、ある日を境に意思疎通できるようになるというSFスリラーで――この能力をもつ人間を「センス・エイト」と呼ぶ――、彼らが謎の組織に追われながら、力を合わせていく物語だ。脚本はウォシャウスキー姉弟と、「バビロン5」で知られるJ・マイケル・ストラジンスキーが執筆している。

まず驚くのはスケールの大きさだ。サンフランシスコ、シカゴ、ロンドン、レイキャビック、ソウル、ムンバイ、ベルリン、ナイロビ、メキシコシティと世界各地を舞台にしているばかりか、セットや合成で外国を描くのではなく、実際にそれぞれの土地でロケ撮影を行っているのだ。ベルリンとナイロビをトム・ティクバ監督(「ラン・ローラ・ラン」)、ムンバイとメキシコシティをジェームズ・マクティーグ監督(「V・フォー・ヴェンデッタ」)、ソウルをウォシャウスキー作品のVFXスーパーバイザーを手がけているダン・グラスが演出し、残りをウォシャウスキー姉弟が担当しているという。これほどの規模で撮影されたドラマは前代未聞である。

さて、肝心の内容はというと、正直ちょっとわかりにくい。8人のストーリーが平行で進行するうえに、センス・エイトをめぐる解説やミステリー――彼らを抹殺しようする謎の機関と、守ろうとする人々がいる――が散りばめられているので、3話くらいまではなにがなんだかよく分からない。ウォシャウスキー姉弟が通常のテレビドラマの構造を踏襲せずに、「SENSE8」を12時間の大長編映画として作っているためで、状況説明が終わる4話あたりからようやく物語が動き出すことになる。

サンフランシスコに住む女性(ジェイミー・クレイトン)がトランスジェンダーだったり、メキシコの人気俳優(ミゲル・アンヘル・シルベストレ)が同性愛者であることを隠していたりと、LGBT度が高めだけれど、「SENSE8」は基本的には、「HEROES」のようなスーパーヒーローものだ。

画像2 Photo credit: Murray Close/Netflix

たとえば、アイスランド出身のDJ(タペンス・ミドルトン)がロンドンのクラブで音楽をかければ、シカゴの警察官(ブライアン・J・スミス)が爆音でたたき起こされるなど、当初、センセイトたちは自らの能力に戸惑い、混乱する。だが、やがてそれぞれ意志や感情だけでなく、スキルや知識までも共有できることに気づくと、メリットを享受するようになる。たとえば、ナイロビのバス運転手(アムル・アミーン)がギャングに絡まれたら、ソウルの社長令嬢でキックボクサーの女性(ペ・ドゥナ)が憑依して、代わりに戦ってくれる。主人公たちはそれぞれ特技や専門知識を持っているので、協力しあうととてつもない力を発揮する。他人の力を借りて敵を倒したり、問題を解決していくというヒーロー像は、とっても新鮮だ。

最近のウォシャウスキー作品は、いずれも野心的だけれど、詰め込みすぎて空回りをしていたように思う。「SENSE8」の場合は、映画と違って制限時間がないので――なんと、5シーズンぶんの構想があるそうだ――、ドラマとミステリーとアクションがいい塩梅になっている。シーズン2が楽しみだ。

[筆者紹介]

小西未来

小西未来(こにし・みらい)。1971年生まれ。ゴールデングローブ賞を選考するハリウッド外国人記者協会(HFPA)に所属する、米LA在住のフィルムメイカー/映画ジャーナリスト。「ガール・クレイジー」(ジェン・バンブリィ著)、「ウォールフラワー」(スティーブン・チョボウスキー著)、「ピクサー流マネジメント術 天才集団はいかにしてヒットを生み出してきたのか」(エド・キャットマル著)などの翻訳を担当。2015年に日本酒ドキュメンタリー「カンパイ!世界が恋する日本酒」を監督、16年7月に日本公開を控える。

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