「砂の器」「鬼畜」の野村芳太郎監督死去
2005年4月12日 12:00
松本清張原作の「砂の器」や横溝正史原作の「八つ墓村」などの作品で有名な映画監督、野村芳太郎が4月8日、肺炎のため都内の病院で亡くなった。享年85歳だった。
松竹蒲田撮影所長を務めた映画監督、野村芳亭の長男として生まれた野村監督は慶大卒業後、41年に松竹入社。第2次世界大戦に復員後の46年から、黒澤明監督などの助監督を勤め、52年「鳩」で監督デビュー。その後、幅広いジャンルの作品を量産し、松竹黄金期を支えた。
だが、野村監督といえば、なんといっても松本清張原作のサスペンスもので有名。57年の「張込み」から始まって「鬼畜」「ゼロの焦点」「わるいやつら」など多くの傑作を生み出した。中でも松本清張をして「原作を超えた」と言わしめたのが、73年の「砂の器」。悲しい過去を持つ若きピアニストが堕ちていく様を、壮大な日本の四季と絡めて紡いだ映像は多くの人の心を掴んだ。
10年ほど前に脳出血で倒れてからは自宅で療養していた。生涯の監督作品は88本に上る。遺作は85年の大竹しのぶ主演の「危険な女たち」。