「デューン」監督&ティモシー・シャラメら豪華キャスト勢ぞろい ベールに包まれた物語を解き明かす
2020年9月10日 21:30
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[映画.com ニュース]ティモシー・シャラメが主演した、ドゥニ・ビルヌーブ監督の最新作「DUNE デューン 砂の惑星」のオンラインイベントが、8月3日(現地時間)に開催された。ビルヌーブ監督をはじめ、シャラメ、オスカー・アイザック、ジェイソン・モモア、ハビエル・バルデム、ジョシュ・ブローリン、ゼンデイヤ、シャロン・ダンカン=ブルースターら豪華キャストが参加。あわせて、イベントの模様をおさめた映像(https://youtu.be/USyS_4rWNnA)もお披露目された。キャスト陣の言葉をヒントに、ベールに包まれた物語を紐解いていく。
原作はSF作家フランク・ハーバートの小説「デューン 砂の惑星」。“デューン”と呼ばれる砂に覆われた惑星アラキスを舞台に、抗老化作用を持つ香料メランジをめぐる戦いと権力闘争を描いた、壮大な叙事詩だ。これまでデビッド・リンチ監督の「砂の惑星」、アレハンドロ・ホドロフスキーが映画化に頓挫した経緯をおさめたドキュメンタリー「ホドロフスキーのDUNE」などが製作されている。そして幼い頃から原作ファンで、映画化を夢見ていたというビルヌーブ監督(「メッセージ」「ブレードランナー2049」)の手により、再びよみがえった。
時代背景は、知性を持ったテクノロジーの長きに渡る支配から脱却した人類が、宇宙帝国を築いた遠い未来。ビルヌーブ監督は「この物語は人間の本質へのオマージュです。テクノロジーが省かれた世界が舞台なので、新しい環境に直面し、生き残りをかけて順応していく家族の悲劇が、より浮き彫りになります」と紐解く。シャラメは、原作の「人の知能に類似する機械は創造することなかれ」という一文を引用し、「現代に精通するメッセージだと思います。ソーシャルメディアやスマホに夢中になり、テクノロジーに知能が侵害されているという点は、現実問題を指摘する比喩のように感じました」と思いを馳せた。
ビルヌーブ監督は、本作のテーマを「運命」「託された未来」だと語る。「この映画は私たち人類が未来を開拓し、世界を改革する必要性を描いていると思います。特に若者たちに対して、世の改革を呼びかける作品なのです」。ビルヌーブ監督は、テクノロジーによる人類の支配が現実味を帯びつつある2020年は、公開にふさわしいタイミングだったといい、2部作となることにも言及した。
シャラメが演じるのは、アトレイデス家当主のレト・アトレイデス公爵(アイザック)とレディ・ジェシカ(レベッカ・ファーガソン)の間に生まれる主人公ポール・アトレイデス。女性の秘密結社「ベネ・ゲセリット」の繁殖計画外で誕生した、「クイサッツ・ハデラッハ(すさまじい超能力を持つ存在の意)」とされる超人という役どころだ。
ビルヌーブ監督「本作のような超大作を率いる役柄には、才能と技術を持ち合わせる俳優が必要でした。ティモシーは、人生を重ねたような魂を持ち、知性が瞳に現れています。映像では実年齢よりも若く見える点も、十代のポールを描く上でふさわしいと感じました。ティモシーには、1920年代のサイレントスターの様な、類稀なるカリスマ性があり、見る者にロマンスを感じさせてくれます。ポールは宇宙界を率いるリーダーになっていくのですから、そんなカリスマ性が非常に重要だったのです」
撮影は、ハンガリーやヨルダンの本物の砂漠で行われた。ビルヌーブ監督は、「映画の撮影は、カメラの前で人生を“再現”する非現実的な行為です。故に撮影の際には“本物”の要素がある事がとても大切だと思うんです」と、徹底的なこだわりをのぞかせる。シャラメは「撮影中はヨルダンの土地の神聖さを体感し、本当に映画の世界に包まれているように感じました。現場の写真で、膝まで深い砂に埋もりながら僕に指示をするビルヌーブ監督の一枚があるのですが、その写真でも、現場にいた皆が環境を“体感”していたのがわかると思いますよ」と述懐した。
