碁盤斬りのレビュー・感想・評価
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草彅剛の持ち味が見事なまでに溶け合った秀作
まずもって草彅剛という人間がいなければこの映画は何も始まらない。彼の内側からにじみ出る穏やかで実直で善良なる部分と、それがひとたび反転するや、瞳に阿修羅のごとき怒りと復讐の炎がほとばしる部分。一人の男の中でこれほど両極端な個性と感情が整合性を持って成立するのか心配にもなるが、この難行を難行に見せることなくナチュラルに成し遂げてしまうのが草彅の持ち味であり、白石監督流の演出の確かさと言えるだろう。時代劇という特殊な領域とはいえ、長屋暮らしの父娘の貧乏なれど心の底までは縛られることのない凛とした暮らしぶりや、國村準演じる質屋が辿る価値観の揺らめきは現代に通じるものがある。正義のあり方をめぐる主人公の葛藤も単純な勧善懲悪の公式では解き明かせない問いかけを伴って深く突き刺さる。要となる囲碁の攻防において、観客がルールを知らずとも演者の表情や雰囲気だけで手にとるように状況が感じられるのも非常に巧い。
物語、演技、演出をおおむね楽しめたが、若干の物足りなさも
ほぼ予備知識なしで鑑賞。所々不満に思う部分はあるものの、おおむね楽しむことができた。藩を追われ食い詰め浪人になった格之進を演じる草彅剛は静から動への振り幅が素晴らしく、ジャニーズ事務所退所後にテレビの仕事が激減するなど彼自身の不遇の時期が役柄に重なるのも感慨深い。格之進の娘・お絹を演じた清原果耶の可憐さ、仇の柴田兵庫役・斎藤工の憎々しさがうまくはまっていたし、國村隼、中川大志、奥野瑛太もそれぞれ持ち味を発揮。白石和彌監督は時代劇のメガホンをとるのは本作が初だそうだが、それを感じさせない安定した演出ぶりだった。
古典落語の「柳田格之進」という人情噺を基に、白石監督とは2019年の「凪待ち」(こちらは香取慎吾が主演だった)でも組んだ加藤正人が脚本を担当。調べてみると、娘とつましく暮らす格之進が、囲碁仲間の両替商・萬屋源兵衛の家を訪れた際になくなった五十両を盗んだと疑われて……というのが元の落語の筋。そして、格之進と兵庫の確執から対決へと向かう筋が映画のために追加された創作パートのようだ。時代劇の目玉である殺陣を見せるため仇討ちの話を挿入したのは理にかなっているが、活劇のボリュームとしてはやや物足りないか。白石監督の美学なのだろうが、漫画で言えば見開き大ゴマの“決め絵”に相当するアクションの一番の見せ場となるであろうショットを、大写しのスローでじっくり見せるとか別アングルで繰り返し見せるといった手法を用いず、さらっと流してしまうのがもったいない。
囲碁を知らない観客への配慮が希薄なのも、物足りなく感じた一因。源兵衛の下で働く弥吉が格之進に囲碁を教わるエピソードをせっかく入れたのだから、あのやり取りの中で囲碁の基本ルールをほんの少しでも示していれば、それ以降の碁盤上での勝負に対する興味が増したはず。主要キャストの顔ぶれから見て比較的若めの観客の動員を期待していると思われるので、囲碁人口を増やす好機にもなりそうだが、果たしてどうなるか。
ある過去をもった浪人侍の物語
普段はおとなしい印鑑作りの浪人侍。
唯一の趣味といえば碁をうつこと。
その碁によって過去の藩にいたころの事件が動きだす。そしておとなしい浪人侍にある嫌疑がかけられ大金をつくるために自分の娘を吉原に売る羽目に!期限は大晦日まで。おとなしい浪人侍の戦いが今!はじまる。
