【インタビュー】映画でもコントでもない、“コントシネマ”ってなんだ? ジャルジャルの新しい挑戦

2021年11月18日 10:00


「サンチョー」は11月19日から公開
「サンチョー」は11月19日から公開

お笑いコンビ「ジャルジャル」が主演を務める「サンチョー」が、11月19日から全国15都市で公開される。登場人物はほぼ福徳秀介後藤淳平の2人のみで構成された、群像劇スタイルの異色作。映画でもコントでもない、“コントシネマ”と名付けられた本作について、ジャルジャルに話を聞いた。

本作は、舞台「JARUJARU TOWER 2021─ジャルってんじゃねぇよ─」(2021年夏公演)と同時進行で制作されたクロスメディア企画。エンタメ性と長編映画の物語性をかけあわせた新たな映像ジャンル「コントシネマ」として劇場で上映し、舞台版を鑑賞したファンも表現の違いを楽しめるようになっている。

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監督は、ジャルジャルの単独ライブツアーで演出を手掛けてきた放送作家の倉本美津留が担当。ジャルジャルの2人は登山部の高校生、駆け出しの漫才師、オリジナルのカット技法を極めた美容師、家主に鉢合わせてしまう泥棒、マジシャンの卵、公演に人生を懸ける劇団の座長など、11役に扮した。

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――映画館で公開することになった経緯を教えていただけますか。

福徳秀介:やろうって言ったのはこの人(近くのマネジャーを指す)です。大阪の単独が延期になって、スケジュールが2週間くらい空いたので、「撮りましょうよ」って言われて。それを言いだした次の日に打ち合わせを始めて、制作チームもその日に急遽集めました。

後藤淳平:最初は映画にしようっていうより、ロケでコントを撮ってしまおうという話でした。出しどころは決めずに動き出したので、まさか映画館で流れることになるとは。

福徳:DVDくらいのイメージだったのですが、蓋を開けたら映画館。これはやばいなと思う反面、たくさんの人に見てほしいです。僕たちはDVDもYouTubeも挑戦してきたので、次の挑戦の先は劇場っていうことでした。時代的にはYouTubeにアップするほうが楽だと思いますが、わざわざこういう風に映画館で上映するのがかっこよくていいなと思います。ただ、僕らは出しているコンテンツが多いので、追ってくださるファンの方は本当に忙しいと思います(笑)。

いろんな表情をしてくれました
いろんな表情をしてくれました

――鑑賞するのはお2人のファンの方が多いと思いますが、映画ファンにはどんな部分がおすすめですか?

後藤:今回“コントシネマ”と呼んでいて、映画とも違う、ただのコントの映像とも違うニュージャンルとして見てもらえたら嬉しいです。おもろい映画見るぞって劇場に来たら、ちょっと違う感じだと思います。出てくるのは僕ら2人だけで気持ち悪いとも思いますが。

福徳:思いっきり笑うような内容ではないし……実は僕はまだ見ていないんです(※取材時10月中旬)。ちゃんと音も全部入って完成した状態で見ようというのがあって、あえて見ていないんです。なので、どういう感じなのかわかっていないです(笑)。

――撮影はどのように行われましたか? ちゃんとした台本はなかったと伺いました。

福徳:形として台本を用意していないだけで、内容は2人の頭の中には入っています。なので、そんなにすごいことではないんです。

後藤:映像でしかできないシーンもあったほうがいいっていう話し合いがありました。カメラを何台も置いてカット割りしてというよりは、基本一発で生のコントを撮るというこだわりがありました。単独ライブと同時に撮影していたので、ネタはある程度固まっていました。単独と違って、「サンチョー」はお客さんを意識せず僕らがやり取りしているので、単独より良い意味で満足しているところもあるし、単独で言っていないセリフを言っているところもあります。流れは決まっているなかで、2人で自由にしゃべっている感じです。

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――個性的なキャラクター11人をお2人で演じました。

福徳:演じるというよりは、このコントを終えたら次のコントっていう感覚なので、次はこの人間、キャラクターっていうよりも、ただおふざけして終わり、次のコントへっていう感じです。かっこよく演じるとか演じ分けということもなく、ただただコントをやっている感覚です。

――映画メディアということで、お2人の好きな映画を教えていただけますか?

福徳:僕は「耳をすませば」です。なぜかわからないですが、60、70回は見ています。中2のときに初めて見て、全身に電気が走りました。そこから何回も見ていますね。ラストシーンが僕のなかで完璧です。中学生のときって、好きな子ができるとあの子と結婚するとか心に思い浮かべますが、段々好きっていう気持ちだけになっていって。結婚っていうワードがいつの間にか消えるのですが、あれを見たときにそうやったって当時の気持ちを思い出します。

後藤:いいなと思う映画はたくさんありますが、結構忘れていってしまって。それでも残っているのは、僕らが主演させていただいた「ヒーローショー」という作品です……ということでお願いします。

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――はい(笑)。 最後に、公開を楽しみにしている方々へメッセージをお願いします。

後藤:僕らはコントを作るのが好きで、単独ライブも定期的にやっています。今回は映画として見てもらうというという、僕らのなかでは新しい挑戦ができるので、幸せを感じています。たくさんの方に見てもらえたら嬉しいです。

福徳:ベージュのキャップをかぶって、ジャンパーを着たおっちゃんが「サンチョー」を見て、「なんやこれ、ようわからん」って言うのが想像できます。でも、そうなってこその映画やなって思うので、映画好きのおっちゃんに「ようわからん、なんやおもろいな」って思ってもらえたら嬉しいです。

サンチョー」は11月19日から東京・シネ・リーブル池袋、新宿バルト9ほか全国順次公開。

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