鬼平犯科帳 血闘のレビュー・感想・評価
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「手前で賽を振る」に共感しました
物語の因果が解り伏線回収もされて楽しめました。重厚な役者達の落ち着いた演技に魅了されました。
網切の甚五郎一家の極悪非道ぶりと火付盗賊改長谷川平蔵の正義とが繋がつていたとは。
そしてあの台詞
悪を知って外道に落ちるか、
悪を知って悪を憎むか、
それがお前と俺の違いだ
と人の生きる真っ当な道を説きます。
よっ!高麗屋!喝采です。
大立ち廻りも武蔵の吉岡一門百人斬り並の迫力で見得をきる場面もあって見所です。
相模の彦十を演じる火野正平さんがおまさを助けに馬で駆ける鬼平を走って追いかけて行くも息切れしてもう無理ってシーンがあります。
自転車に乗れば良かったのにねぇ。
その火、絶やすなかれ
好きです時代劇。"変わらないもの"としての需要が強過ぎて進化が難しいジャンルではありますが、ここ近年試行錯誤しながら"温故知新"な世界の構築に邁進なさっている様に感じて嬉しさもひとしおです。そんな中での「鬼平」。皆の中には強烈に推している鬼平(小説含む)があると思うので難しいネタ(というか原作ものは大体そうか)ではあるのだろうけれども、これからの鬼平を期待させてくれる作品に仕上がっておりました。まだまだ"荒さ"を残した感じの鬼平が、危うくもありチャーミングでもありで、周囲に慕われるのが納得の造形。血気盛んで触れるものみな傷つけそうな若い頃の鬼平も良かったですね。時代劇専門チャンネルには"梅安"共々がんばって抱きたい所でございます。
可もなく不可も無い時代劇になってしまった
時代劇が好きなんじゃない。
中村吉右衛門さんが主役のテレビドラマの鬼平犯科帳が好きなんだ!
そんな私からすると普通の時代劇になってしまった鬼平犯科帳は残念だ。
リメイクされたのはうれしいが
中村吉右衛門さんの偉大さ、当時の製作チームのすばらしさ
当時の配役の素晴らしさ、ナレーションの良さが際立ってしまった。
あの作品はまさに奇跡。
現在の俳優ではどうにも上回れないと思った。
■役(キャラクター)がしっくりこない
悪役は良かった。
鬼平が鬼のように見えない、威厳、風格、昔やんちゃだった間が足りない。
甘やかされて育った殿という感じ。
おまささんがこぎれいな町娘に見える。
ひこじゅうは酒好きのいい加減オヤジに見えない(悪いすごみがある)。
おやじのとぼけ加減が足りない(すごみがある)。
■私が勝手に考えたキャスティング
鬼平:渡辺謙か真田広之
奥さん:片平なぎさ
おまさ:井上和香か仲間由紀恵
ひこじゅう:酒井敏也か加藤茶
木村ちゅうご:オードリー若林か香取慎吾
引き込み役:板野友美
芋酒屋のおやじ:伊東四朗
さじま:西川きよし
ねこ殿:西村正彦
またまだ時代劇は滅びませんね
時代劇もちょっとコメディがかったものは今までみてきましたがこんな本格的なものは初めてです チャンバラの衣装やかつらのスタッフさんが減っていき時代劇もダメになるのかなと思っていましたが今回これをみてこれは残していかないとダメだし残っていくジャンルだと感じました。もっとみたですね。
因果応報
火つけ盗賊改めに就任して間もない長谷川平蔵の所に、昔なじみのおまさが訪ねてきて「犬(手下)にして欲しい」と申し出るが断られる。一方、平蔵が厳しく取り締まっているにもかかわらず、江戸では凶悪犯罪が増えているようだ……
初鬼平です。中村吉右衛門さんの鬼平が面白かったと聞いていたので、一度観てみたいと思っていました。このシリーズは、鬼平が正規の部下と犬たち(密偵)を駆使して悪を叩きのめす、痛快時代劇なんだなと思いました。現代でいうところの警察ものであるので、チームワークで事件を解決するシリーズではないでしょうか。鬼平初心者としては、彼らの胸のすくような活躍が観たかったですが、今回は番外編のような内容で、鬼平の独り舞台な感じでした。個性的な部下たちがあまり活かされていませんでした。
闇夜に浮かび上がる「火盗」の提灯は印象的です。江戸の町民は、それが近づいてくるのを見て安堵するのでしょう。
松本幸四郎さんは風格も華もありますが、シャープさやストイックさに欠けます。個人的な好みですが、市川右團次さんだったらどんな感じだったかなと思います。佐嶋役の本宮泰風さんはビシッとしてカッコ良かったので、続編ではもっと活躍して欲しいです。
網切りの甚五郎
悪役が極悪非道だとあっと言う間に映画に引き込まれますよね。
北村有起哉さんが上手い!