ストーリーも素晴らしいので是非とも劇場にてご覧ください。
なんだかんだで楽しんでしまった
この映画の原案が古典落語と後で知って驚いた。たしかに人情噺として成り立っているところもあるから納得はできる。ただ、いろいろと受け入れがたいこともあった。時代劇はその時代の考え方や精神性が受け入れにくい時かある。厳しい上下関係、メンツの重要性、厳格な御上への忠心。こうした武士道における違和感が強く表現されてしまうとダメだ。剛くん演じる格之進の言動に違和感を覚えてばかりだった。
いや、時代劇なんだし、という割り切りはできているのだが、それでも入ってこない。真面目すぎるぐらいの厳格さ。いや、それはわかるのだが、だからといってという行動に出てしまう。所詮武士はカッコつけの世界なんだよな。
人情噺としての流れと、復讐劇としての側面があって、個人的にはその復讐劇を楽しんだ。まぁ、この復讐劇の方もなかなか強引な話ではある。結婚までのすっ飛ばし方も驚きの展開。いろいろと時代だなぁ。モヤモヤしつつも、意外と楽しんでしまったのだからあまり文句は言っちゃいけない(すでにかなり言ってる気もするが)。
最後に、清原果耶のことを触れずにはいられない。彼女は素晴らしかった。またもや、いろんな演技を観ていきたいと思わせてくれた。
久しぶりに秀悦邦画を満喫しました
現代社会は行き交う情報やツールの量とスピードが目まぐるしい中で、久しぶりにストーリーと時間の移ろいをじっくりと噛みしめることが出来て、これぞ邦画という感が強いものでした。登場人物それぞれは確たる考えがあって、安直に流されないのだという信念が碁と通じるところがあるなと気づきました。黒澤明監督の「生きる」と双璧で、子や孫や知人に勧めたく、加えてこれらは是非、映画館の大画面でCMをはさまずに観ていただきたいと思います。
武士道のかっこよさ、草薙君と良くあっている。
・曲がったことが大嫌い、武士道のかっこよさが素晴らしい。(人生においてはやはりある程度柔らかな対応も必要だが、ここまでいくとかっこいい。)
・清原果耶が美しい!!
・すごく見やすい時代劇です。
つよぽん!
50両に関する流れは理解できたが、仇に関してはゴチャッとしていてあまりよく理解できなかった。
大まかな流れしか理解できていないが、それでも作品として面白いと感じた。
元ネタとなった落語を聞いたが、番頭が祭りでお絹に遭遇するシーンはオリジナルかな。
そこも含めて、落語にはなかった描写の付け加え、その肉付けの仕方が好きです。
観るまで時代劇の定義を知らなかったけど、
「時代劇」って言わないほうが観る人の敷居は下がる気がした。
國村じゅんさん『分かってんの、あなた❓』
惚けた性格で人の命が左右するって・・・
貴方、市中引き回しの上磔獄門。
シリアスな映像全てをコミカルにしてしまった貴方は私刑。
中韓映画でヤクザ役にオファーがあるのにも納得。
あっ、ツヨシ君、久々の主演でチカラ入りすぎてこっちが疲れた。
そうじゃないでしょ剛くん。
草彅剛って
この映画での演技はイマイチに感じた。
でもこの人、雰囲気が独特のモノを持っているからどの作品でもすごく良い役者にみえる(笑)
初めての時代劇映画なんだけど、斎藤、清原、國村の俳優陣と白石監督が好きなので観賞。
なかなか良かったよ。
俳優陣はどの人も役にピッタリで、特に國村隼なんて草彅と碁で対局する前とした後での人の変わり様が素晴らしかった。
味のえる良い役者さんですね。
でも、草彅剛と清原果耶はあまり親子には見えなかったのは自分だけ?
