バービーのレビュー・感想・評価
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みんな違ってそれでいい、の裏と表。
監督としてのグレタ・ガーウィグがこれだけのバジェットの大作映画の準備が整っていたかは、正直微妙だったかもと思う。美術や衣装のクオリティに比べて映像が充分にハネてないように感じてしまったからだ。作品から感じた面白みは、映像よりもコンセプトだったり多層に織り込まれた皮肉やユーモア混じりの問題提起だったりのほうが勝っていて、終盤になるほどセリフに頼りすぎではないかとも思う。
しかし間違いなく刺激的で、いろいろ考えさせられる作品ではあり、しかもこの映画について語られている言説がぞれぞれ微妙にベクトルが違っていて、観る側の価値観や先入観をあぶり出すような仕掛けになっている。この映画のどこに感じ入ったり、ひっかかったり、わがことのように感じたりするのか、結局は自分と向き合うハメになるのは、劇中のバービーやケンともシンクロする。
素晴らしいと思ったのは、クソバカ集団であるケンたちの代表としてライアン・ゴズリングとシム・リウが対決するバカげたミュージカルシーンで、戦ってるうちに通じ合ってしまうまでがわずか一曲の中で表現されていたこと。あの場面が古典ミュージカル『オクラホマ!』の「ドリームバレエ」の引用であることはグレタ・ガーウィグも明かしているが、「ドリームバレエ」のシーンは心の迷いからひとりの人間のアイデンティティが分裂する様を描いていて、いわばこの映画のケンたちも同じアイデンティティから生まれたバリエーションにすぎないと言える。
それはバービーたちも一緒で、マーゴット・ロビーの定番バービーだけが、バリエーションのひとつであることを捨てて有限の命を持つ人間になろうと決意する。正直、人間ってそんなにいいものか?と思ってしまうし、誰もが違っていてそれでいいというメッセージ性に100%ポジティブに共鳴できるわけでもないのだが、人生の次の段階に進むためにアイデンティティの根底から揺らぐような変化を受け入れなくてはならない局面が訪れるというのは心底その通りだと思うし、この映画の表向きの明るさとは裏腹に、選択には常に伴う辛さと哀しみを作品から感じられたことが自分にとっての一番の魅力だった。
同じように感じた人がどれだけいるかも知らないし、それが自分ひとりだったところで構わない。そういうことを伝えている映画でもあると思っている。
美術の素晴らしさ
プロダクションデザインが素晴らしい。この分野ではオスカーの有力候補だろう。キッチュでリアリティを追求せず、ドールの世界を具現化してみせ、そこに生身の役者がいても違和感のないバランス感とピンクを基調にしたカラーリングをケバケバしさを感じさせずに再現。レトロなポップ感が抜群に心地よさを感じさせる。芝居のあり方もあえて戯画的で、オーバーアクティブなものにしているのも良い。リアルなだけが良い芝居ではない、こういう方向性の面白い芝居もアメリカ映画でもどんどん追求してほしい。
スタンダードモデルゆえに特定の職業やアイデンティティを持たない主人公のバービーと、そんなバービーの彼氏というポジションでおまけ的に生まれたがゆえに、やはりアイデンティティを持たないケンの2人(2体)がフェミニズムや有害な男性性の体験を経て、自分らしさを獲得しようと試みる。現実社会のマテル社は男性経営者の支配だと本作は描かれている。事実かどうかは知らないが、その体制は特に破壊されない。資本主義とフェミニズムの関わりにはある種の課題があると本作は示唆している。
コメディだけどあんまり笑えないかも
お気楽で笑える映画かと思ったら、意外にメッセージ性てんこ盛りでした。
ざっくりいえば、バービーが男性に作り上げられた人形で、今や女の子の嫌われものだけれど、そのバービーが自我を持ち、男に都合のよい人形ではなく自分の意志で自立した人間になるというお話でした。
バービーという媒体を通して女の子の生き方を考えさせるという発想は、面白いと思いました。
でも、まず赤ちゃんの人形を叩きつけるシーンで引きました。
そして、中学生の女の子が、今やバービーは理想的な体型を押し付ける嫌われものだと言ってることにも引っ掛かりました。
自分は小さい頃普通にリカちゃんやバービーが好きで、なんの考えもなく娘にも与えました。
素敵な格好をさせたり、開脚させたり(ヘンテコバービーはちょっと笑えました)、今も集めたいというほどではないけど懐かしく思い出します。
それが、ジェンダーの押し付けといわれると。。そうだったの?私は押し付けられてたの?とモヤモヤした気持ちに。何も考えずバービーで遊んじゃダメなの?みたいな。