声もなんか怖いし、平気な顔して刺し殺しちゃうのよね。
小心者の小悪党鷺原の九平が入る事で話に厚みが出て来る。
おりんにおまさ、おろくと言った女優陣の演技も光る。
スグ慣れちゃうんだろうけど私的には鬼の平蔵がちょっと二枚目すぎかな?
TVクオリティで劇場作品としてはイマイチ
そこそこ楽しんだのですが、「碁盤斬り」の直後に見たので、テレビドラマ的だな、という印象が強く残りました。
松本幸四郎さんはどことなく品の良さが溢れて、「鬼」に徹するべき決めの表情でも、人の良さが見え隠れするところが少し残念。中村ゆりさんは言う事なしの素晴らしい魅力に溢れてましたが、志田未来さんと松本穂香さんは出番も少なくキャラ的にも被っていて少し勿体ない。
甚五郎は敵役としてはやや印象が薄いのに、それを二度も取り逃すと言う展開はややシラけるものがあります。
テレビドラマ含めたシリーズなので、本作単体で評価しても仕方がないのでしょうが、劇場公開するのなら、もう少し作り込んで欲しかった、と言うのが本当のところです。
吉右衛門と大差ないかな。
令和には嬉しい時代劇ルネサンスですかね。豊川悦司の「仕掛人 藤枝梅安」も中々良かったので嬉しい限り。昔テレビでやっていた中村吉右衛門の「鬼平犯科帳」は、薄っぺらいキャラのイメージがあって好きではなかった。さいとう・たかをの劇画に慣れていて、当時の吉右衛門は渋みが足りず、昔の遊び人時代の名残が感じられなかった。今回の甥の松本幸四郎には、そこが有ったように思う。息子の市川染五郎は、親父より、また祖父の松本白鴎よりも妖しい色気があってよろしい。父・祖父を越えて欲しいな。今回の映画自体は着物姿が凛々しい中村ゆりの熱演もあり大いに楽しめた。新宿ピカデリー7割がた埋まっていて、おっさんだけでなく女性も多かったな。
教えてやろうか、俺とお前の違いを。悪を知って外道に堕ちるか、悪を知って外道を憎むか。
もはや、高麗屋のお家芸。当代染五郎、顔立ちは全然違うのに、ときたま吉右衛門の声に聞こえてくるときがある。そんなノスタルジーも時代劇なら許せる。
与力同心の顔ぶれもいい。ここに山田純大とかが並ぶと画が引き締まるな。この後に「碁盤斬り」を観た時に所作(例えば、草彅が大きく肩を揺すって走っていたが武士はそんな走り方をしないだろうし、片腕を切られた人間が普通に会話をするのもありえないだろう)に違和感があったが、さすがに細部に神経が行き渡っている感があって安心できる。
「血闘」は、おまさが長官の犬になるエピなので欠かせないのだが、原作や吉右衛門鬼平では手籠め(しかも、輪●)にされる描写があり、中村ゆりがどうされちゃうのかヒヤヒヤではあった。まあ、あれなら昨今のコンプラ的にも許容される範囲であろう。
若いころ、時代劇のステレオタイプの勧善懲悪ストーリーが嫌いだったが、フジテレビの池波ものは違っていて、悪い奴のなかにも真っ当な人間はいたし、正義の側にも魔が差してしまう人間はいた。それこそが世の中だ。その世界観が損なわれていなくて、とても気持ちがいい。
軽くて薄い
私にとっての鬼平と言えば
萬屋錦之介
そして、中村吉右衛門。
前者には切れ味鋭い凄みが
後者には奥深い器量の大きさがあって
魅了された。
さて、今回の鬼平、いかにも軽くて薄い。
築き上げてきた負の側面が全く感じられない。
最後の盗賊との違いに全く説得力がない。
上記2者とは育ってきた時代背景が全く異なるから仕方ないとは言え、
もう少しなんとかならなかったのだろうか。