なんか最後まで親子としてしっくりこなかったな。
白石監督だからもう少し血が見られるかと思っていたが、それはだいぶ少なめ。
自分が『孤狼の血』を意識し過ぎたな。
殺陣のシーンが少ないなぁ。
せっかく時代劇なんだからもう少し見たかった。
でも正直、殺陣のキレはイマイチだった。
やっぱり時代劇の多かった時代の役者は殺陣が上手かった。
特に斬り終わった後に刀をピタッと止める『残心』は、昔の役者はとても絵になる。
今の若い役者は殺陣の上手い人がなかなか居ないんだよねぇ。
時代劇がテレビでやらなくなった事が原因なのかな。
囲碁のルールがサッパリわからないので、囲碁のシーンは感情移入が出来なかった。
弥吉に教える場面で、見ている人にも簡単なルールを教えてほしかったな。
でも、全体的に映像も綺麗だし雰囲気も良くてなかなか楽しめました。
最後のキョンキョンが良い人で良かったよ(泣)
#おいごばん して来ました!やっぱ映像素敵だー💓昼間の陽の光と夜の...
#おいごばん して来ました!やっぱ映像素敵だー💓昼間の陽の光と夜の行燈の灯。そこにある人々の暮らし。その世界にグッと引き込まれる。
#草彅剛 の表情に今回もやられた!前半と後半の表情の変化とふと見せる目の動き!特にエンドロール終わりの草彅くん のアップがカッコ良すぎる!侍がすごく似合う俳優!
#碁盤切り はキャストがほんと最高!#國村準 #清原果耶 #中川大志 #奥野瑛太 #小泉今日子 #斎藤工 #市村正親 皆んなの演技が素晴らしい! 誰もが楽しめる時代劇! 世界の人にも観て欲しい!
時代劇
ものすごく良かったです。
総合的にバランスの取れた映画です。明るさのトーン、俳優の演技、カメラアングル、構成
ストーリーとても良かったです!
草彅さんのめりはりの有る演技
それに負けずとわきを支える
俳優さん達。完成度の高い作品に成っていると思います!!時代劇ファンの私の中では今年一番です!!
粋な人達
粋過ぎと思いましたが他の方のレビューに落語が原作と聞いて納得
登場人物の殆どが粋なところを見せてくれます
個人的にはもうちょっと
あそこであーなってたらとかIFがある方が好きです
役者さん、素晴らしかったです
囲碁時代劇
時代劇は刀で決着を付けるが、本作は囲碁で勝負する(一部切り合い有り)。井山裕太はテレビでどのシーンに出演か分かっていたが、藤沢莉奈は中々出て来なかったので探した(後半入口で出演、セリフ有り)。話は、草薙を陥れた斎藤匠の敵討ちと五十両紛失事件が同時平行の為、なんとなくどっち付かずの感じがした。終盤にて碁盤切りの題名通りのシーンがあった。めでたしめでたしで終わるかと思いきや、草薙は昔、彼の告発によって不幸になってしまった人達にお金を渡しに旅立ったのであろう。
キョンキョンは熟女感が増しすぎ
時代劇は積極的には観ないのだが(例外は昨年の藤枝トヨエツ梅安)、白石和彌監督とあって鑑賞。てっきり暴力系時代劇(?)かと思いきや正統派という感じ。清原伽耶が相変わらず美人すぎちゃって、この時代にこんな顔貌の日本人いたのか?と思う一方、時代劇にマッチする侍顔の草彅君の落ち着きからのブチギレぶりや、國村隼のおいしい役どころ、斎藤工の巨神兵感など楽しめた。前後のピントを多用したり、グーッと顔に寄っていくなど安定したカメラもよかった。ちなみに囲碁は全然知らなくてもオッケー。
柳田の彦根藩での過去バナは言葉で語られるだけなのでそこはぼんやり感はあるものの、話は手堅く予定通りの大団円という感じ。ただし、直近話題となった芸大の吉原炎上案件を出すまでもなく、キョンキョンところの遊女たちだけはラストの展開を素直に喜べねえだろと思ってしまった。
狂気
観る前に想像していたとおり、、
