A・ファルハディに続くイランの新たな才能 冤罪に立ち向かうシングルマザーのサスペンス「白い牛のバラッド」2月18日公開

2021年12月20日 12:00


理不尽な社会に立ち向かう女性を描く
理不尽な社会に立ち向かう女性を描く

第71回ベルリン国際映画祭コンペティション部門に出品された「Ballad of a White Cow」(英題)が、「白い牛のバラッド」の邦題で、2022年2月18日に公開される。

夫を死刑で失い、ろうあの娘を育てながら必死で生活するシングルマザーのミナ。1年後に突然、夫の無実が明かされ深い悲しみに襲われる。賠償金よりも判事に謝罪を求める彼女の前に、夫の友人を名乗る男レザが現れる。ミナは親切な彼に心を開き、3人は家族のように親密な関係を育んでいくが、ふたりを結びつける“ある秘密”には気づいていなかった…。罪と償いの果てに、彼女が下した決断とは。

ベルリン国際映画祭で「アスガー・ファルハディとモハマド・ラスロフの傑作と並ぶ」(IndieWire)、「何度も感情を揺さぶられる」(Screen Daily)、「罪と責任が緻密に構成されたドラマ」(Little White Lies)と熱狂を呼び、イランの名匠に並ぶ新たな才能と高く評価された。監督を務めたマリヤム・モガッダムベタシュ・サナイハは、2018年の「The Invincible Diplomacy of Mr Naderi」(英題)に続き、本作が2度目の共同監督。モガッダム監督は脚本と主演も兼任し、シングルマザーとして娘を育てようと奮闘しながら、理不尽な社会に立ち向かう女性を演じきった。

イランは死刑執行数が中国に次いで世界第2位の国(アムネスティ・インターナショナル調べ)で、近年では第70回ベルリン国際映画祭金熊賞受賞で話題を呼んだ「悪は存在せず」など死刑制度をテーマにした映画が数々と作られている。なお、本作はイラン政府の検閲により正式な上映許可が下りず、自国では3回しか上映されていない。厳罰的なイランの法制度を背景に、社会の不条理と人間の闇をあぶりだした本作は、死刑制度が存在する日本でも大きな問いを投げかける。

2022年2月18日から、TOHOシネマズ シャンテほか全国公開。

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