3億円の赤字、滅茶苦茶な要求…驚愕の“深作欣二伝説”を奥山和由&鍋島壽夫&中島貞夫が語る

2018年10月13日 17:45


北海道でのロケなどを述懐
北海道でのロケなどを述懐

[映画.com ニュース] 深作欣二監督によるピカレスク映画「いつかギラギラする日」(1992)が10月13日、京都国際映画祭2018内の「深作欣二特集 vol.1」で上映され、製作を手掛けた奥山和由氏、プロデューサーの鍋島壽夫氏、本映画祭名誉実行委員長の中島貞夫監督がトークイベントに出席。映画へ壮絶な情熱を注いだ深作監督の、驚がくのエピソードを語った。

北海道を舞台に、5000万円の現金を強奪後、仲間割れした男女たちが血みどろの死闘を繰り広げるさまを描く。大規模な爆破やカーチェイスなど、現在の邦画では考えられないド迫力シーンのオンパレードなだけに、奥山氏は今作の製作費について「赤字がとんでもないことになって。この1本のために、ある製作会社が倒産して解散した。赤字3億ですよ!」とぶっちゃけ、「監督が予算オーバーしたばかりではなく、台風が来たり……」と予想外の出来事も重なったと説明する。

社会現象を巻き起こした「バトル・ロワイアル」(2000)でもタッグを組んだ鍋島氏は、「『いつかギラギラする日』は6月に撮影だったので、梅雨のない北海道に行ったんです。そうしたら、北海道に40年ぶりの梅雨が来た」といい、「ほとんど撮れなくて、神奈川に戻ったら今年みたいに1週間ごとに台風が来た」と惨状を振り返る。続けて奥山氏は「当時、アクションものはなかなかヒットしない時代。それを覚悟のうえで、イケイケで作り上げた」と述べ、「梅雨や台風での赤字に加え、最後の車が(パトカーを踏み越え、海に向かって)ジャンプするシーン。パトカーのサイレンは買うと高いから借りているんですが、それを全部壊しちゃったから、全部買い取りになった」と笑った。

また、「バトル・ロワイアル」製作直前の知られざるエピソードも飛び出した。奥山氏は「『バトル・ロワイアル』に向かっていく時に、深作監督はがんになった」と切り出し、「そうとは知らない僕らに、電話がかかってきて『国立がんセンターにいる、“みたなつお”(水戸納豆のもじり)という名がかかっているから』と言うんです。訪ねると、開口一番『(世間的には)入院していないことにしてくれ。そのために知恵を貸してくれ』」と語り、「『ヤラセの記事を出してほしい。1年間、アメリカに行ったことにしてくれ』と。なので『サム・ペキンパーの映画をクエンティン・タランティーノとリメイクするため、1年間渡米する』というネタをあるスポーツ新聞に持って行ってみると、翌日にでっかく記事が出て、病院にいることを隠せた」と告白し場内を驚かせた。

破天荒な逸話の数々で知られる深作監督だが、奥山氏は「深作監督がいたから映画界に入った。思い出を通り過ぎて、人生そのもの」と恩義をにじませ、「滅茶苦茶なことを強要するが、自分でも努力する人。何と言っても、とにかくいい男だった。女優にモテた。色っぽかったし、男に最後は優しかった。『いつかギラギラする日』では現場はぐちゃぐちゃで、僕は『映画やめるわ』と帰った。すると朝方5時くらいに電話してきて、『やめるなよ。寂しいじゃないか』と一言だけ言ってきた」と目を細める。駆け出しのころから切磋琢磨しあっていた中島監督は、「とにかく映画を作るのに夢中なんです。その度合が強烈で、人の迷惑なんて考えない。しかしどうしても憎めない兄貴で、こっちも腹が立つんだけど、どうしてもあの男から言われると、やらざるを負えない」と懐かしそうに明かしていた。

京都国際映画祭2018は、14日まで開催。

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現金強奪後、仲間割れした男女の姿を追うピカレスク映画。

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