碁 が分かるともっと楽しめたんだろうな、、というのが率直な感想
極端に観る人に状況をつかませない
意図的に不親切な編集で
???な展開が続くが
一応全部観ると理解できる
この???な展開に引っ張られて
主人公に没入できなかった
なんでここにいるの?なんで怒ってるの??状況が分かるまでの間に熱量が冷めてしまう
草彅剛さんと國村隼さんの演技は頭抜けてるし、脇を固める役者さんも素晴らしい
それだけで観る価値はあると思った
カメラワークは斬新で
セリフがなくても意図が伝わる圧巻の演出
そして、昼間の斬り合いのシーンは
説得力のあるリアルな立ち回りで
ぞくぞくさせられた
いくらなんでも評価高過ぎ
まあ、いい映画だな。日本アカデミー賞取るんだろうな。と思っていましたが、あまりにも皆さんの評価の高さに気持ち悪くなってきました。あんまり時代劇を見たことのないような人が「新しい時代劇だ」とか言ってるのは何?スタスタ現代人の歩き方をする草彅剛の演技を絶賛するのは何?主人が五十両をなくしてしまったのですが、見てて何か覚えてないですか?と格之進に聞かずにいきなり犯人扱いするのは何?そして誰もそれをコメントで言わないのは何故?不自然に思わなかったの?
時間が経つに連れ、そして皆さんのべた褒めのコメントを見るに連れ、じわじわ嫌いになって行く自分がいます。
タイトルを忘れていたら
あまりにも久々に見た時代劇。学生時代に京都の東映太秦映画村でエキストラのバイトをしていたことが懐かく思われる。
白石監督ということで、残虐非道な時代劇を想像していたが、シンプルに楽しめるエンターテイメントに仕上がっていた。
穏やかだがスイッチが入ると誰にも止められない阿修羅と化す主人公の柳田や、彼を取り囲む人間(特に國村さんがめっちゃいい♥)だけでなく、適役の兵庫にまで愛着が湧いてしまうというとても不思議でかつ最後までドキドキハラハラの映画。
そして最後の最後には、否、皆まで言わぬw
囲碁の手は全くわからなくても、十分楽しめるので、拙者オススメいたす★
凄い日本映画!
そんなに時代劇は好きではなかったが、『碁盤斬り』は今までの時代劇のイメージを覆す秀作だと思った。
なぜ自分があまり時代劇が好きではなかったのかというと、あまりにも見慣れていて、形式が確立したものだったからだと思う。
どこかでみたようなセット、ロケ地、殺陣、カツラの形、着物の着こなしなど、どれも同じように見えて、つまらなく感じていたのではないかと思う。
『碁盤斬り』は、冒頭からカメラワークや構図が素晴らしく、思わずスクリーンに引き込まれたが、空気感といい、今までの日本映画とは一線を画すものを感じた。
シナリオも素晴らしく、演出も素晴らしい。もちろん役者さんの本気度も素晴らしく、特に草彅剛さんがこんなに素晴らしい役者さんだとは知らなかった。
個人的には、田んぼの風景の中に浮かび上がる新吉原の夜景など、ぜひみて見たかった江戸の風景だったので、驚いた。新吉原が田んぼの中に作られ、周りをおはぐろ堀で囲み、遊女が逃亡できないようにしたとは聞いていたが、こんな新吉原を映像で見せてくれたのは初めてではないかと思う。
他にも、灯籠や提灯など、闇の中に浮かぶ蝋燭の光が素晴らしかった。江戸時代は電気など無いので、とてもリアリティがあった。私はこういうのを見たかったのだ。
最近では真田広之さんの『将軍』も世界的に話題になったが、『碁盤斬り』も負けていないように思う。
とにかく狂気と紙一重ともいえる武士の誇りが、清々しくも凄まじい。それを見事に演じた草彅剛さんも素晴らしかった。
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