あと、バービーがなんで人間になりたいかもよくわかんなかった。
人形でも十分意志があるじゃん!バービーランドを改革すればいいのでは?とか思ったり。
最後産婦人科にいった理由もよくわからず。
作品全体にちらばるユーモアあふれているであろうバービーネタも、よく知らないからいまいちわからないし。
バービー役の女優さんはほんとに人形みたいであっていたけど、世間で評価が高いようなのがちょっとよくわからなかったです。
アメリカ人のための内輪ネタ映画
はっきり言ってクソつまらなかったが、しばらく考えてこれは日本人向けの映画ではないのだと気づいた。アメリカ人の国民的おもちゃであるバービーを題材にして、アメリカ人が大好きなパロディ、社会風刺、おバカなネタ、シュールでチープなB級の雰囲気を詰め込んだアメリカ人のための内輪ネタ映画なのである。日本生まれ日本育ちの日本人に評価できるものではない。日本人がこれを観てストーリーを大真面目に考察してしまうのは的外れも良いところだと思う。日本人が思うような中身なんてない。笑って終わりの映画なのだと思う。日本で問題になった「バーベンハイマー」も恐らく深い意図はない。そういう笑いのセンスなのだと思う。アメリカ人が爆笑しているスタンダップコメディを日本語字幕で見て全く笑えなかったときの感覚を思い出した。
民族的拒否反応
初っ端
それまでは女の子にとっての玩具の象徴は赤ちゃん人形。
みんなママになって遊んでいた。
それがバービーという新しい人形が現れてそれに取って代わった時、その赤ん坊の人形をみんながこぞって叩きつける。
この描写で この監督 この制作サイドとは
分かり合えない そう思った。
その後も なんとなくそういう描写が嫌だなあと思うと同時に
女の子という物を全面に押し出し過ぎてる感じに ややウンザリしつつ
ぐっすり眠った。
JAL. の機内
久々の機内視聴。
機内サービスも気付かず寝た。
男とはどーしようもない生き物
パステルの世界・・最後まで鑑賞できるか、自信がありませんでしたが・・これは観ておかにゃと・・♪ 思いのほか面白かった♪
オープニングで、2001年宇宙の旅をパロったり・・意外に、シビアなテーマを軽い味付けにして・・考えさせられる作品でした・・。こういう風に・観られてるのかぁ・・と男って・・ホント・・どうしようもない生き物というのを思い知らされた(笑)行動、気をつけきゃ・・。 今もバービーは存命で活躍してるのかしらん? 日本のリカちゃんは?
私リカちゃん
ララランドやブレードランナーのケンと、
アイトーニャ、スキャンダルのバービー、
色鮮やかで人形の世界から人間界にやってきた話
男と女はこうあるべきなんて大きなジェンダーテーマもありますが
衣装やダンス単純に華やかでよかったです。
年取ると目立たず地味な服装になりがちですが、
お人形さんのように、みんなが街中色鮮やかだったらうきうきになれるかも。
思ってたのとちがった
子供がバービーに向かってファシスト!とかキレるの怖いよ〜
会社の上層部もきもすぎるけどあれはあのままなの?
人間界の風景の色や質感ががまったくステキじゃないところやマーゴットロビーの生感がリアルなところは良かった。話に合ってて。
その当たり前、今気付いた?
アグリーベティの女優さん!
現実女性の代弁者。
でもマテル社の上層部ってかなりうまく歩んでる方かなと。
バービーが理想の頂点であり続け、
女性は現実の中でバービーのような理想像を追い求め、そうすると男性の立場が弱くなってきた。
女性は女性で疲弊もするし、求められる理想を完璧にこなさないと意見できる立場に就けないから必死。
「男性」「女性」に結局囚われてしまっている。
ただ単に、属性にとらわれない自分を表現して、感情を使って、自分の気持ちと相手の気持ち両方を尊重できれば良いだけ。
弱音を吐いても良いし、誰かと感情を分かちあって、助け合って良い。
そういう人間らしさが、バービーからは抜け落ちてしまっていたから、いつしかルックス至上主義頭弱い系の象徴アイコンのようになってしまった。
多分いつの時代も、心に正直なイキイキした女性像をマテル社は表現したいだけなのだと思う。
君は君、僕は僕。今言う?
その上でその先の共存方法を知りたいんだけどなぁ。
子供も見るから、踏み込んだ内容はなかなか難しいのもわかるが、あまり表現が上手くない。
しかも、作中まるまる、限定モデルだなんだのヴィンテージ物にまで及ぶ宣伝てんこもり。
赤ちゃん人形の破壊、いる?
マテル社には勤めたくないと思った。遅い!