この日はキャスト陣が、自らの役どころを語ってくれた。ポールの父親・レト公爵に扮するアイザックは、「レトは理想的な父親で、アトレイデス家の高貴さを持っている。テクノロジーを失った世界の帝国で、公家が敵対しあう中、高い意識と道徳心を象徴する存在なんだ」と解説する。
イベント当日に別作品の撮影のため、参加が叶わなかったレディ・ジェシカ役のファーガソンもコメントを寄せた。
ファーガソン「映画ではレディ・ジェシカの決断が物語を動かしていくという部分を強調しているけれど、彼女の決断は基本的に分裂を生んで、すべてを混乱させるわ。熱のこもった撮影方法は、私自身について多くのことを教えてくれたわ。それに砂漠はあまりに広大だった。母なる自然の前では、人はちっぽけな存在よ。エゴも消える」
ゼンデイヤは、ポールの恋人で、砂の惑星アラキスで育った戦士チェイニー役。撮影を「まるで異世界にいるような感覚になった」と振り返る。
ゼンデイヤ「アラキスの原住民フレメンたちは、民族間の結束が強いので、外部から自分の惑星にやってきた同世代のポールのことを、チェイニーは最初敵対視するの。ポールは彼女のことを夢で見て知っているのだけれど、チェイニーはポールのことは全く知らないから。チェイニーはポールと接するうちに、彼が未来の救世主だと気づくの。ふたりの関係はそれから発展していくのだけれど、私はそんなふたりの“始まり”をチェイニーとして演じることができたわ」
「ポールとチェイニーのベッドシーンは?」というファンからの質問に、シャラメが照れながら「本にも書いてあるだろ!? あるよ……。いや、ないかもね(笑)」と曖昧に答えるひと幕もあった。
続いてバルデムは、先住民フレメンの族長スティルガーを体現。
バルデム「スティルガーは、倫理と道徳心を備えていている役柄だ。フレメンの人々は、外部からの侵入で破壊される惑星アラキスの環境を守ろうとしている。彼らの考えには道徳心はもちろんのこと、環境問題への懸念が反映されているんだ」
モモアはアトレイデス家に忠誠を誓い、レト公爵から信頼を置かれる公家の副官ダンカン・アイダホ役、ブローリンも同じく副官で、ポールの第2の父親のような存在であるガーニイ・ハレック役を担う。
モモア「本作でこなしたアクションは、今まで俺が体験したアクションとは比べ物にならない。アクションの動きをテスト撮影し、ドゥニと、撮影監督のグレイグ・フレイザーと一緒に映像を確認した時に、『ここまで美しく描かれたアクションは見たことがない』と感じたのを覚えているよ。不格好な俺を、カッコよく見せてくれて本当に感謝しているよ」
ブローリン「(ガーニイは複数の弦がある架空の楽器『バリセット』の名手であるため)撮影のために特別に再現されたバリセットが現場に到着するなり、俺の手からオスカーが奪い取り、俺より遥かに上手に演奏したんだ。彼に比べて、ただのアマチュアの俺は、完全に自信喪失したね」
俳優になる前、スカパンクバンド「The Blinking Underdogs」のボーカル&ギタリストとして活躍していたアイザックは、「まだ彼(ブローリン)の演奏した映像は見ていないよ。早く見て彼の演奏をズタボロに批評するのが楽しみだ」と笑みをこぼす。そんな撮影中のエピソードで盛り上がるなか、モモアも「俺は走るシーンが多くてね、砂漠の烈風の中、ティモシー目掛けて走るシーンを夕陽が落ちるタイミングに合わせて撮影したんだ。実は俺は走るのが苦手でね……。汗と股擦れがひどいし、砂嵐で目の前が見えないのに、転ばないように全力で走らなくてはならず……。『ドゥニをがっかりさせたくない、絶対諦めない、俺は文句なんて言わない!』と言う思いで必死に頑張ったが、心の中では辛くて大泣きしていたよ(笑)」と暴露し、笑いを誘っていた。
さらに原作では男性として描かれるリエト・カインズ博士を演じたブルースターは、「アトレイデス家と(宿敵関係にある)ハルコンネン家、そしてフレメンの関係性や、惑星アラキスの謎を解く重要な役柄です」と解説。そのほかハルコンネン家の当主であるウラディミール・ハルコンネン男爵役のステラン・スカルスガルドをはじめ、シャーロット・ランプリング、デイブ・バウティスタらが出演している。
「DUNE デューン 砂の惑星」は、近日公開予定。
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