市川團十郎ならと思わなくもないが、
個人的には悪の側面が強すぎて矯正されていない。
巨悪の盗賊役ならぴったりだったろうけれど。
他のキャストもストーリーも大いに物足りなかった。
中井貴一の存在感と柄本明の芸達者ぶりのみが印象に残った。
新たに始まる時代劇TVシリーズの壮大な番宣にはなったかな。
平日の昼下がりとは言え、観客が私1人なのも詮方なし。
本格的な時代劇を観た!という満足感を与えてくれる一作
『仕掛け人・梅津梅安』(2023)と同じく、池波正太郎生誕100周年の記念企画作品です。
『梅安』の豊川悦司が演じる梅津梅安像は、どこか現代味を漂わせていて、「新しい時代劇」という印象が強かった一方で、本作の10代目松本幸四郎演じる長谷川平蔵は、どっしりと構えた鷹揚な人物像で、その堂々たる演技とせりふ回しが、時代劇らしい時代劇という印象を与えています。
というより、かつての「鬼平犯科帳」のテレビシリーズがジプシー・キングスの楽曲をエンディングに採用するなど、時代劇の新機軸を打ち出していたことを考えると、本作の王道的な作りにはむしろ新鮮味を感じるほどです。
過去に背負った業が逃れがたく人生に付きまとう悲哀の物語はいかにも原作の筆致であって、そこに軍鶏鍋や「うさぎの忠吾」の軽妙な言動など、「鬼平」の定番的要素をうまく滑り込ませているので、原作ファンにも満足度の高い一作ではないかと思います。
大道具、小道具などの美術もスクリーンで観るほどに満足感が高まる水準で、こうした画面作りの隙のなさも本格的時代劇という威容を確かなものにしています。一方でセットの背景には巨大LEDスクリーンを用いるなど、最新の撮影技術も積極的に導入しており、古典的な印象の強い外観とはうらはらに、実は挑戦的な映画でもあります。
「時代劇専門チャンネル」が制作に携わっているんだけど、本作はぜひ映画館で鑑賞を、と強調したい!これを機に時代劇に挑戦したい、という方にもおすすめです。
正統派時代劇でいい作品ですが叔父上の名演技が際立ってしまう
テレビ版の初代から松本幸四郎家系が演じ続けた作品なんですね。
初代鬼平はお祖父様の松本幸四郎で先代が叔父上の中村吉右衛門、そして本作の十代目松本幸四郎が演じた作品
血闘を見終わってふと思ってしまったのは、
中村吉右衛門さんの仲間に向ける茶目っ気が有り人情に溢れる時の演技と盗賊に対しての威圧し迫力のある演技訳の凄さと、木村忠吾役の滑稽だが愛嬌のある演技の凄さ、鬼平と木村忠吾ので楽しげな掛け合い、
阿吽の呼吸というのか意気のあった演技に至ってない事が目についてしまいました。
当代松本幸四郎さんの演技が悪いわけでもなく、
脇役の方々の演技が悪いというわけでもないと思いますが、
先代のキャスト陣が作り上げてきた鬼平犯科帳の世界観が偉大すぎて、
鬼平の深みなく見えたり、木村忠吾の弾けてなさや、各役毎の物足りなさ、掛け合いのテンポの悪さ等からギクシャクした感じに見えてしまったのでマイナス1にしてます。
新しい鬼平に期待
昨今TVから『時代劇』というものが消え…CSなど専門チャンネルに於いても過去作品を視聴できる程度で新作が放送されるのは叶わないもの・・・ぐらいに思っていた。
『鬼平犯科帳』『藤枝梅安』『剣客商売』といえば池波正太郎の時代小説であり
劇画はゴルゴ13のさいとうたかを先生が
TV時代劇ではフジテレビ系でのシリーズものとして人気を博した硬派な時代劇作品だ。
それが、まさか令和になって『鬼平犯科帳』の新作が観れるとは!!