内容も50代以上の感覚では?
今の若者、SNSで自己発信したり、割と上手に自由を満喫できている気がする。
バービーは1959年から。
1950年から連載開始したスヌーピーの方が余程、個の尊重に優れているのは面白い。
同じ様な歌を歌う物理的な男性にはやがて、髭がはえてくる
「私はもう美しくない。」
「とても綺麗よ」
「定番レベルの美しさじゃない」
すると、天の声が「マーゴット・ロビーが言うと説得力なし♥」
「神は最初に自分達を模して人間を作られた」と聖書の創世記に記載されている。
この映画を鑑賞していて、最初にその言葉が思い立った。
つまり、実存哲学そのもの。しかし、キリスト教的な観念は余り含んでいない。なぜなら、ルース・ハンドラーさんはユダヤ系ポーランド人の移民の方。
マーゴット・ロビーさんの化粧もかなり薄くして、ソバカスをギリギリ隠す程度に抑えている。そこが彼女の美しさだと僕は思う。
「人間として生きるのは大変よ。そして結末は一つ」と言うとバービーは
「それでも、人間として生きて意味を見つけたい」
と言う願い。アンデルセンの「人魚姫」をリスペクト♥バービーは泡となるのか?
四時間も同じ様な歌を歌う物理的な男性にはやがて、髭がはえてくる。鳥肌モノ。
やっぱり、女性の演出家だった。
傑作だ。
憧れと自分らしさのギャップ
バービー人形が人間界に行く話と聞いて、てっきりバービーが世の中を変えていくのかと思ったら違った。
バービーが人間界でバービーランドとのギャップを目の当たりにし、自我が芽生えていくという"バービー"の成長物語だった。
バービーランドのクオリティが高く、バービーが靴を脱いでも、つま先立ちだったり食べ物や飲み物もエアなのが設定に忠実で、童心に帰り、わくわくした。
バービー人形は女の子が自分と重ねながら「あんな風になりたい」という憧れが込められたおもちゃで、
時代と共に多様な人種、職種のバービーが登場したという背景を知ることができた。
バービーランドでは多様なバービー達が、様々な分野で活躍していてキラキラしている。
でも、現実世界は違う。
思うようにいかないし、女性に不利なことも沢山あって、先が見えないことに不安を感じる。
だからこそ、自分の意思を大事にしなさいよ、というメッセージ性があって、ジンときた。
もう一つ、ケンの立ち位置にスポットが当てられているのも見所。ケンの感化されやすく、メンヘラミュージカルを始めるのが面白い。
マイケル・セラ、久しぶりに見た。"バービーのボーイフレンドのケンの親友"役で絶妙な存在感で癒された。
女の子映画ではありません
様々なバービーと様々なケンが、楽しく暮らすバービーランド。定番バービーが劣化してきていることに気付き、バービーの現実社会の持ち主に会いに行く。一緒にやってきたケンは、現実の男社会に感化されてしまい、バービーランドをケンダムランドにしようとし。
女の子の映画だと思っていたら、どうも違うようなので観賞。テンポが良くて自虐や皮肉ありで、結構笑えました。
ライアン・ゴズリングのお馬鹿な感じがうまい。マーゴット・ロビーのバービーへの熱い思いが伝わり、さらにメッセージをのせる巧みな姿勢に驚きました。
映画館で観なくて……ほっ
なんじゃこれは
特に前半は滑りまくる芸人を見せつけられてる感じしかしなかった
一応ノミネートはされてたけど、歌曲賞以外は全てアカデミー賞は授与しなかったことで、Academy側が崖っぷちで権威を保った気がする
こんな物を映画館で観てたら(金返せ、時間返せ)と言いながら席を立つかも
世界中にファンを持つ日本のアニメに危機感でも持ったの?再びバービー関連グッズを売り出すための巨大CMなの?
ストーリーも表現も不思議な腹筋も伝えたい内容も全てOUT
頭空っぽで何も考えずに観れる映画
ハイ、バービー!
めちゃくちゃ笑ったw
バービーってこんなにコメディに振った映画だったのかw
踵が地面にくっついちゃったとことか爆笑w
始まりから終わりまでずっとコメディしてたw
バービーはマーゴット・ロビーしかいないんじゃないかってくらいハマってた。
本当に人形みたいに綺麗。
ケンも適役。
バービーランドもカラフルでアゲー!
目がチカチカするとかどんだけー!
終始ふざけてたから細かいとこまで覚えてないけどピンクでかわちぃ!
知らんけど。
さてと、そろそろ赤い屋根の大きなお家でリカちゃんとファービーごっこしよっかな。
現代版バービー映画
日本でもこういう作品を作ってくれないかなと。
米国で人気のバービー人形を主役に現代のジェンダー問題、個々人としての生き方を描いた作品。
その表現は奇抜で面白い。
でもこの世界でチャラさと皮肉を込めないとやはり言い表せにくい事なのか。米国もまだまだ女性は生きにくい社会なんだな...
炎上を恐れてすぐに取り下げたり謝罪したりする日本企業は見習ってほしい
すべてが完璧で今日も明日も明後日も《夢》のような毎日が続くバービーランド! バービーとボーイフレンド? のケンが連日繰り広げるのはパーティー、ドライブ、サーフィン。しかし、ある日突然バービーの身体に異変が! 原因を探るために人間の世界へ行く2人。しかし、そこはバービーランドとはすべて勝手が違う現実の世界、行く先々で大騒動を巻き起こすことに─?!彼女たちにとって完璧とは程遠い人間の世界で知った驚きの〈世界の秘密〉とは? そして彼女が選んだ道とは─?予想を裏切る驚きの展開と、誰もの明日を輝かせる魔法のようなメッセージが待っている─!(公式サイトより)。
徹底した世界観の作り込みと、コメディ要素たっぷりの脚本でなければ表現し得ないメッセージがあるのだなーと感心した作品。恐らく、アメリカ人には抱腹絶倒な内輪受けギャグも満載なのだろう。
なにより全面協力したマテル社(バービーを開発販売する実在の会社)の振り切り具合が小気味よい。一見、ブランドを棄損するようなストーリー(ルッキズムや白人至上主義等、バービーという人形自体が生んでしまった負の価値観を認める脚本、時代遅れ感のあるバービーCEOや幹部連の描かれ方等)だが、根底には「人形」への深い洞察がしっかりとあり、長年にわたって移り行く世の価値観に同社なりに全力で回答を出し続けてきたことへの自負は決してぶれていない。炎上を恐れてすぐに取り下げたり謝罪したりする日本企業は見習ってほしい。
マーゴット・ロビーは単に美しいだけでなく、実はかなり難しい役どころを演じきった。山崎賢人とはひと味違う役者魂が感じられる。CEO役のウィル・フェレルもかなり良かった。「ドライブ」で演じためちゃくちゃクールな役が好きだったライアン・ゴズリングのことを今度、どう見ていいのか分からない。
今は昔も生き辛さを表現した作品。
内容は、人形の世界と人間の世界の境を行き来する物語。お飯事人形バービーとケンとアランと持ち主の人形所有者の母娘とマテル社の人間が繰り広げられる。アメリカのプラグマティズム的世界観(有益な物こそ正しいとされる価値観多様性の中で時代と共に変化に富む真理を探求し容認する考え)で自己の尊厳を探索する物語。
印象的な台詞は『太鼓の昔から少女と共に赤ちゃん人形があった。少しの間だけなら子育ては楽しい。少しの間なら。』冒頭のナレーション2001年宇宙の旅パロディがこの物語をどの様な視点で見てほしいか分かるようで面白かった。コメディ劇が辛い風刺が効いた激しいスピードで進むので難しく感じるかもしれません。この冒頭が最後に繋がる構成も凄い。
印象的な場面は、物語冒頭人間界に行く主人公バービーが二者択一の選択肢を最初は選べないが、最後は自らの意思で人間界への選択肢を選ぶ。人形バービーが、人間バーバラ・ハンドラーとして生命を宿す場面は、バービーの過程を見ているものとして感情移入して喜ばしい場面ですがカタルシスの解放を感じ涙します。
印象的な立場は、登場人物の全てが何らかの苦しみと辛さを抱えていながら社会生活をしている立場。特にマテル社の社長の『私は少女の夢を叶えたかった。キモくない方法で』や製作者ルース・ハンドラーの『私は乳癌と脱税を考えてる小さな老女だ』との表現はアメリカっぽくて風刺の効いた表現が面白い。
マテル社の社長室受付の鬱バービーを考えている全ての原因の母の言葉も良かった。そもそもの原因を作った因果関係の言葉が面白い。
『女って苦行よね。全ての女性が人に好かれようとする苦労を私は見たくない!』目立たずマウントを取ろうとする世の中の難しさに悩む姿。
『男性社会で理不尽な女性像を言語化したら洗脳が解けた』との自分でも信じられない言葉を口にしたバービー魂の言葉は、素晴らしい演技でした。
この映画では、女だけでなく男や様々な社会的立場の人に向けた自己肯定感の提案と価値観が時代と世界の変化に対応する物語が面白かった。テンポの速さが玉に瑕で理解されないのではないかと感じたが非常に攻めた面白い作品。
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