制作してくださったことに、まず感謝したい。
こちらのサイトのレビューや他SNSでも、
幸四郎の優しい顔が鬼平に合わないとか、若すぎるとか否定的な意見を多く見受ける。
『鬼平』に関しては、そりゃあもう吉右衛門の先代鬼平が完成されてるし、印象が強すぎるのがあるのは当然わかります。
が、そんなこと
松本幸四郎ご本人が一番わかってることでしょう
「『鬼平犯科帳』を継ぐことは天命と思っている。」と述べていましたが
『鬼平』は舞台に於いても初代の松本白鴎が…
そして吉右衛門の『鬼平』で人気作品として不動の地位を…
一族が築き上げたと言ってもいいぐらいの演目です。
幸四郎が、もう少し齢を重ねてから鬼平に挑んだとしたら「やっぱ違うわ」で片付けられ一発作品で終わると思うし
吉右衛門の鬼平という頂が高いからこそ、今からの挑戦だと思うんです。
また鬼平は真面目一徹の堅物役人ではなく、若い頃はヤンチャしてたからこそ大人になって、色々と悟る部分、他者の心情を汲み取ってあげられる部分があったりすると思うので
幸四郎の優しい面立ちのままの普段の平蔵と、火付盗賊改方の長谷川平蔵•鬼平として職務を全うする時のキリッとした表情のギャップがより感じられるし、そのギャップなどが長谷川平蔵という人間の器の大きさであったり、心の余裕を表現できてる様に見えたし
幸四郎版の鬼平ならではの魅力を感じました。
タイトルの『血闘』これは決闘と血統の、ダブルミーニングで、本所の銕と呼ばれた若かりし頃から平蔵に至るまでの流れ、そして因縁•因果で今の平蔵への繋がりをスムーズに描いてあり、『鬼平』初視聴の方に向けてもわかりやすい作りといえる。
ほか、まぁコミカルな部分もありTV時代劇の劇場ってだけで安心して見れる作品です
キャストは、もう適役ばかり!
火付盗賊改方、筆頭与力・佐嶋忠介の本宮泰風、同心・沢田小平次の久保田悠来
剣の腕も立つキリっと少し強面なタイプと
ムードメーカー木村忠吾の浅利陽介、次回作に繋がるクセのある小野十蔵の柄本時生
酒井祐助にバランスタイプの山田純大
これはいいチームだな、と。
彦十の火野正平が良過ぎで、
今作の物語の中核でもある、おまさの中村ゆりも和装の似合う美人だし、キリッとした表情演技も申し分なく、平蔵の脇を固める俳優陣が適材適所すぎました
網切甚五郎の北村有起哉
その父である土壇場の勘兵衛に矢柴俊博
名バイプレイヤー二人の悪党っぷりが、これまた絶妙だ
ただ甚五郎は剣の腕は全くの悪党なので
最後の対決シーンに於いては先に放送された『本所・桜屋敷』の松平健 扮する松岡十兵衛との一騎打ちのシーンには及ばないのは仕方ない…
『鬼平』は盗賊相手で夜のシーンがやはりメインになるので
他の時代劇と比べ、暗めの画が多くなりますし、
夜の静けさというのが、映画館内の暗さと上映中は静かに…というのと相まって案外スクリーン映えする作品ですが
殺陣の見せ方とかカメラアングルがチャンバラ映画のそれでなく、
あくまでTV時代劇の殺陣ですし狭所での殺陣はどうしてもゴチャつくし
幸四郎版の殺陣の迫力は、まだまだこれからという感じでした。
でも今年はTV連続シリーズで「でくの十蔵」「血頭の丹兵衛」と続きますし
その後も定期的に是非制作してくれると信じ
五年後、十年後・・・どんな
『鬼平犯科帳』になっていくのか?
楽しみにしたいと思います。
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